ユネスコから勧告を受けた軍艦島は、写真集が前からたくさん出てお宝になっていました。古い写真ほど、現地の建造物が原型をとどめているからです。

海底炭鉱につながる小島の上に築かれた町がゴーストタウンとなったもので、最近の話題は007シリーズ映画にセットが登場した件。力強くも怪しげな、日本の七不思議的な空間です。人がなぜ廃墟に魅了されるのかは、美術やデザインに関われば一度は感じる問いでしょう。

生活の跡だからという以前に、絵画彫刻と同じ次元で、壊れた物体がある種の美を感じさせる現象が核心にあります。逆にきれいに整っている間は特に感興もなく、ボロボロになってからアートテイストを発散し出す謎です。江戸以来のエネルギー史への関心よりも先に来るのが、冥界や魔界のビジュアルイメージ。

ごちゃごちゃ感、素材の荒れと汚れ、凹凸の影は、ドイツでおなじみです。古建築を転用した展示場内部にしばしば見られ、シュピネライやベルリナーリステ会場もそうでした。日本ならきれいにリフォームして新築に近づけ、不動産価値の回復を図るのが普通でしょう。穴を埋め戻して、壁を全面塗装して。陰影を消して、明るく清潔に戻すのが日本式。

そうはせず掃除するだけのドイツでは、廃墟が気に入っているのか、気にならないだけなのか、改修費の削減にすぎないのかを、前にも現地にたずねた気がします。日本の軍艦島とも似て、現代人の芸術的感心に引っかかるものがあるのでしょう。
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