ジャパン・フェスティバル・ベルリン会場で、伝統工芸のペーパークラフトとブランド絵はがきの人気獲得に成功しました。一方、ジクレー版画も負けず2ケタの点数が売れました。

「わあ、うらやましい」はちょっと違い、フェアの本道は日本美術の幅を示すデモンストレーションです。層の厚い欧米に対して、まだまだ日本現代美術はニューカマーの種まき状態でしょう。売れるより大事なものは、異種文化の衝撃度です。来て良かったと感じる現地顧客満足度には、見て愕然となった体験が大きいから。

サブカル雑貨に対抗した場が、「芸術の階」でした。芸術創造には相手を悩ませ考えさせる第一義が厳然とあり、吸引力とは逆となる斥力に本領があると思っています。マシュマロふう美術とともに、納豆や鮒寿司、ニガウリみたいな作品も増やしたいところ。

今回、1点は希望価格を調整していればさらに売れていました。しかし間に合わず。他にも売れそうになった意外な作品があったらしく、機会をみつけて個別にお話します。

現地のハイペースなセールストークは重要で、お客は作品の資産価値に納得しようと細かいことを次々質問します。原稿あがりがやや遅れたのは日本側の反省点。原画を上回ることを目標に、版下編集の改良もさらに研究します。
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|01-29|ジクレー版画物語||TOP↑
日本にも作品募集する展示イベントは豊富にあり、地方公共団体が主催する場合も多く、あるいは企業メセナもあります。日本の感覚では、展覧会は何となく上から与えられるイメージなのかも。美術全般を見上げるか見下ろすか、どちらかの人がそもそも多いわけですが。

そんな日本と違い、欧米ではアートフェア会社が繁栄していて、美術が民間活動として定着しています。フェア団体もギャラリーも、緊張感を持って誇り高くもあるようで。

ある新進アートフェアに参加した後、盛況の会場写真が主催団体サイトにきれいに並んでいました、しかし翌々年にはサイトごと全部消えて、フェア名すらネットから完全になくなっていました。全検索すると、何とこちらのサイトが唯一見つかる状態で。

欧米の展覧会は、上が決めたものを与えられるものではなく、みんなが集まって実現しています。Japan Festival Berlinでも、期限までにしかるべき出品アーティスト数が集まって、今回やっと参入できました。
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|01-28|ドイツ事情スケッチ||TOP↑
盛況の2日間は駆け足で過ぎ、現地会場は閉じました。ご参加いただいたアーティストに感謝しています。秋からヨーロッパのテロ問題があり、とても心配でした。西日本は2日間記録的大雪で、その後の今も交通がストップ。ベルリンも一時雪でした。

ふたを開けたら、やはり経験豊富で研究を続けているアーティストは強いのかなと感じました。同型の作品をいくつも作ってあり、ベスト作を選んでいます。人生で傑作は少ないものだから、選び方は重要でした。

もっとも、結果は今回限りの一面です。毎回人気作は入れ替わっているし、別の場所へ持って行くと別の結果になるでしょう。売れたアーティストも、過去には目立たなかったりしました。時間をかけて味わう実験作も多くあるので、対比効果もあったでしょう。

今回は趣向を変え、レイアウトやサインの位置にもこちらから注文をつけ、入稿後につくり直してもらった作品がいくつもあります。何度も何度もやり直した2作は、両方売れました。一方で、サインのない抽象画を途中まで天地逆に置いてしまうミスもありました。

電子版画と絵はがき作品はこれで終わらず、現地ストック作として市場に残り、あるいは店頭に出ます。次のための準備が始まります。
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|01-25|ジクレー版画物語||TOP↑
ブランド絵はがき

会場では、絵はがきも好調です。ひとつひとつは、市中で見かける普通の製品ではありません。常識ではこういうふうにはつくらないという、仕掛けが入っている版がけっこうあります。どう展示するかは事前に悩んでいて、最後にストリートふうに決めました。
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|01-24|ブランド絵はがき物語||TOP↑
アートの階は珍しく複数の出展団体があるようで、激戦の模様。しかし対策もちゃんと考えています。

ただ、やはり立ち上がりが良いのは日本の伝統的題材です。最初から狙われていて、すぐに見つけ出されてしまうみたい。後半には抽象が伸びるのが常です。

ジクレー版画
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|01-24|ジクレー版画物語||TOP↑
日本祭の2日目開始は、11時(日本時間18時)。あわただしい1日がまた始まります。18時(日本時間25日1時)まで。1日目はかなりの大忙しで、まだ情報が来ていません。後でどっと来そうな予感。

今日の日本は全国的に大雪の天候で、南の県の交通は止まっているようです。ベルリンは22日夜にマイナス10度だったと聞いて、今日は日本より全般に穏やかみたい。
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|01-24|ジクレー版画物語||TOP↑
今日23日11時(日本時間18時)開始です。長くて、あっという間の2日間。舞踊や和楽器や武術の出場者もずっと練習してきて、雑貨店たちも夏から品ぞろえを準備してきたのでしょう。こちらも、ずいぶん時間を当てました。

今回のアート展は価格的に大勢の手が届く範囲に入れて、また作品の多過ぎは相手も食傷して売れないと判断し、作風を広げる配分もこらしています。全てが違う作風で、カタログが出せそうなほど。かなり高級な紙も使いました。写真は「源氏物語絵図」(部分)。

ジクレー版画
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|01-23|ジクレー版画物語||TOP↑
さてさて、出展へ向けて最後の準備中です。以前よりも、ここに力を入れています。作品の封やラベリングなどと並行して、作家資料を日本側で編集して、ドイツ側で印刷して事前に頭にも入れておきます。

今回用に色々と秘密兵器を用意しましたが、ツールが豊富なだけでは会場の人の流れに乗れません。ツールも体系的に整備しておかないと、前線での対応に手間取ります。百戦錬磨(実際に向こうは百回超か)であっても、想定の甘さでしくじる怖さはあります。

今回はマイナーな作品にも力を入れています。ジクレー版画化によって全作が厚い超高級紙にきれいに出ていて、個別アレンジもあちこちに入って絵になったものばかり。

開場中は日本側デスクも待機しています。しかし会場の時間はスタコラと速く過ぎるから、前準備が大事。新規ご参加の方にはこの間、少しお待たせしています。

ジクレー版画
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|01-21|ジクレー版画物語||TOP↑
総理大臣も談話を出すという、今起きているアイドルグループSMAPの解散騒ぎは、登場人物の年齢が総じて高いのが特徴です。アイドルメンバーたちの年齢こそが、本来なら副社長やマネージャーの年齢に思えるほど。

日本で40歳はすでにヤングの部類に入っていて、あらゆる職種で若造として認識されていると思われます。たとえば建築設計界でかつて言われたのは、「海外では40歳は駆け出しだ」という忠告でした。日本の雑誌社が、そのあたりの建築家を巨匠格に扱う風潮を戒めたもの。

今となっては、それこそ80を過ぎないと神扱いされないほど、逆転というかスライドしています。日本国民はすでに高齢化社会への心の準備を済ませていて、人口ピラミッドが著しくトップヘビーへ変形している前提で、社会を動かす中心世代を高め設定しているようで。

連想するのは、日本の企業が長く求人案内に書いていた、35歳までという応募資格の年齢制限です。今は国際的な人権侵害抵触をかわすために、表に書くのはやめて、採用対象から外すボーダーラインとして裏で死守し、そこだけがポツンと前時代的に取り残されています。

35歳の区切りはそもそもブラック運営と同根の心情的動機であって、途中入社の全員を「おまえ」と呼んでしごける低位に置く序列維持(新リーダーの出現阻止)が本意ゆえ、理由は常に虚偽説明されてきたもの。しかしSMAP騒動を受けて、今後は43歳までと改正されるかも知れません。
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|01-19|ニッポン事情スケッチ||TOP↑
ジャパン・フェスティバル・ベルリンに出すプリントアート(版画)二種、ジクレー版画とブランド絵はがきの編集が全点できあがり、二つの出力会社に送りました。

今回のジクレー版画は商品開発の手法を使った増刷可能なワンメイクで、参加者の皆様と細かい個別打ち合わせを行いました。手描き絵画は撮影で問題があっても編集で直せます。チェック回数もふくらみました。

たとえば淡くかすんだ絵は日本で好まれ権威になっていますが、欧米の目には主張不足ぎみで見過ごされる傾向があります。「これも日本」と淡くかすませながらも、あの手この手で目立つ絵に仕立てます。こざっぱりした清潔感のある作品は、概して不利というのが国際的な相場だから。

作品は小さい差で注視されたりされなかったりするから、現地の反応も編集にフィードバックさせます。日本みたいに具象か抽象か、人物か風景かではなく、まずは物言う作品が支持されます。さらに、買い気を誘う吉凶の分岐点があるのも確かで、そこを的に入れることを考えます。
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|01-14|ブランド絵はがき物語||TOP↑
プロのジャズミュージシャンで、さっぱりだった一人がソニー・クラーク。世界一著名なブルーノートレーベルに籍を置きながら、地元アメリカのリスナーには空気でした。ブレイクも全盛期もなく、シューベルトと同じ31才で没。53年前の今日。ところが、日本も関わった物語がありました。

レーベルの社長、ドイツ系の男が、ソニー・クラーク名義アルバムを何枚つくってもだめ。彼のギャラをつくろうとセッションを用意し、録りためて機会をうかがっていたほど。でも不思議なことに、海外では売れて印税も出せました。首をかしげる社長。「なぜか日本では売れている」と。

当時の日本でなぜ売れたか。一因はジャズ喫茶で、また彼の作曲と演奏の影も指摘できます。小気味よいフレーズにも、いちいちブルージーなかげりが張りつくピアノ。晴れたそばから曇って、スモールスケールに回り込む。鍵盤を強打しても、人間の弱さを思わせる憂いの曲たち。

ネットにはテクニシャンとあり、しかし彼はスタイリストであって技巧派ではなく、ミストーンも多め。名盤とされる初期『トリオ』でも、出だしで音抜け多発。しかし弾けばまとわりつく陰影の哀調に、日本の感性が合った一例でした。ちなみに、これと正反対の大振りで明朗な自信家ピアニストもいて、アメリカでは名士で日本ではさっぱり。

年月経て、アメリカでも評価されました。日本で売れた決定盤以外に、当時のお蔵入りやローファイな北欧ライブも含め、残存テープが全て発掘され、リマスターで新発売となり。オリジナル輸入レコードの中古盤は高騰し、今も日本国内に多いと考えられます。
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|01-13|芸術の秘密と謎||TOP↑
絵はがきも分類はオフセット版画であり、ジクレー版画と同様、立体造形を平面化できます。作って、撮影して、編集してと、三段階の工程で版下ができます。

これは植物と鉱物のコラージュです。植物を直接材料に使う制約は、小サイズにとどまる点と、時間がたつと変色が進む点。そこで原作が完成した時に撮影すれば、当初のライブ状態で永久保存でき、大きく伸ばしての回顧展も可能になります。この例では、原作から時間がたっていますが。

最初に写真スタジオで撮影したら、全くデッドに写ったのでボツに。本来は展示会場で光を当て、向きを見つけて鑑賞するジオラマなのでしょう。幸い入稿締め切りがないから、撮影機材を新調して見え方を探し出すことになりました。

ブランド絵はがき
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|01-10|ブランド絵はがき物語||TOP↑
美術品を撮影する時、フルオートカメラは不便です。オートフォーカスやプログラムオート露出、マルチパターン測光、オート感度、オートホワイトなど日常撮影で便利な自動メカが、美術に限っては失敗撮影につながります。

たとえばマルチパターン測光(評価測光)は、適正露出を経験データで割り出すテクノロジーです。輝度分布をパターン認識し、極端な明暗や逆光でも、大失敗せずに写ります。しかし変則すぎる分布だと外すし、評価に地球面の上下も含まれ、カメラの縦位置で倒す向きが左か右かで結果が異なる不合理もありました。

美術撮影に向くカメラは、手動操作が用意されたタイプです。全てが切り換え簡単な一眼レフなどを入手すれば、次にやることは測光。単体露出計がない前提で、カメラ内蔵の反射光式露出計だけで、作品を照らす光のEV値を知ることはできるか。今、一件その課題に当たっています。

たとえばアニメセル撮影用の標準グレー板があれば簡単そうですが、基本原理を心得る必要はあります。絵画と写真の両方にまたがったアーティストは、こうした光の性質の理論にも関わることになるでしょう。
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|01-08|写真とカメラの話題||TOP↑
半月後に迫るジャパン・フェスティバル・ベルリンに出す作品、そのアートアクセサリー部門にいくつか応募がありました。しかし残ったのはひとつだけ。壁は輸出入コストでした。実費以外に、作品を送り迎えする人件費もかさむのは、物を移動する場合の条件です。

アートグッズの出品希望は、前々から一定の割合で来ています。しかし遠い異国では、売価がそれなりに高いか、宣伝効果で次につなげる目的が必要です。グッズである以前に、アートである格のようなものも期待されます。通販されておらず、模倣されにくいものという条件もあります。

今回クリアした工芸は、手がかかるのが強みです。軽めで壊れにくく、日本的でサプライズもあるタレント性。高価なデモ作品以外に、規模の小さい普及作品も用意します。90通以上の長いメール打ち合わせで、細部まで仕様を詰めました。

アートグッズ
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|01-06|ミニマム個展物語||TOP↑
正月にデパートで福袋が発売され、例年どおりの人気でした。中味は値段以上の物だから一応お得ですが、買うまでわからず、いらない物なら損します。「自分なら必要な物を普通に買うよ」という声も聞こえてきて。

中味がわからない福袋を買う一番の目的は、物語性と思われます。偶然出会った品物との関係を、自分でうまくつくっていくドラマが期待されるでしょう。堅実な消費行動とは、また違う楽しみです。

福袋の中が普段買わない上位価格帯のコートなら、たとえ色やデザインが好みと違っても、上位グレードの品質だけは試せます。いつもの自分なら買わないはずの物に当たることで、未知の世界を体験できて、話のタネにもなります。それは楽観主義的なロマンであり、悲観的な人は福袋を買わないのかも。

美術品の福袋を考えてみました。どんな作品が入っているかは買わないとわからず、中の作品と対面してから関係を自分でうまくつくっていくドラマが始まります。

いつもの自分なら見ないはずの作品に当たることで、未知の世界を体験できて、話のタネにもなります。逆もあって、印象派や野獣派のファンがアート福袋を買って、あけてミロやポロックだったら困ってしまうとか。

楽観的なロマンで美術展が楽しめる人は、少ないのかも知れません。が、年輩の中にも現代美術をどんどん見て回り、あれこれ想像する趣味の人は意外にいます。展示場を怪しい福袋と見立て、価値のわからない未知数に触れてみるロマンは人類から消えないでしょう。
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|01-03|芸術の秘密と謎||TOP↑
謹賀新年。次の目標は、マネージアンドプロデュースの進化です。ちょっと前までは、「作家の未来は作家しだい」でした。今では変えています。作品選定の共業から始まり、徐々に制作コラボレ企画に進んでいるところ。

この方針をとった理由は、一人の力が限られている事実です。独力のピークは必ずしも独力では伸びずきらず、周囲の好条件があってやっと実現していくという、経験則や歴史教訓があります。

作品は作者の子どもみたいなもので、本人は全作品にそれなりの愛着があります。しかし他人が見れば、どの子が才かはすぐわかるでしょう。身内はかえってわからず、自己採点が難しい問題があります。ピークの出る幕で、アベレージで挑んで済ませてしまう失敗がよくあるのです。

制作が行き詰まるのも似ています。我が子は育てにくい面もあるから、学校などという制度もあるわけで。非凡に育てる仕掛けが必要とわかり、黙々と作品を往復させるだけでは足りないと考えるようになりました。
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日本現代美術をドイツへ

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