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1958年のフランス映画『モンパルナスの灯』。モジリアニを病院へ送った画商が、彼の家に出向き絵を買い込むシーン。あの首の長い絵を次々と手に取る、画商の真剣な目が印象的なラストでした。

弔い合戦の準備ではなく、実は安く巻き上げようと画家の妻に一芝居打ったのでした。陰うつな画家と、悪質な画商。映画にショックを受け、美術界の正体を心に刻んだ人が多いのですが、むろんフィクションです。

途中で映画監督が交替し、シナリオ変更でもめたとされ、特に架空の画商を加えて実話とかけ離れました。モジリアニはピカソらとも写真に写り、パリ美術の赤塚不二夫みたいな人気者でした。ところが日本ではモジリアニ論も、画商論も、このウソ映画を実話と信じた上で語られています。

たとえ不人気でもじきに売れるはずと見抜く目や、爆買いする度胸がある者は、金の卵を葬らないはず。画家を生かして独占契約でもうける方が効率がよく、画商の取り分も増えるはず。なぜなら、画家が没すれば値下がりが普通だから。脚本は漫画的で、トンデモ映画に仕上がっています。

ところで映画の画商は、もしかしてヴォラールを意識した配役だったのかも知れません。ヴォラールの方法は希少性重視で、審美眼でなく孤立作品を狙う原理主義といえるもの。世評のある優良品はスルーして。

友人のピカソらにモジリアニを引き上げる権威があるわけもなく、後に巨匠となる面々の人気者も売れず力尽きる。ワルが画家をつぶした割り切り方ではなく、創造者たちの悲運を正しく伝える映画が待たれます。
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