1969年から72年まで7回中6回成功し、12人が月に立ったアメリカのアポロ計画。さらに中国が送った探査機が写した、2014年の月面写真も公開されています。ところがそれらの写真に、素人から疑惑の声が出ていました。

星空の疑惑です。月面の真っ暗な空になぜか星がひとつも出ていないから、写真はニセの月面だと言う。アリゾナ州の砂漠にでも建てたスタジオで撮影した世紀の大陰謀。地球の巨大な屋内スタジオの黒塗り天井に、光る星の点々を美術さんが作り忘れたポカ。「それを見抜くことのできた僕の何と賢いことか」。

その主張は、カメラの仕組みを知る者には、相手にする気も起きないほど初歩的な勘違いです。しかし物ごとを知らない人ほど、けたたましく勢いが強いもので、裏世界でこじれています。

「それはこういうこと」と親切な人が現れて説明を始めても、当たり前と感じながらだと舌足らずで、めんどうになって一言であしらったりもします。すると疑った側は、極秘の機密をかぎつけた自分に対して、闇組織が反応して煙に巻いたと、さらに本気で疑いを深めるわけです。

プロ写真家が一番わかる解説はこうかも。月面は13EVで撮り、天文雑誌の星空はマイナス7EVで撮り、晴天のベルリン市街は13EVで撮ったと。

カメラに限らず道具の全自動化が徹底すると、物の仕組みを知らないだけでなく、仕組みという概念があること自体に気づかないユーザーが増えます。人間の生身の技能が昔より下がった状態です。身近な例は電子炊飯器を使わない炊飯。べちゃべちゃ。何でもできるが腕はないという、肥大した全能感と乏しい実力の落差が人類の近年の悩みでしょう。
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