日本の美術界の特徴的な構造は、「伝統具象」と「現代抽象」の並立です。「伝統的な具象画壇」と、「現代アート界」に大きく二分されています。思想も尺度も人脈もショップも、何もかもが異なる別世界へと離反。地方美術館のもめごとも多く、現代アートの仕掛け人がクビになったあの事件もそう。

しかしドイツでは、そういう分かれ方は特にないようです。日本でなら現代美術展とタイトルをつける行事も、ドイツでは単に美術展です。ドイツで新作展は全て現代美術なので、あえてそう呼ぶ必要もないから。日本の会社求人案内に、「現代人求む」と書かないのと同じこと。

つまり日本で現代美術は特殊化しています。一般の新作美術とは別枠に分けられています。一般の新作美術とは、印象派や野獣派の延長にある近代具象画壇と、地域の油絵グループやスケッチデッサン画サークルなど、おなじみの社交場です。

日本のそのゾーンを現代美術と呼ぶと何だか調和せず、昭和歌謡をロックと呼ぶ感覚に近いでしょう。日本の現代美術は現代音楽や現代バレエと同じで、理解しがたい意味も込めて呼ばれます。これが特殊化。「僕は現代美術を作っています」と自己紹介すれば、変な人に思われそうな社会。

「ドイツで美術展をやります」と呼びかけると、カテゴリーのミスマッチを心配する質問者がやはり現れます。国際的な場の現代アート展に、自分のような古来の具象画は参加資格があるのかという不安が、今も残っていて。

ドイツでは全てが現代美術になるので、具象画壇の絵も区別されません。日本ではあまり見ない、派閥を超えた展示光景になります。伝統的な具象洋画は、ここでのプリントアート企画では、日本的なモチーフを選ぶことが増えます。縮小加工するとサブカル風味も帯び、見た目が日本画に近づくからか、現地でどちらかといえば売れる方です。
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