日本のニュース番組で近年話題になった、現代アートフェスティバル。都市の喧噪から離れた郊外、あるいは田舎や離島などに現代アート作品を集めて展示するイベントです。お祭りの見世物と親睦会の目的があります。バーベキューとビールが人気。

それに対して欧米でいうアートフェスティバルは、要するにバザーです。買い物をする市場を開く意味。だから伸び伸びする郊外ではなく、サイフを取りに帰れる日常の距離で行われます。日本の美術祭とドイツの美術祭は、方向性が全く異なります。ドイツでは遠方に隔離しない。

ジャパン・フェスティバルのように欧米以外にアジアにもある日本特集や、先輩のジャパン・エキスポも同様に商戦の場です。だから出展者は、日本人以外も混じります。人が集まる場では、売れたが勝ちの論理。

「この作品で驚かせてやるんだ」「話題をさらって新聞に掲載されたい」という目標は、日本の事情です。世界中の美術祭ではその手の戦いではなく、お客に多く高く売ることで社会貢献します。当然我々も、多く高く売れる方向に引率します。親睦会や思い出づくりよりも優先して。

ジャパン・フェスティバル・ベルリンのステージプログラムでは、各国の人たちが日頃の日本文化技芸を披露します。一方でアートの階にはドイツ国内コレクターが買い出しに来て、業界人も回っているとわかってきました。たこ焼きや日本酒の宴の中で。

だからここでも、「結果は参加者の力しだいです」なんて話はやりません。「こうやれば反応は良かった、これだと悪かった、この方向なら伸びそう、こういう改善もあり得る」と、売れる確率を上げる話し合いになります。
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|10-31|ドイツ事情スケッチ||TOP↑
アメリカ民主党のケネディ元大統領暗殺事件の公文書を、共和党のトランプ現大統領が公開する話題。暗殺だからむろん陰謀ですが、主犯が公的機関にいると世間で言われ続けた最大の理由は、銃弾の不合理でした。

大統領の被弾は、背中と首を後から、頭を前からとされます。逮捕され二日後に殺されたオズワルドは、大統領を後から撃てても、後へ向けたマンストッピングはできません。近年の情報は、3種の銃から計5発だという。狙撃者は3方向にいたのに、公式記録では単独犯。独りなら、誰が口封じ?

事件後たくさんの憶測やつくり話の陰謀説が故意に流され、論が踊りました。かなり前に日本のテレビ特番を見た後輩がこう言いました。「大統領の奥さんが、散らばった脳を手でかき集めるシーンが放映された」と。今のネットでも同じ説明が出回っています。

いわゆるザプルーダーフィルムを見ると、なるほどオープンカーのトランクリッドに乗り出した妻ジャクリーンが両手でゴシゴシします。ところがよくよく見ると、そうはしていません。ジャクリーンは、片手で何かをつまみ上げただけ。かき集める動作とは違う。よく見れば。

「両手で脳をかき集めた」ではなく、「片手で骨片を拾った」が正解だそう。直行した病院で医者に渡した記録があります。だから、彼女が車から逃げ出そうとした説もつくり話。言葉説明に引っ張られて、映像が違って見える不思議な現象が起きた例です。

美術でも「この絵はこれこれです」の説明で、似た鑑賞体験が起きるでしょう。言葉に引っ張られ集団勘違いが起き、デマも生まれやすいでしょう。ところでこの公文書というもの。ゴッホの当時の公文書がみつかれば、絵に関する秘密やおもしろネタも出てくるかも知れません。しかし現実は、当時無名すぎて他人による記録なし。
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|10-28|芸術の秘密と謎||TOP↑
というわけで、作品画像データのバックアップが課題です。メディアは三つ必要です。原理のヒントは、WindowsとMacの上書き保存コマンドにありました。上書き保存とは、元データを画面に読み出し(開き)、内容を変更して、元データにかぶせて更新する操作です。上から書き変える意味。

昔のMac歴が長い方々は、上書きの時にデータを全て失った体験が何度もあると思います。これがWindowsソフトでは起きなかった理由は、アプリケーション動作順序が違うからです。設計思想の違いらしく。

まず予備知識として、上書きは見せかけです。データを重ねて差分のみ替えたりは不可能だから。上書きの内訳は、元データを消して画面データを新規保存するだけ。元の属性や履歴を裏で引き継がせて、差分更新したかに見せかけ、実は新旧データを丸ごと交換するだけ。

旧Mac用ソフトの動作は、そのままの順序でした。元データを完全消去し、代わりに画面データを新規保存する順序。一個に減らして、二個に増やす順序。ところがこれだと、一個に減った次の瞬間にフリーズや停電が起きると、元データと画面データを両方とも失います。さっきまでディスクにあった元データまで蒸発して。

一方のDOS用やWindows用ソフトは、自動的に画面データを拡張子「bak」で新規保存し、次の瞬間に元データを完全消去します。その次の瞬間に、「bak」データの拡張子を「ai」「png」などに書き換える順序です。三個に増やして、二個に減らす順序。新旧データが計一個になる瞬間を生じさせない仕組み。画面の一個なら、なおさら。

このフェイルセーフ思想は、手動のデータ複写でも使えます。つまりバックアップ用のメディアは、メインディスク以外に二個必要です。保存場所は、計二個ではなく三個必要。
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|10-27|パソコンとネット関連||TOP↑
絵はがき展を始めた理由のひとつは名刺です。アートフェアはアーティストの宣伝目的だから、名刺の備えは自然なこととして、場所と整理で意外に高コストです。自作した名刺を送って置いてもらうのに、追加料だとか。

そこで名刺を大型化して絵はがきにし、制作企画にした事情もありました。相手が捨ててしまうメモ相当にとどめず、商品化しました。ついでに絵はがきブランドを用意しました。

通常はがきサイズでは目立たないから、大判です。国内のポストカードにないサイズで、色もとてもきれい。その後、日本の印刷所で絵はがきの種類が急減したのは、2014年の消費税率上げ以降で、印刷料も日本の方がずっと高くなっています。

一品のジクレー版画と違い、量産する絵はがきはオフセット印刷で、これも版画に分類されます。ドイツではアートグッズだけでなく、鑑賞用ミニ作品としても買われます。絵はがきとジクレー版画は競合するから、作品選定の大事な条件です。

現地のはがき印刷は色彩がよいから、画像は厳選します。制作中の一枚は撮影画像がいくつかあり、解像度、階調、ディストーション、ノイズの何かがアウト。原画は売却済みで、以前あったゆくえ不明画像を探し、受信ホストで見つかりました。きれいに写っている画像で一安心。

ジクレーよりもオフセットの方が、原稿の条件はシビアです。原理的に分版とスクリーン処理が入るので、縞模様が出るなどトラブルも多く。撮影用カメラの性能も欲しく、撮影法も重要だから撮影ガイダンス企画があります。絵画撮影というマイナー技術を、生涯に一度だけ覚える企画です。

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|10-25|ブランド絵はがき物語||TOP↑
今でもたまに誤解があるのが、ジクレー版画展の参加資格です。ジクレー版画の本を読んで勉強したり、ジクレー版画セットを買って彫刻刀で彫るとか、版画家になる訓練をイメージしているケースがありました。

実際にやる作業は、作品を写真撮影するだけ。調達が必要なのは版画づくりキットではなく、デジタルカメラです。版画業界で版画に定義されているジクレーなる技法は、厳密には技法ではありません。表現法と言っても、何か違う。

人によってやることが違うからです。ある人は油彩画だし、アクリルや水彩画かも知れないし。クレヨンや鉛筆も当然あります。さらに、風景を撮った画像をジクレー化してもよいわけです。間に絵をはさまなくても。

それはむろん写真作品と呼びます。写真引き伸ばし機(エンラージャー)を使った従来の暗室作業は、後にミニラボに替わり、写真引伸プリンターかジクレープリンターに替わりました。シャッターを押せばジクレーにできるから、人類全員が訓練なしにジクレー作家になれます。

ジクレーの条件はインク吹付プリンター出力なので、レーザープリンターで印刷するとレーザー版画と呼ぶべきでしょう。90年代に日本で大売れしたアメリカの版画に、輪転機で印刷したオフセット版画がありました。これは虫眼鏡で見ると網目になっていて、簡単に判別できます。

ジクレーの利点は、原画を売った後に版画で再販できることでしょう。昔はデジカメがなかったから、自分のヒット作を手で模写して、木版画に彫り直して量産しました。知られる実例にムンクの『叫び』があります。
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|10-19|ジクレー版画物語||TOP↑
日本の衆議院選挙は、何が目的かの論争から始まりました。この28年の流れでは、東京を火の海にする予告に対応する足場固めが8割で、お友だち優遇政策糾弾に煙幕を張る副次目的が1割というところでしょう。

昔2発落ちた核の3発めが、新たに日本の何県何市に落ちて何人死ぬかを予想した書籍が売れゆきを伸ばす中、遠いEUの悩みのひとつはスペインの内部分裂です。芸術関連でよく聞くカタルーニャ地方が独立し、スペインを去る住民投票が終わったところ。まるで日本からの愛知県の脱退。

スペインに限らず世界のいくつもの国は、旧ユーゴスラビアと似て別文化圏をつなげた構造だという。それを接着する安定経済も、EUへ加入して国内の自治権をなくしたせいで不景気続き。昼食時間が長いエンジョイ型のスペインは、勤勉なドイツに食われ再起不能らしく。金の切れ目。

カタルーニャ州はスペイン最東部でフランスと接し、バルセロナ市を含む地中海に面した地理。独立後にEUに単独加入する希望があるらしく、するとまた自治権をEU本部に召し上げられ再び失墜が予想されます。

EU国の内紛は、ナショナリズムとグローバリズムの対立が原因です。前者は自国ファーストで、国家単位の安定で世界が安定する価値観。後者は株主ファーストで、国家を壊して人・物・金の移動を自由化すれば、利益が極大化する価値観。カネをめぐる階級闘争なので、フランス革命の現代版であり、焦点は人道や人種ではなく富の配分です。

EU国でグローバリズム反対派が伸びたのに、日本の衆議院選挙にナショナリズム政党はありません。これは、日本で野党がかみ合わず空回りする理由と同じでしょう。ところで日本には美術という与党に対し、現代美術という野党があり、かみ合わないというより互いに無視しています。
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|10-12|ニッポン事情スケッチ||TOP↑
テレビ特集番組で知られる、バングラデシュ、ミャンマー、マレーシアなどの国名が出てくるロヒンギャ問題。南アジアの国籍なき人々の集団ですが、日本では群馬県に多いそうです。国籍がないまま民間に退避。

そしてミャンマー国では国際問題となり、各国が責め立てている最中です。差別はよせと。しかし訳ありな過去のいわくが大きいから、差別をやめろとだけ圧力をひたすらかけるのはまずいのでしょう。

東京での話。パビリオンに入る行列に並ぶ日本人が、1人の外国人旅行者からあなたの前に並ばせてくださいとお願いされた。時間不足で困っているならと、係員を呼んでOKを出すと、観光バス3台分の人を連れて来たという。1人なら許せても、100人は許せないのが普通。

日本でロヒンギャ問題が破裂しないのは、人数が2百数十人だからです。ミャンマー国では50~80万人とされ数千倍です。この数量の程度問題を考えないで、ミャンマー国は差別がひどいと各国報道やコメンテーターが叩くのは、たぶんまずいのでしょう。

ドイツのデュッセルドルフ市には日本人が多く、ジャパン・デーと呼ぶフェスと日本人街もあるという。しかし合計5千人だそう。企業の派遣であれ1年以上いると移民になりますが、その規模なら許されるのでしょう。選挙権もないし。でも100倍の50万人となれば、扱いが変わる覚悟も必要でしょう。

差別差別と簡単に口にする前に、負担できる国力かも計算に入れないと、たぶんまずいのでしょう。人間の力は無限ではないから、程度の問題を考える習慣を国際社会は持つべきでしょう。程度問題への配慮を欠いた原理先行のポジショントークは、世界の歪みを拡大する方向でしょう。
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|10-07|その他||TOP↑
昔、後輩のHが「東ドイツは理想の国だ」と言い出したのです。首都東ベルリンは幸福に満ちていると言い張って。「壁で分断された冷戦のベルリンがか?」とたずねると、「壁も冷戦も全部ウソでそんなものはなくて、自由に行き来できる楽園だ」と。こちらが絶句すると、Hは真剣で得意げな顔。

Hは自力の思考ではなく、おそらく何かの本を読んで思想を固めたと思われ、冷戦時代のソ連筋からのプロパガンダを信じたのでしょう。当時テレビニュースによく映っていたベルリンの壁を、実在しない架空だと言い出すとは。ジェーンエア年鑑などもあるのに、洗脳される若者の怖さ。

ベルリンの壁は1989年に東ベルリン市当局の伝達ミスで急展開し、西へ侵入する東市民を放置する命令が東から出て運命の扉。背景はむろんソ連初で最後の大統領ゴルバチョフ。壁はハンマーや削岩機で壊され、翌年統一ドイツに戻ったのです。東ドイツ生まれの女の子が、今はドイツ国首相としてEUを仕切る出世。

この壁のゴタゴタによって、ベルリン市内は今も開発途上都市であり、建設工事のクレーンや道路の掘削があちこちでみられます。首都でありながらも主要企業は他市へ避難していたので、ベルリン市は総合アート情報都市を新たに目指すことに。

その街づくりのダイナミズムもあってか、変化のテンポが速い。今日あるものが明日はないかもというのは、展示場所もそうです。ここで10回展示会を開いてと始めたら、9回目の直後になくなってしまいました。

今あるものを今すぐ活用しないと、流れに乗れないのです。来年はもっとよくなるだろうと期待すると、国際都市だけに他国へ持って行かれたり。混沌に生じる番狂わせを、アートコレクターも狙っていて。日本からも街づくりに加担しつつ、運を引き寄せる余地が大きい今です。
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|10-04|ドイツ事情スケッチ||TOP↑
東京23区の私大で定員増を許可しないとの、有識者の提言がありました。全国から若者を召し上げる人材吸収を防ぎ、地方創生につなぐ提言に思えます。23区内の私立大学と短大は、収入増ができず困ることでしょう。

この提言には保護主義批判以前に、因果の不合理があります。かつての流行語「抜本的な解決」に照らせば、結果の方を動かして原因を変更するという因果の逆転を犯しています。本来なら、原因をいじって結果を変えるのが正常思考で。順序があべこべ。

類例があります。最低賃金の上昇は好景気時の大盤振る舞いだから、景気が最悪な中で最低賃金を上げて好景気に至らせる発想は不合理です。この倒錯の古典が、アフリカ各地の現地人の行動「腹を壊した子には水を飲ませないように」でした。道理が逆で、子どもの脱水死が続出。

日本が東京一極集中を今も続けるのは、国民の総意です。スケールメリットで国際競争力を保つ決意で、意図した中央集権です。現に都内の再開発は目白押しで、方や地方は道州制に関心なし。自治体の首長の多くは、自立を否定し東京から税を受ける従来方式を希望しています。

皆がトーキョー圏の城下町になるのが、全国的な願望かも。どんな才人も名古屋や大阪にいては上がれない現実があり、多くの企業や有力事業所も、地方の時代が叫ばれるのに合わせて、東京に本拠地を移してきた過去があるのです。一例は地方街づくりの論客でもある、建築の安藤忠雄。関西を去ることで、国づくりにも関与できた。

その中で大学生のみ流入制限するのは、誰に見せたいお芝居なのか。国策は頭脳の流入大歓迎だから、私大に限らず誰も従う気にならないはず。東京キー曲のテレビに出る者だけが日本を代表し、他は無名の存在でよしとする割り切りは、ネット時代にも肯定されているのだから。
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