ジクレーとは、原画を撮影しインク式プリンターで刷った版画作品です。プリンターとプレス機は同じ性質のものです。この方法が昔あれば、喜んだ画家はムンクでしょう。彼は後にあの『叫び』を自分で木版画に彫り直し、複製して売りました。

「ジクレー制作は未経験だし、普通に原画を展示したい」という希望も聞きます。前はその普通どうりにやっていましたが、現地で通用しにくいとわかり変更しました。原画だと作品内容ではなく、値段が通用しなかったのです。原因は内外価格差です。

たとえば音楽CD。一昔前に国内盤は一枚3000円でしたが、それを香港に輸出すると現地価格1800円でした。裏を知った日本のリスナーは逆輸入盤を買い始め、国内メーカーが一定期間逆輸入禁止にしました。あの頃のアメリカでは、旧譜CDが1000円程度。

日本のみ高額なのは美術も同様で、日本の画家が外国デビューした時、高くて売れないか、安売りを余儀なくされます。現に何度も売れた画家は、ぐっと低い希望価格を書いていました。これだともったいなくて自己A級作を送れず、B級作で妥協したり。最高作が大作だとお手上げ。

しかも、美術展の目的にも内外差があります。日本は見物が目的で、ヨーロッパは売買が目的。非売品相当の高値だと、相手の関心さえスルーしやすい。それほど、現地では世界のアートが集まり、国際市場化しています。売買総量も日本よりはるかに多く、価格破壊しています。

ジクレー化の読みは当たり、売れる作品数は増えました。売れない理由は値段かも知れないという迷いは消え、作風の嗜好や完成度などに課題を絞り込めます。原画展の場は、別ステージで用意します。
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