電子版画を、電子絵画と混同した話がありました。両者は全く別です。電子版画とは、油彩画や水彩画を撮影しプリントした作品です。対する電子絵画とは、ソフトウェアで描いたサイバーアートです。筆記用具は、電子版画は筆で、電子絵画はポインティングデバイス。

プレス機、つまりプリンターなる装置で刷った平面作品を、昔から版画と呼びます。英語でプリント。西欧ルネサンスのプリンターは凹版のエッチングでした。一部の浮世絵で使われたプリンターは凸版の木版で、当時の新聞である瓦版も同じ方法。後世の教育用や家庭用プリンターは孔版のシルクスクリーンが多く、「プリントごっこ」という商品名が知られました。

現代では、まずオフセット輪転機があります。1990年頃にローン購入が流行った絵がオフセット版画です。次にチバクロームカラーコピーシステム、そしてカラーレーザーのコピープリンターが現れ、インクジェットプリンターやプロッターが登場します。1997年に記念すべき6原色インク。

現代の何が電子化かといえば、画像の供給です。貼り込みレイアウト用紙や、イメージセッター出力のリスフィルムから、パソコン出力のデジタルデータへと入稿法が変わった点。プレス機に送り込む情報からしてデジタルなのが、現代版画の特徴です。

ちなみに、電子版画はサブカルとは無関係です。コミケ系の各地催しでは漫画家のイラストジクレーが人気ですが、ネットショップでは油絵ジクレーの高級額付きが売れ筋の定番です。「非常にきれいだからアートです」がショップの言い分ですが、別に汚くてもアートです。

最も売れるプリントは、今も『モナリザ』と『ヴィーナスの誕生』だとか。こうした作者がノータッチの純粋な複製画も、ジクレーの美麗さに乗じて版画と呼ぶべきという議論があり、定義も少しずつ変動します。
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