日本で個展をやろうとギャラリーを訪問し、証明書を求められた画家がいるかも知れません。国内外の大きい賞をとった証明、または欧米アートムーブメントの影響を受けた証拠、東京の有力者が書いた紹介状の三点です。

この三点セットへの依存は、マネージャー氏がポートフォリオ作品を見ても判断できず、活字情報を頼っていることを意味します。自力では画家の価値を測れず、外部の評価に頼らざるを得ない実情です。要するに、うちは芸術はわかりませんと、画家に告白したかっこう。

この時、画家は悩み始めます。この地において、美術が一番できるプロ画廊がこれだと、客も知れているだろうという不安。芸術がわからないと最初から釘を刺された場所で、やる意味があるのか迷い始める画家。

日本では、美術の価値は中央の偉い人が決め、地方へ伝令が行くイメージが定着しています。若い画家たちは作品の工夫で先は開けないと知り、資格社会と縁故社会に合わせた身の振り方を迫られるのが実情でしょう。

そこで、試しに外国へ出品する。そこには、審査を通過した作品のみ展示される検定発表会はなく、展覧会はアンデパンダン展式の商談の場がほとんどです。客の誰も、芸術がわからないとは言い出さない。わかっているかどうかは別にして、無名の穴場を狙ってくる客の多さ。

この時、画家は悩み始めます。この地において、美術で一番伝えたいことを決めていない不安。自分の価値を知らない不安。芸術がわからないと言い出さない相手に、いつもの証明書が通用しない不安。
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