日本で「自分は暗い絵が好きです」と言い出せば、引きこもりのネクラ君にイメージされたり、社交性の乏しい問題児などと思われがちです。影のない明るく快活な性格に見られたい人たちは、暗く重たい作風を鬼門として遠ざける傾向がやはりみられます。

「芸術は最後は好き嫌いの問題だ」の言い方がダウトなのは、芸術はデザインと違い精神の暗部に触れる力があるからです。好き嫌いの割り切りで済むのは、あくまでも商業次元。最もむき出しに人間描写に迫れる絵画を、デザイングッズ的なC調にとどめる値打ちが、どの程度あるかという。

今でも公募などで「明るい作品求む」の一言がそえられるケースがあり、皆さんそんなにダ・ビンチやルーベンスやドラクロワの作風が大嫌いなのか、現代の偏食ぶりに逆に開眼するほどです。しかし画廊の半数は、黒ずんだ影差す作品を店のイメージダウンとして警戒する実態があります。表裏のない青空系を歓迎する、さわやか指向を前面に。

この空気がヨーロッパにもある前提で乗り込んだところ、日本と国民性が似るとされるドイツでも、暗い絵は平気どころか興味ありとわかりました。陰気な絵を見る人の顔は陰気ではないし、繰り返し売れたシリーズも暗色の重い絵だったし。

この文化ギャップのせいで、暗い絵でアングラのオタクが演出できる日本での利点が、ヨーロッパへ持って行くと期待できなくなります。重い色調が思弁的な挑戦者の証しとなる日本とは、また違う計算が必要になります。
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