かなり前に、まずいものを食べ歩くクラブが、東京だかにありました。まずい料理はなぜまずいか、グルメを裏返して真実を探る試み。

しかしまずい料理によくある特徴はわかっていて、味がないことです。典型は、一時流行った野菜スープの缶ジュース。野菜を水で煮た液体部分だけの商品で、味がわずかすぎて水っぽかったので、健康への効果をことさら訴えたのに非常に短命でした。誰も二度と買わないひどさ。

まずは味がかすんでいることが、まずさの秘訣です。にぎり寿司でも、へたな冷凍でネタの味が抜けていると食べるのが困難です。味が変だからまずいケースは、かえって少ないのが実態。わざと塩を多く入れてゆでた、食えないカニの食い放題は、まずいとは言わず塩辛いと言う。

これを応用して濃い美術作品を作ろうとした時、反対派がいました。「主張する美術は僕は嫌いだ」という言い方が、文化人のエッセーなどで昔から多かったのです。かすんだ薄味を高く買う論調になっていて。

ペンキを投げつけたサプライズアートが流行ったことがありました。そうした前衛に対する嫌悪のけん制にとどまらず、キャラの立つ美術全般へお見舞いするヘイトスピーチが盛んだった一昔前のことです。今もあるかも。

国際的には、ドーンと主張するアートの方が幸い多いのです。展示バトルでも発言力があるし。コレクターの価値観もメリハリ重視の傾向。まずい例なしと言われるカレーとは対照的に、野菜の水煮に相当する美術はやはり短命です。
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