日本はもう長く価格破壊の時代を続けて、欧米先進国の感覚とずれてきた面があります。人件費の概念もそうで、欧米では人が動けば金が動いて、あれもこれも有料です。アートフェア作品を送っても、荷物保管料を毎日とられるから、現地に基地を持たないと実現性がありません。

日本なら誰かがタダか安く働いてくれる発想が起きますが、先日のニュースのように、ドイツの地方は最低賃金が日本の178パーセントだったりします。サービスを受けたら払い、しかも高い。これが人権意識を形成し、この方向を進めた国がスイスとされます。

これを思い知ったのは、外国語訳でした。現地の誰かがヒョイと訳してくれると見込んでいたら、向こうの知り合いに縁故で頼んでも有料でした。他人の時間や腕をタダ借りする慣習がない。これだから、ベルリンの中堅ギャラリーに作品を一個置いて世話してもらうだけで、自動車の値段の請求が来るわけです。

以前ネットで仕事依頼サイトに、こういう求人説明がありました。

「我が社は、誇りを持てる素晴らしい仕事を提供します。引き受ける方は社会人として自覚を持ち、仕事をきちんと正確に誠実に行ってください。ただし報酬はありません」。日本の出版関連会社が本気で出した求人で、零円で他人を動かそうとしていました。

ドイツの感覚なら、フェアリュクト。あちらでは「やりがい搾取」のたくらみは一般化しておらず、人の買い叩きを前提とせずに回っている点に注意を要します。この内外差は意外に見落とすのです。
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