人が作る作品は、際限なく上がり続けはせず、上がって下がります。ピークを境に衰えていく宿命。ところが、だんだんではなく突然、以前のようには作れなくなる現象があります。多かれ少なかれ、全員に。

手の能力低下ではなく心因性でしょうが、かといってスポーツにみるメンタルの変調や、ハングリー精神の喪失なのかは疑問もあります。想像するのはバランスの崩れ。年季によって爛熟モードへ突入し、荒削りから洗練へ、簡潔から冗長、ダーティーからクリーン、キレからダレへとパワーダウン。

要は、前はできた深い表現が、浅い表現しかできなくなる問題です。大まかで彫りの深い大声の作品が、細かく彫りの浅い小声の作品へと、小粒化する変化が一般的でしょう。

この変化が顕著な分野は音楽で、クラシックピアニストにも急に弾けなくなった元天才が何人もいます。指がもつれたりではなく、表現の平坦化。神がかったり、悪魔がかった奥行きがなぜか消えてしまい、普通の演奏に変化しての早期引退。

ロックの歴史で知られた衰退コースは、新アルバムほど演奏が完ぺきでスムーズで、リスナーは眠く印象に残らない現象でした。回避策は、ビートルズなら作曲の持ち回り、キングクリムゾンやフリートウッドマックはメンバーチェンジ、ドゥービーブラザーズやシカゴはジャンル変更という具合。

メンバーチェンジできないソロの場合、どう克服するか。この課題は極めて本質的なので、時々触れることにします。
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