節約とは物を買わないことなので、節約すると物が売れなくなります。節約イコール不景気。倹約やコストカットを続けるとGDPの萎縮も続き、国力衰退と地位低下も続きます。節約で経済アップはない話なのに、あると信じる勘違いが日本病の原因と先述しました。しかし、ただの勘違いでもなく。

おやつは「カール」の製造工場を減らし、東日本での発売中止が発表されました。そうなった理由の識者説明は、国民の味覚変化やとうもろこしの原価でした。しかしスポーツカーやゴルフ用品や本が売れない理由と同じで、原因は中下層の貧困です。おやつ代を節約して買い控えたから。

長くサブカル界で人気ダントツ一位の「少年ジャンプ」も、部数が大きく減っています。これも同じで、漫画誌に求める思想が時代変化したのではなく、貧乏で買い控えたから。漫画はなくても死なないよと。アートみたいに見るだけ、立ち読みするだけで買わないよと。

景気の悪さへ話を向かわせまいとした説明が、怪しい立場の存在をうかがわせる重要ポイントです。国民が一丸となって景気向上へ力を合わせているわけでもなくて、実は内部で綱引きが起きているのです。

今の日本では、上層が国内経済を悪くしたい願望を持ち、下層が良くしたい願望を持っています。概して経済団体は前者。前者に主導権があるうちは不況は維持され、現状はまだその路線です。記録的な好景気が今来ていると、実態と逆のアナウンスを行って、国民が放心した状態が今。

不況の雪解けのきざしは、2014年の年初でした。しかし、3カ月後の消費税上昇で消費はガク落ちして節約時代に帰り、また冬に戻りました。今から3年後の東京五輪の前評判が暗いのも、節約五輪コンセプトが1998年頃の緊縮財政と同じ考え方の、国力衰退ベクトルだからでしょう。
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|06-13|美術の基盤は経済||TOP↑
ビットコインの大半を中国ユーザーが持つのは、人民元を円やドルに交換したり国外へ持ち出す制限をかいくぐる目的です。日本のショップは、そうした脱出資金での爆買いに応じる目的で、ビットコイン決済へと踏み切り始めています。

数百~二千種もある仮想通貨のひとつであるビットコインは、実は通貨でなく決済手段だとの指摘もあります。人民元に限らず日本からの円持ち出しも、外国為替法があり自由ではありません。空港からの現金も百万円以上は届け出制の上に、内部的な自主報告は十万円あたりから。

電子マネーもタックスヘイブン活用金融商品以外では、少額送付さえマイナンバーカードで顔写真を届け、月何万円までと上限もあります。日本とドイツの送金コストも、為替手続き部分にかかる二項目がかさみ変動もあって手がかかります。

しかも、年々不自由になっています。過去に海外送金できた銀行カードも、今はほぼ廃止。理由は欧米からの国際テロ対策要請で、日本からの資金移動抑制とマネーロンダリング防止です。

ビットコインの全体像はいわば同人の集いですが、もし米欧日ユーザーがメインで使うと、送金手数料を主な収入源とする日本の銀行は、解散になるでしょう。それで銀行幹部は勉強会を開いて、ビットコインの代わりになる本命システムを計画する準備を始めています。

ビットコインもまた、欲しい人が多いほど資産価値が高まります。昔の貝殻やチューリップ球根と同じ。その点はアートも似ていますが、値上げ目的の購入呼びかけは意外にやらないものです。無名画家を買った者が世に宣伝して、資産価値をかさ上げする発想があってよいはずなのに。
|06-07|美術の基盤は経済||TOP↑
ハリウッド映画のパターンは「ボーイ・ミーツ・ザ・ガール」が浮かびますが、意外に多いのは「ザ・タイタニック・スタイル」です。別にそんな言葉はなく三日前に思いついた造語で、これは豪華客船タイタニック号の物語です。

タイタニック号の船長は、会社でいえば社長でした。しかし操縦した船自体は、社長の持ち物ではありません。オーナーたる船主が別にいて、そちらの方が権力が上です。社長は雇われた部下にすぎず、物語全体を支配する頂点にはいない。

タイタニック号の沈没は船体の強度不足による浸水が主因とされ、船長や船員はやるだけのことをやって死亡していました。この物語は、企業オーナーたる株主が運営に無理を強いて組織全体を破滅させる、そんな運命を類推させるものです。

なぜこんなことを思い出したかといえば、動画サイトの広告で似たものが出回っているから。油田の掘削で資本家と現場側が衝突し、資本家の強行に現場が従わされ、大事故となるパニック映画の宣伝が流れています。

「これからの時代は株主の利益を第一に」と言って言って、言いまくったあげくに実現した日本で、名門企業が次々と破滅し沈んで消えたこの19年間が、「ザ・タイタニック・スタイル」を思わせます。

欧米、とりわけアメリカは、「企業は誰のものか」を昔から強く気にしてきたことを、この筋書きの映画の多さで推測できます。「現場の声に左右されてはライバル企業に勝てない」「しかしその躍進に反社会性はないか?」という永遠の対立が、作品モチーフの定番になっています。
|04-23|美術の基盤は経済||TOP↑
電器のサンヨーはすでになく、シャープは外国に買い取られ、東芝も倒れようとしています。これを時代の流れと感じる人は、過去の流れを知らない若い一群でしょう。なぜなら、「これからの時代は株主優先へと大きく変えることが、日本復活の唯一の選択肢」という、90年代後半から進めた国家変革の結果がこれだから。

労働者の所得を大きく落とす政策で、バブル後に傾いた企業が助かる約束だったのです。日本をデフレの格差社会に変えて、奴隷制とまで言われる賃下げを行い、引き換えに企業コストが軽減して立ち直り、経済大国へと返り咲く筋書きでした。だから国民も長い年月がまんできた。

ところが、搾取された従業員だけでなく搾取した企業までが、今になって没落を始めて消滅してびっくり。時代の流れではなく、国の運営を間違ったのです。企業強化のために国民が貧乏に甘んじた98年からの19年に、企業も仲よく倒れる誰トク状態で、笑うところなのか泣くところなのか。

要するに19年間、日本国民はだまされました。上が下をだましたのではなく、上も下もだまされた。だましたのは、株主最優先を熱く唱えた投資家たちが疑わしい。しかも少数。それらグローバリストは帰属意識がなく、どの国がどうなっても金以外に関心はない。文化が壊れても平気なタイプ。

おもしろいのはだまされた被害意識の薄さで、イギリスやアメリカやオランダの変化をレイシズムとしか思わない層の幅広さに表れています。金銭感覚でなく人種感覚で世界が動くとの奇妙な思考。案の定、90年代のテレビ議論も忘れ、時代の必然と勘違いして。いっぱい食わされた認識の欠如。

東芝は電器だけでみれば、『サザエさん』のスポンサーで知られる東芝ランプやアイロン程度に思えますが、日立と並んで外国に「日本すごい」と言わせた巨大インフラを数々実現した頭脳集団システムです。日本が捨てると大損以外に考えにくいのが、本来の流れでしょう。
|03-29|美術の基盤は経済||TOP↑
新自由主義経済を基盤とするグローバリズム社会は、70年代イギリスのサッチャー首相が始めた説が有力です。レーガン大統領のあの頃。その先端にあるEUからイギリスが降りたということは、世界にトレンドをもたらせる国は相変わらずイギリスということかも。

1パーセントの人が99パーセントから搾取するグローバリズムは、日本では宅配荷物の激増に表れています。激務で低賃金のトラック運転手が足りない問題ですが、要するに送料無料の通販店のみ繁盛して、引き換えに日本全国にシャッター通りが増えた現象です。貧困ニッポン。

マスコミのうち放送局は、電波周波数に限りがあるから自由参入に脅かされない既得権ゆえ、1パーセント側に自動的に属します。日本ではその株式を他国政府が買える甘さで、放送局はグローバル企業の顔です。

その放送局から流す情報が偏向していると日本で言われて久しく、しかしそれを表の争点にしたのは、何と日本の大先輩たるアメリカでした。日本にグローバリズムを伝授し、江戸時代に確立した大和国の構造まで変えさせた張本人なのに。

偏向情報で目立つのはグローバリズム礼賛と、反対勢力への批判です。要するに1パーセントを「理性的」、99パーセントの動きを「感情的」と伝える言葉です。反グローバリズム政治家や支持者に、「感情的になるな」とアナウンスするパターン。毎日毎日、耳タコなほど。

より低賃金でも働く移民難民を利用する、1パーセント側の金欲しさに尽くすヨイショなのに、正義はこっちと引っ張る報道の論調。そこが震源地で、世界を不穏にしテロの下地を用意する構図です。それでは国がもたないと言い出したのが英米で、40年かけて片寄りがひどくなった世界を、今から是正するリーダー争いが最先端の政局です。
|03-18|美術の基盤は経済||TOP↑
日本の人気タレントのマツコ・デラックスが、「みんな限界に来ているのだろう、色々なことが」などと言い話題になりました。これに対する大勢の意見で不思議なのは、「なぜこんな日本になったのだろうか?」と首をかしげる声の多さです。なぜって?、今そこが国際問題の焦点なのに?。

日本がギスギスしてタレントが嘆く原因と、イギリスがギスギスしてEUを脱出する原因と、アメリカがギスギスしてトランプ大統領が当選、ギリシャがギスギスして破たんし、ドイツがギスギスしてテロまで起きた原因はわかりきっています。新自由主義経済を基盤としたグローバリズムです。

ここでも何度か触れましたが、ベルリンの壁が消えてボーダーレス社会が進み、世界各国は激変しました。ソ連など東側国が組み直しになり、世界が資本主義になった変化と、ほぼ同義です。日本では1964年の東京五輪以降の流れで、一線を越えた自由主義を徹底し始めてから国力低下が続いています。落ちた実例は尖閣諸島。

ギスギスの内訳は、極論の台頭と賛美です。日本なら、「労働できない人は死ねばよい」。イギリスだと「EUは死ね」。アメリカは「移民テロリストを追い出せ」。ギリシャは「やること全てだめ」。ドイツは「・・・」。全ての根底に、中産階級の落ち込みとデフレ社会があります。

別々の現象に思えても、ヒト、モノ、カネの国境を消す自由主義で、みんな限界に来ています。色々と。限界の正体は、マネーの奪い合いで疲弊したマインドでしょう。バス会社の旅行業参入自由化で大事故が多発した構造改革の無理も、人心荒廃に反映しています。職員の死に無頓着なブラック企業も、マネーの奪い合いには執着。

90年代の経済人が「今後は株主の利益を」と、一億総中流社会を批判しました。この主張からして極論でした。マツコ・デラックスが語った保育所不足にしても、夫の賃下げを妻が補って生じている面があります。近い将来に日本女性よりもう一段低賃金で働ける外国移民へと、取り替えるまでのしわ寄せにすぎないから、本気の解決は不要な算段らしいのです。
|02-11|美術の基盤は経済||TOP↑
ドイツ車と日本車は、以前から方向性が似ていました。日本車の思想はフランス車とは異なり、イタリアやイギリスとも近くなく、やはりドイツが近い。日本でシェア確保に成功した外車はドイツ車だけと言われ、あたかも日本車の上級グレードの位置づけです。

「日本はアメリカ車に対して不公平だ」とするトランプ大統領の話はウソで、アメ車を日本へ送ると関税は免除され、逆に日本車をアメリカへ送ると関税は2.5パーセントです。驚いたのは、昨年2016年中のフォード社撤退でした。2017年の今、もういない。

日本代理店は111年の歴史だそうで、影の薄さと積極性のない不思議。不思議といえば、98年頃のGMシヴォレーブランドのSUVブレイザーも、日本のランドクルーザー70程度のサイズと右ハンドルで健闘しながら、広く知られる前に打ち切るあきらめの早さ。残された大型のトレイルブレイザーは左ハンドルで全く売れず、奇妙なマーケティングでした。理由は中国重視。

アメリカ車が日本でもてたのは、1970年代でした。マッハワン、トランザム、カマロ、スティングレーといった6600~5700ccエンジンの、異様に大きく低いルーフ、かつ大きいロードクリアランスのスポーティーカーでアイデンティティーを確立しました。

しかし石油価格を産油国が決めるオイルショックで、アメ車は転向や別の引き出しを求められ、失敗して1980年代の日本車バッシングに続きました。日本車をハンマーで叩き壊すテレビパフォーマンス。なのにアメリカでは日本車ファンがその後も増加し続けて。昨年のスバルの爆売れとか。

小型のアメリカ車は欧州車に匹敵しない上に、伝家の宝刀たるフルサイズSUVも近年の重苦しいルックス続きで、世界中で売れない理由はわかりきっています。これはグローバル経済の被害よりも、単純にデザインマーケティングとカースタイリングのまずさでしょう。
|02-07|美術の基盤は経済||TOP↑
少し前にやっと気づいたのは、EUという団体について楽観視しすぎていたことです。二次大戦への反省で、過去に戦い続けたフランスとドイツが中心にヨーロッパ国の連合を組んだEU。その軍事面の平和構築に気をとられ、自由貿易の危険性に気づかなかったのです。実は欧州のTPPだった。

ここの参加者に世界各国で展示している方もいて、スペインのアート界が沈んでいると聞きました。三大画家の効力もなく、東京よりはるかにアートを買う雰囲気がないという。アートが流行っているベルリンとは比較にならないほど。

ギリシャ問題などでEUが混迷し始めたのは、ヒト、モノ、カネの国境を消すグローバル経済の副作用です。国境は本来、国家と呼ぶ地方自治体を健康に保つ安全弁の役割です。物品ごとに関税を上げ下げして、国内の生存権と相手国へのダメージを調整する緩衝帯。グランドデザインの単位。ヒトの移動にも抵抗を設け、「大変化」「極端」を回避して安定を図る。

保護貿易はセーフティーネットであって、互助の基本といえるものです。セーフを禁止したEUは、互助の精神を捨てていました。EU内の互助機能は完備しているのかとてっきり思ったら、内情はハンデをつけない大人と子どものけんかだった。子ども役ギリシャは国家崩壊。弱さを馬鹿にされて。

EU結成時点で、ヒト、モノ、カネが圧倒的に充実していたドイツの一人勝ちは約束されていました。G7でもない諸国たちは、ヒト、モノ、カネを吸い上げられ国家丸ごとシャッター通りと化すような不調、結果スペイン製アートもロンドン、パリ、ベルリンへ流れて空洞化したのかも。

二極集中した勝ち組のひとつイギリスは、移民で生じた人材デフレで中産階級が没落し、EU脱退で国を立て直すところ。唯一の勝ち組ドイツも人材デフレで格差が拡大し、内部分裂が目立ち始めています。トータルすれば自由主義で壊れていく文明の末路であり、ドグマに走って顧みない人類の自滅願望が読み取れます。
|02-04|美術の基盤は経済||TOP↑
円の為替は、海外で行う美術展にも関係します。1ドルや1ユーロが何円になるか、円の数字が高いほど円安です。1ユーロ120円より、130円の方が円安。円が弱い。

円安なほど日本からEU国へ送ったイベント資金は、ユーロ金額が減ります。円安なほど送った1万円が低いユーロ額に換算されるから、現地で使い手が落ちる。その反面、作品が売れて日本へリターンする時に、円換算した日本での取り分が増えます。

海外イベント参加者にとっては、円安なほど参加費が高くなって、その代わり売れた時に多くもらえる計算です。逆の円高になれば、効果も全て逆になります。

25年前のバブル時代後期には、毎日円高の話題がニュースでした。1ドル80円とか。円高だと輸入品が安く買え、当時は海外製品の内需が拡大したのです。ブランドバッグ、音楽CD、高級ウィスキー。また海外旅行した先で、円の強さで高額のおみやげをたくさん買えました。

今は1ドル100円ちょっと。これに対して、アメリカのトランプ大統領は日本国が為替操作して円安に持って行ったと、批判を始めました。この疑念の背景は、自国の通貨を安くするほど、輸出品が相手国で安売り可能になるという、グローバル時代の歪みです。自国の資産を低くして国力を下げるほど好都合な者が主役で仕切る、奇妙な国際競争が続いています。

変動相場でない中国の人民元切り下げの件で、90年代にしょっちゅう議論された話でした。日本はむしろ思うようにできず、やられるだけの為替失策の国だと、延々と言われていたのですが。
|02-01|美術の基盤は経済||TOP↑
1月20日に就任したアメリカのトランプ大統領の欠点は、恨み深いところ。敵の矛先を笑ってかわせない神経質が、折々に摩擦を起こすでしょう。

しかし最も致命的なのは、敵を間違えた思い込みかも知れません。アメリカ国が損をさせられている構造は現にあるわけで、TPPが代表するように資本家の財テクのせいで、産業が食い荒らされる問題です。しかも利益は国に入らず、タックスヘイブンに隠匿されるし。

TPPは国と国の闘いではない。アメリカに工業製品を捨てさせ、日本製に勝たせる。その代わり日本に農作物と医薬品と保険商品を捨てさせ、アメリカ製に勝たせる珍アイデアでした。TPP文書の作成はアメリカ政府ではなく、富の偏在を糧とするグローバル企業の顧問弁護士なのがその証拠。

世界を股に各国企業の株を売買する1パーセントの資本家が、99パーセントから搾取する。そこにメスを入れれば彼はヒーロー。なのに彼がアメリカの敵を国単位で考えているのは、グローバルな新自由主義経済を勘違いしている疑いあり。外国の政府が敵だと誤認しているミスです。

1と99のバランスが崩れた格差拡大で、英米は内部分裂しています。EUや日本など先進国の低調も。そこをトランプ大統領が誤解するなら、反トランプのマスコミたちはそこを意図的に黙っていると予想できます。彼が国際構造からずれたまま倒れると、1パーセント側の支配力は温存できるから。電波放送は許認可事業ゆえ、1パーセント側と縁故を持つ構造です。

さて、似た勘違いをアートで探すと、「芸術が堕落している」の訴えが似ています。確かにそれはあるとしてさらに話を聞くと、「近ごろの作品はきれいじゃないからだめだ」と言う。太古から芸術はきれいごっこでなかったわけで、せっかくよいことを言いながら根拠は「そこかよ?」と、そんな感じ。
|01-24|美術の基盤は経済||TOP↑
1990年代から日本の財界は、株主の利益を説き、主張し通してきました。しかし世界中で次々起きる不穏な事件に、やや躊躇し始めたかに思えます。日本国民に食えない下層が生じることに、否定的な社説さえ出したほどで。本来は関心がない部分です。

新自由主義経済の格差社会によって、世界がどんどん暗転している実態への遅れた危惧という印象。危惧する理由は内需が永年伸びないせいで国力低下し、紛争地に日本がすでに含まれてしまった点と、トランプ次期アメリカ大統領への国際的な同調もあるのかも。

裏には、トリクルダウン説の失墜もありました。トリクルダウンとは、企業が大儲けすると、上層から中層下層へと順々に金が降りて、国民に行き渡る経済原理でした。言い出した者が後に虚偽と告白し、次にタックスヘイブンなる資産隠しの企業リストがドイツでタネ明かしされ、格差を肯定した理論武装もおしまい。まあまあ、株主と企業は別人だから当然でしょう。

もうひとつはイギリスとアメリカで起きた、グローバリズムとリベラリズムへの反動。これがそのまま第三次世界大戦の下地です。勝ち組と負け組の差が開くことで、戦争に帰結した過去の経験則が、勝ち組の視野にも入り始めたのです。てことは、戦争はもう避けられない合図か。

驚いたのは、日本を格差社会へつくり変えた時にお手本としたアメリカが、ウッソーな言い方を始めたことです。グローバリズム批判、新自由主義経済批判、ボーダーレス社会批判が、何とアメリカから出てきたのです。メキシコの自動車工場も。日本は周回遅れで浮いてしまった状態。

アメリカの投資会社の弁護士が文書作成し、日本をアメリカに帰属させる経済ルールがTPPの正体でした。そのアメリカが、TPPは日本によるワナだと言い出す始末。まあまあ、株主と国家は別人だから当然でしょう。
|01-16|美術の基盤は経済||TOP↑
1789年のフランス革命へ向かって社会が動いている最中には、フランスの為政者や周囲の裕福な上層たちは、こう感じたはず。「大衆が感情に走り出してポピュリズムが起きている」と。

フランス革命の現代版が欧米で始まろうとしたのが、昨年の世界史です。それに対して為政者や周囲の裕福な上層たちは、テレビ局と新聞社を動員してポピュリズム批判を展開しました。愚かな低層民が騒ぎ出したと。

ところがネット時代という1789年にはなかった新機軸を背景に、異質な新リーダーが予約されてしまったのが2016年までのあらすじ。

おごれる者は久しからずに該当するのは、登場人物のうち誰なのかという、現代の謎かけが進行しています。日独ではポピュリズムになだれ込むきざしは小さく、日本革命やドイツ革命は準備されていないようです。為政者や周囲の裕福な上層たちは、一応胸をなで下ろしている状態です。

言い替えれば、両国とも国内でガス抜きする当てが用意されていません。庶民はがまんを強いられている気持ちが晴れず、灰色の心理が混沌状態となって長引くのかも知れません。

それにしても、英米など民主主義の代名詞的なリーダー国がポピュリズムで動いたのはなぜか。おそらくフランス革命以来、民主主義の本質がポピュリズムだからでしょう。民主主義を守るために、ポピュリズムをなくそうという議論はおかしい。さあ2017年がスタートしました。謹賀新年。
|01-01|美術の基盤は経済||TOP↑
日本からドイツへ絵画を送ると、関税(輸入売上税)が評価額の19パーセントかかります。これは、ギャラリーやフェスティバルで売れた時の消費税(売上税)19パーセントとは別の税です。

逆にドイツから日本へ絵画を送ると、ネットには関税はゼロと明記してあります。これは実は誤記で、5パーセント程度の関税(輸入消費税)がかかります。これらの関税は、国内生産者の暮らしを守るためにかけるウェイト、ないしハンデの役割です。

太平洋の周辺国が予定したTPPでは、輸出入とも関税撤廃します。当然ながら、日本は押さえられていた工業製品が躍進し、ハンデで救われてきた農作物は衰退します。だから経済団体はTPP賛成派で、野党がなぜと言うまでもなく、企業献金を受ける与党は忠誠心で採決を急ぐわけです。

一方アメリカでは、ハンデで救われてきた工業製品は衰退し、押さえられていた農作物は躍進します。アメリカの工業分野は日本に負けそうでTPPに警戒し、トランプ大統領候補は雇用喪失の危機を訴えたわけです。

関税撤廃は、一国内で強い分野はさらに強く、弱い分野はさらに弱くと格差が拡大します。逆に関税が高いほど社会主義的になり、国内の庶民にお金を回す理屈です。EU国同士は関税撤廃しているので、幸不幸を見届ける実験中です。

TPPはアメリカが仕掛けた日本つぶしだと、日本で陰謀がささやかれてきました。ところがトランプ候補もクリントン候補も、国内がつぶされるとして反対表明したものだから、何が何だか見失った日本国民。自由貿易は国と国の戦いではなく、各国内の職種闘争がその実体だと感じます。
|11-10|美術の基盤は経済||TOP↑
アメリカの共和党は親日で、民主党は親中と言われます。共和党は小さな政府指向で銃規制反対。民主党は逆。なので、民主党のオバマ政権で強いアメリカの存在感が薄れた今、待望される大統領は共和党でした。

その共和党の予備選挙を過激なレイシズムを唱えるトランプ候補がなぜか勝ち抜き、民主党で人望のないクリントン候補の勝利の追い風となった中で、結局トランプ候補があっさり逆転勝利しました。イギリスのEU脱退や、フィリピン大統領の国内人気と似た結果です。

グローバリゼーションこと新自由主義経済により、上層セレブが潤い庶民が底辺に落ちた、いわゆる格差社会への反動にみえます。政策のメキシコ難民阻止が象徴的で、TPP大反対など本音を投げる候補者でした。

トランプ候補に投票するアメリカ人は狂ったとの声は内外セレブたちで、日本でも経済貧困の庶民は外圧を期待して、トランプ当選で世界が混乱する展開をひそかに望んだものです。

従来のトランプ候補の主張どおりなら、日本と韓国はアメリカ潜水艦の核依存から出て、独自の核開発を含む軍拡を促されることになり、アメリカ周辺国のアンチリベラル思想と親しい文脈です。

トランプ当選がサプライズなのは、90年代後半の日本がお手本としたアメリカ格差社会が、日本より先に崩壊を表面化させたことです。労災自殺をまだ珍現象扱いする日本や、在来国民の本音が引っ込みがちのドイツがどう反射するかも、次の世界的サプライズとしてひかえているでしょう。
|11-09|美術の基盤は経済||TOP↑
ハンバーガーショップで、店員をロボット化する第一歩がアメリカで始まり、日本も同じことを急いでいます。店員を不要にし、値段を1円でも下げる決め手。しかし店員は失職する理屈で、その家族は外食を極力減らし、腹に積もる自炊を増やすでしょう。

軽食のハンバーガーがかえって売れなくなるこの道理に、気づいても引き返せないのが人類の運命と思われます。種の自滅へゆっくり向かう、生物の不思議です。ネズミの群れが川に入って行く現象を連想します。

それと美術は関係なさそうですが、売れない地には育たないのも道理で、売れない地の日本ですでに撤退した美術家や写真家は多いようです。日本のこの崩壊を防ぐ課題がまずあります。

しかし上層の富を優先して起きている不況は先進国に共通し、EU盟主で伸びたドイツでもギリシャショックを機に、ギャラリーがいくつも消えています。代わりが増えないから、進出する日本美術のチャンスも縮小ぎみ。つまり、亡命先もまた崩壊するきざしがあるのです。

機会が縮小している欧米で勝つために、これまで好きに作って送っていた作品も、もっと創造性の向上を図るべきと考え、スクール構想を導入しつつあります。単純にヒット作を出していく事態打開法です。

日本に多い中価格帯、およそ個展1回の費用に等しい値段の絵画が、ヨーロッパで落ち込んだ実態も大きい課題です。日本と同様に、先進国の全てで中産階級の没落が起きています。どう動くにしても、芸術に立ち返ることだけは常に考えます。
|09-08|美術の基盤は経済||TOP↑
イギリスのEU離脱で、エリート評論家が的を射ない分析を連発しました。多いのは、「イギリス人は感情に走った」式の論説でした。

EU離脱に賛成したイギリス国民は、自分の生命財産が脅かされていて、回避策を選んだまででしょう。我が身の滅亡を食い止め、長生きできる可能性を求めた、重い決断と思われます。

それを「感情的」「気分的」で軽く片付けるのは、階層の上位者が下位者の命を安く見積もっている証しでしょう。加えて、平等に一票を持つ下位者へのいらだちもあるかも。貴族だけが投票権を持った時代への郷愁まではないとしても。

分析論自体が、下層民へぶつけるヘイトスピーチになっています。日本の感覚では、ヨーロッパは人種問題が激しい印象がありますが、階層問題も負けずに激しいことが読み取れます。事後にばらまかれた悪口が、離脱派が増えた理由を追って補強しているありさま。

この二十年に先進国が好んだ「グローバリゼーション」「新自由主義」「株主利益第一」は、階層間の敵対意識をあおりました。上層のブラック化と下層のテロ化が世界の略図となり、分離独立さえ現に起きていて。先進国は、好き好んで内乱と崩壊を選び取ったかたちです。自滅を急ぐ先進国。

実は日本も、この二十年の政策は階層社会の構築でした。早くからあった伏線は、一億総中流社会を批判したマネーゲーマーたち。貧富の差を日本も広げるべきとの主張。今ネットでよく出る意見「底辺たちの選挙権を廃止か限定せよ」は、日本と島国イギリスに共通する運命を思わせます。
|06-26|美術の基盤は経済||TOP↑

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