「ジクレー版画に向かないのはどういう作品か」という質問が時々来ます。万物は撮影してジクレーにできるから、「向き不向きなし」が答です。しかし逆に、撮影できないものはジクレーにできない理屈です。

たとえば、誰も見たことがない、誰も知らない何かは、ジクレーにできません。記憶にあって取り出せない、思い出の光景も同様です。見えない何かをジクレーにするには、見える何かに作ってからになります。

以上はナンセンスな議論に思えますが、ひと頃流行った空白作品がこれに該当します。買ってきた白キャンバスを展示会場に並べて、各個人の心の絵を投影してください式の作品は、ジクレー化が困難でしょう。

つまりジクレー版画づくりには、トンチ的な概念飛躍を許さない面があります。「目をつぶってください、何か見えますか、見えたものが僕とあなたの共同作品です」というメンタル系のプレゼは、ジクレー化では無効という。

向かない作品はわずかだとして、非常によく向く作品はあります。最有力なケースは非売品です。内外価格差が大きい場合や、作品自体が手を離れている場合に、ジクレー化すれば原画なしに展示販売を続けられます。それが許されるのは作者だけだから、活用したいところ。
関連記事
スポンサーサイト

|10-20|ジクレー版画物語||TOP↑

リンク

カテゴリ

最新記事

月別アーカイブ

最新トラックバック

QRコード

QR