芸術弁論タブーのひとつは、外国アートにくらべ日本の何かが劣っている話題です。が、もうひとつ顕著なのは、人類にとって芸術の意味が変化している話題かも。悪い変化はタブー。ダーウィンの進化論と似て、拒絶反応が素早い。

ちなみに進化論が今も猛烈に攻撃される動機は、よく言われる宗教との整合問題は二の次です。最大の動機は、猿が人間に進化するという誤読による、チンパンジーなど霊長類との確執でしょう。えっ、誤読だって?。

進化論を嫌う感情の正体は、人の祖先が猿だとは許せない自尊の思いであり、だから昔からダーウィンを猿の顔に描く報復行動が多発。しかも実は曲解です。ダーウィンはそんなことを言っていません。言わないのに言ったとカッカする人類の事情は、類人猿を嫌う深層心理でしょう。

かくも感情で収拾がつかない類例に、ロストテクノロジーがあります。昔の人にできて、今の人にできないこと。MT車のダブルクラッチ?。一例はエジプトの大ピラミッドで、現代人が信じたくなる説は、「当時地球に飛来した宇宙人がピラミッドを建てた」「それなら今できないのも納得」。

これと同じ感情がアポロ陰謀説で、50年前の人にできて今の人にはできないから、映画監督がスタジオで収録した壮大な芝居だった説が、正論を圧倒しています。若者のほぼ全員が半信半疑で、ピラミッド同様に永劫疑う動機を乗り越えられない人類の宿命でしょう。

このロストテクノロジーが、芸術に起きている疑いがあります。昔の作品を見てインスパイアされ、燃える思いで作った成果が自動的にショボくとどまる現象です。要するに彫りが浅い。口に気をつける公人の弁みたいな制作態度の縮こまりで、太古よりも必ずスケールが小さい凡作どまり。個人の問題というより、人類が何かを喪失しつつあるプロセスの疑い。
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