作品見本で時々見かける細密な線画について。細い線だけのイラスト画で、インクペン、ロットリング、ボールペンなどで細かく描き込まれています。ビートルズの『リボルバー』のアルバムジャケットを連想するタイプ。

このタイプの欠点は、少し離れるとかすんで全体像が見えず、展示会場で脇役になりやすいところです。室内作品というより、机上作品というか。あるいは音楽でいえば無伴奏ソロみたいな略式で、主賓としてフィーチャーされない場では、線の細い印象だけが感じられて物足りない。

音楽の演奏で、細い音を太い音に改造した一例に、ポール・サイモンの『The sound of silence』があり、プロデューサーがボブ・ディランのバンドがスタジオに来た折にアテレコさせ、どっしりした伴奏を加えたシングル盤です。20代前半のソングライターを、一気に世に知らしめた裏話でした。

では美術展会場で、細いペン画を知らしめるにはどうするか。ひとつのヒントは、『リボルバー』にありました。このジャケット画には線ばかりではなく、濃いベタ部分も多いのです。最初から全体のメリハリが計算され、伴奏もちゃんと鳴った、それなりに重みのある絵だったわけです。

ペン一本で自由に描くうちに、単調で均質な眠い絵に向かっていくパターンがある気がします。原因は、混じり気のない純粋を求める気持ちかも知れません。しかし芸術鑑賞する側は、混じり気と不純を求めています。
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