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2016/09/30

東京オリンピック2020の経費節減思想

残り4年を切った東京オリンピック・パラリンピックは、今も準備が動転しています。予定した費用の7300億円は、再計算すると4倍の3兆円に上がり、東京都のツケ支払いが恐ろしい負担になるとの議論が出てきました。

ただ問題の根は、烏合の衆的な部会で進めたコンセプトなき失策であり、ハイコストの善悪はコンセプトしだいで変化すると思われます。というのも、増えた2兆2000億円は、札束を燃やしたりビットコインで海外に奪われはせず、主に東京都の業者への委託料だからです。全くの無駄でもなく。

一億総中流をやめてグローバル経済に過剰適応し、国際的にも貧困傾向が目立つ日本での、突然の五輪。国力が落ちゆく最中に行う意義は、財政出動の名目があるからでした。

東京都が赤字でも、域内の民間が潤えばよしとする計算も可能で、庶民が質素な暮らしを捨てて飽食に走る景気浮揚の流れに合います。日本のような先進文明国では徹底した節約こそが逆回転であり、そちらにこそ特別なコンセプトが必要なのです。

ハイコストに都民の不信が大きくなるのは、元請けが搾取(ピンハネ)して海外隠匿し、ついに東京にも地方にも還元されずに終わる疑いが強いせいでしょう。トリクルダウン理論がウソで決着し、タックスヘイブン疑惑は本当だったという、ネタばれの後ということもあって。
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2016/09/28

1000兆円の借金と美術のネガティブ情報

日本は累積した借金が700兆円もあり、子孫が返さないといけない、いったいどうするつもりか、という議論がずいぶん前からありました。現在は1000兆円を超えているという。世界最大の絶望的な借金。

しかし少し前から、パタッとその議論が消えました。あれほど国のゆくえに暗い影を落としていたのに、右も左も言うのをやめたのです。理由は借金相手が自分だったからです。それを暴露した有志が何人もいて、ある時点で主流に転じました。

日本国政府は日本の金融機関から1000兆円を借りていて、その原資は国民の金融資産でした。自分のへそくりを出していたかたちとわかり、放置してもよくなったわけです。欧米から借金していたのではなかった。

こういう国家的なデマ論争を思った時、果たして美術に関する世間の言説は大丈夫だろうかと考えます。ネットを見ると、アートとアーティストに関するネガティブ情報が本当に多くあります。アーティストたちが高をくくるうちに、国民が好かない人種として定着しつつあって。

美術界自体を攻撃する下げ情報を、極言的な笑いネタとせずに、額面どおり真に受けて思想形成する国民が多いはず。アートを理解しましょうと呼びかけるサイトさえ、ネガティブな空気に同調していると知り、今こちらで次元の違う教育サイトを作っています。 現代美術はわからないサイト
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2016/09/24

与那国島の海底遺跡、芸術と科学の逆位相

『与那国島の海底遺跡』が、今もブルーな話。青い海に沈む『与那国島の海底遺跡』を、古代の建造物だと直感した人がいました。階段や祭壇があるから、太古の人工的な神殿だと。ムー大陸かアトランティスではと。

が、日本の考古学で人工とみる人は皆無です。自然物とする根拠は、新しい地殻変動がなかった地で、全体が100分の17も傾いている点。ステップ段差が不ぞろいで、1メートルなど人間は歩けない。そもそも人間に可能な組石造でなく、岩盤削り出し構造だし。旗竿の穴はウニの穿孔習性。

世界に多々ある自然の造形でした。しかも現場近くの陸上に、もう一セットあるのです。方状節理なのでダブル天然記念物で誇るべきが、一人だけが水中の方のみ人工物と主張し膠着しました。プレゼンテーションを外国で行ったから、日本考古学界のレベルは低いと外から見られてしまって。

おもしろいのは、その一人は専門外なのに別分野で地位が高いそう。一分野の有力者が別分野で権威を発揮したケースに思えます。人工説の論文に誇張や変な記載がいくつか見つかり、当初から指摘されました。

いまだに答は出ていないと誰かが蒸し返し、海波で直線が作れるわけないだろと無意味に騒いで抗するうちに、すっかりイメージダウンしました。後の新型細胞事件も、似たパターンをたどったような。

素人のトンデモを歓迎するロマンや、専門家を軽視する自主性を、芸術でやらず科学でやる。これは世界中にみられる人間的な反応のようで。
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2016/09/20

日本向けの現代美術解説ブログを企画中

新しく美術情報ブログサイトを設計中です。ネット時代を活用して、国内で美術鑑賞する人たちに、芸術の謎について入れ知恵する試みです。作者ではなく、鑑賞者に向けた傾向と対策の研究会といえるもの。

発端は、欧米の美術市場が日本よりずっと活況な現実です。日本を活況に変える下づくり策もあるはずと考えました。たとえばドイツの大型展示会の主流はアートフェアですが、日本では公募コンテスト展か歴史名作展が幅をきかせています。ドイツはバザーで、日本は見学会がメイン。

なぜ違うのかを分析して、鑑賞する側が知るのもよかろうと考えています。日本の美術家が、日本の国民性に合わせて作っているのも確かだから。自国民の許せる範囲に、作品が収まっている疑いがあります。

まず本を8冊出し、その外伝を掲載する場をつくります。現代アートどころか、美術は全部苦手と言って終わりな人が日本にあまりに多いのを、いつまでも見過ごせないと考えました。
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2016/09/14

日独の芸術の技術

公募展の審査やギャラリー展示の許可で、「技術も見ます」などと断りが入っていたら、いかにも前時代的に感じられます。古い眼鏡で作品を見て切り分けるつもりかいなと、一瞬いやな気分になるのが現代人。

なぜなら、20世紀の前衛芸術運動によって、共通に心得るべき技術なるものが消滅し、美術の技術力は個人単位の領域に達成度の物差しをまかされたも同然だからです。アートは何でもありだから、「技術」の語に多義性が含まれ、とっくに使えないBuzzwordと化しています。

ところがドイツでは技術力を求められます。これは簡単にいえば、プロ仕事として見せて魅せる充実度があるかの常識的な意味です。言い換えれば、「うちの子でも作れそうだね」と見られる作品では通用せず。素人的ナイーブは、日本では親近感が出せても、ドイツでは価値なしの扱いです。

日本では、絵の技術を言い出せば具象デッサンの腕を意味しやすく、だから抽象画には技術の概念がないといえます。写実の技術がない画家が、精進をあきらめて抽象に走った、逃げたとみる意識も根強くあって、これも日本なりの技術観の形成原因でしょう。

技術重視と言い出せば、「えっ、具象画しか許されないの?」という不安になりかねない日本。技術の語を参加者が違う意味に受け取る危険と隣り合わせで、話がやりにくい問題があります。
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2016/09/08

人類の未来と日本美術づくりの未来

ハンバーガーショップで、店員をロボット化する第一歩がアメリカで始まり、日本も同じことを急いでいます。店員を不要にし、値段を1円でも下げる決め手。しかし店員は失職する理屈で、その家族は外食を極力減らし、腹に積もる自炊を増やすでしょう。

軽食のハンバーガーがかえって売れなくなるこの道理に、気づいても引き返せないのが人類の運命と思われます。種の自滅へゆっくり向かう、生物の不思議です。ネズミの群れが川に入って行く現象を連想します。

それと美術は関係なさそうですが、売れない地には育たないのも道理で、売れない地の日本ですでに撤退した美術家や写真家は多いようです。日本のこの崩壊を防ぐ課題がまずあります。

しかし上層の富を優先して起きている不況は先進国に共通し、EU盟主で伸びたドイツでもギリシャショックを機に、ギャラリーがいくつも消えています。代わりが増えないから、進出する日本美術のチャンスも縮小ぎみ。つまり、亡命先もまた崩壊するきざしがあるのです。

機会が縮小している欧米で勝つために、これまで好きに作って送っていた作品も、もっと創造性の向上を図るべきと考え、スクール構想を導入しつつあります。単純にヒット作を出していく事態打開法です。

日本に多い中価格帯、およそ個展1回の費用に等しい値段の絵画が、ヨーロッパで落ち込んだ実態も大きい課題です。日本と同様に、先進国の全てで中産階級の没落が起きています。どう動くにしても、芸術に立ち返ることだけは常に考えます。
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2016/09/04

ネット時代の画集出版作戦

「ソース厨」なるスラング。ネットの活字情報で、元ネタ文章がネットにあれば信じ、なければ虚偽とする主義です。あるSNSをこの主義でウソ呼ばわりした人が、後で事実と知って反省する話題が海外にありました。

インターネットの後に生まれた新世代の人は、ネットを全情報がそろったセンターだと信じやすいもの。しかしある程度先輩なら、20年前に買った本は、内容の片鱗どころかタイトル名さえネットにないと知っているでしょう。

国会図書館に収蔵された活字情報にくらべ、ネット上の活字がいかに少ないか、何万分の一で済まない少量だと勘づいているでしょう。しかも、同一文章がネット内で何度も複写されていて、オリジナル文はなお少ないのです。質の高い情報はネットにないのも常識で。

ネットニュースも雑だったり、内容の間違いや結論の不適切が多く、これは文筆ライターを雇う際に買い叩いて生じた悪文の氾濫です。アクセス広告収入でかせぐ目的のダミー文章だから、釣る目的で無関係なタイトル付けもしばしば。「事故原因がわかった」とタイトルがあって、読んでみると原因不明になっているなど。

ガセネタに満ちたネットでも無料ゆえに伸びて、いっそう価値が落ちた紙の書籍出版ですが、画家が作品集を紙媒体で出すか電子で出すかも、混沌としています。電子出版は作品集サイトで足りる気がしますが、新しい需要がつくれないか考え始めています。
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2016/09/01

宇宙人からの信号と洗脳の関係

最近、遠い宇宙の高度文明から信号をキャッチしたというロシア科学アカデミー。しかし、地球人のしわざだったオチ。科学研究では、未調査で発表して期待させ、調査後に否定結果を知らせる順序がよくあります。

以前、光速を超えた実験が話題になった時もそう。相対性理論が崩れる予感。が、タキオン粒子に似た概念なら光の一兆倍かと思えば、小数点以下のうんとうんと微々たるオーバースピードだという。そこまでわずかなら測定誤差だろと外野から言われ、やがて測定誤差と確かめられ沈静化。

おもしろいのは人の心理です。「驚異の発見だあ」「いや間違いでした」、「ないはずがあった」「いややっぱりなかった」、「従来をくつがえす」「いや従来の範囲内だった」と、びっくりがっかりを延々と続けるうちに、人々の被暗示性が高まり、浮き足立っていくから。

ナチスの宣伝相ゲッベルスのメソッドに、「うそも100回言えば真実になる」がありました。オカルト事象や心霊現象も、焚き付けと種明かしを繰り返すうち、現に人々は信じる派へ染まっています。詳しく調べた分が全てウソだった事実を、わきへどけてまで既成事実化を済ませた庶民。

日本で類似の疑惑に、「芸術は難しくてわからない」があります。「意外に簡単だね」と感じかけた人も連れ戻す、社会規範として機能する決まり文句です。日本の美術業界を小さく縮めた、100回以上のマイナス効果です。現代美術がわかったら、罪だと思わせるほどの圧なのかも。

放置すると日本は縮むばかりだから、ここで一発、本を出すことにしました。美術に関してどんなウソが100回言われてきたか、人々の感性がどう曲げられたかを考える本です。全巻のうち一部はもう発売中です。
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