文化活動は景気と関係して上下しますが、同時に上下するのではありません。美術景気は、社会経済の好景気に先行するようにみえます。

今から一番近い過去の美術ブームは、あのバブル時代でした。しかしバブルの引き鉄となった「プラザ合意」より前に美術の活況は起きていました。そして、空前の好景気を全員が感じた不動産獲得ブームや、三大スポーツブームが全盛の頃には、美術は引き潮に変わっていたのです。

さらにさかのぼった半世紀前、東京五輪前の1950年代美術ブームも、高度成長よりも先に始まったようです。美術ブーム30年周期説とは別に、景気前座説が考えられます。

80年代後半は、金利操作による株価爆上げがなくとも好景気だったと想像できます。するとその前に何があったのか。まず近代美術館建設ブーム、有名な町おこしブーム、ロフトやフィッシャーマンズワーフ活用ブーム、メセナブーム、公共彫刻ブーム、パフォーマンス広場ブーム、版画ローン購入ブーム、そしてインスターレーションブーム。

ただし、メセナ以外は足が速かったものでした。当時のにわかギャラリストたちが肩で風切ったかと思えば、半年後に展示スペースも部署も人も消えていた高速回転ぶり。美術景気が早じまいした後に、バラ色の好景気たるバブル時代を人々が謳歌した順序でした。

なので、好景気を受けて計画された公共建築では、イベントスペースやパフォーマンス広場はすたれて用意されなくなり、むしろ死語となっていました。理想のイベントに参加しようとねばって待った美術家たちは、出番なしに終わった、それが80年代の一面でした。
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