プリント展に出品して残った作品は、回収しないと著作権を失わないかとの心配が時々聞こえます。簡単な話で、日欧はベルヌ条約に従います。作者と作品を保護する原則で、日本は明治時代の19世紀に加入しています。

作品の正体を、物体とコンテンツイメージに分けて考えると簡単です。ベルヌ条約では、コンテンツイメージが守られます。ブツの話ではなくて。他人がコンテンツで得するうまい話を、ことごとく禁じる条約になっています。

作品の売買や譲渡は、ブツの所有権の話です。ブツの権利は小さい。作者から作品を買った人は、その実物をどこかに展示して入場料を得られますが、印刷は不可です。これがベルヌ条約。ポスターもカタログも絵はがきもつくれない。絵の画像的な中味、図案としての意匠やアイデアは、ブツを手放した後も作者が持ち続ける約束ごとです。

その権利が誰かに渡る抜け穴を疑う原体験に、日本の慣行がありました。地域の展覧会などに出品すると、コンテンツイメージの版権を主催者が得て作者が失うとした、悪質な規約が現に多かったからです。参加者を弱者とみたてて、出品と引き換えに著作権ごと巻き上げるという、合法を装った搾取が日本で横行していました。

絵画とコンテンツイメージの関係は、CDと曲、本と文章の関係と同じです。ブツとコンテンツを混ぜた話や、違法コピーや模倣ネタ活用、インスパイアを与える損得まで混ぜると、著作権の原理がみえにくくなります。

ヨーロッパで作者のサインが信頼されるのは、誰の作品かの直接証拠があると、オリジナルの値打ちやプライオリティーが保てる理由もあるのでしょう。箱書き的なお墨付き以前の問題として。
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