清潔感という議題が現代美術にあります。この物語の中では、特に。

ペーパーアートコレクション2014で、最初に売れたのは木版画でした。その伝統版画、今どきの強みのひとつが汚れです。版画につきものの部分ムラや版ごとのばらつきが、現代に失われた何か不足分を埋めているのだろうと感じます。

日本美術のひとつの流れとして、もう長く精度競争している感があります。作品をがんばって作りますという時、ある種の正確さを求めることで、純度を上げる意味が混じってきます。同時代の工業製品に引きずられたのか、うまい絵とはチリひとつないクリーンが前提というような、きれい志向。

こうした清純に向かう新作美術に対して、版画は逆です。陶芸で、二年に一度しか出ない色なんてのがありました。本釉トルコの還元焼きでまれに出る、不思議な渋い空色とか。そこまでは化けない版画にも、思わぬおもしろい成果へ転ぶ可能性はあります。多色刷りのずれ具合なども。

その逆へ自動的に向かってしまう悩みが電子絵画です。特に3D系は普通に作ればすっきりクリアーすぎて、エディトリアルデザインにでも似てきて、芸術テイストが薄れます。そこで、マッピングで汚したり、ソリッドやサーフェイスを歪める技術が多用されてきました。

電子絵画では、きれいを極める作品はまだ道半ばで、汚す作業はこれから折り返して高度化すると考えられます。手づくり版画に生じる汚濁は不慮であるだけに、人がわざとやる汚し作業を迫力で上回っています。
関連記事
スポンサーサイト

|08-30|作家方針の工夫||TOP↑

リンク

カテゴリ

最新記事

月別アーカイブ

最新トラックバック

QRコード

QR