FC2ブログ
2019/05/20

ゼンメルワイスの死闘と日本現代貨幣の新千円札

「外から帰れば手を洗いなさい」という親の小言。「なぜ?」に答を出したのは、ゼンメルワイス(センメルヴェイス)というハンガリーの医者でした。彼はある謎に首をかしげました。出産後の母親の死亡率は当時三割で、彼の病院でも一割前後で、しかし医者でなく助産婦がやれば半減するのはなぜか。

医者の手から何かが出ていると推理したゼンメルワイスは、試しに医学生たちの手を消毒液につけてから母親に触れさせると、死亡率が十二分の一へと激減したのです。そこで彼は、医者の手が何かの毒物で汚れて死なせていた説を唱えます。その解決策もセットで。

彼は医者をクビになり、狂気の人と呼ばれて大学からも追われ、精神病院へ送り込まれ撲殺されます。この時の医学界の行動が「センメルヴェイス反射」とネットにあります。医学界にとってゼンメルワイスはおじゃま虫で、その後も医学界が母親の死亡率を高いままにしたのは言うまでもなく。

センメルヴェイス反射の語が急に表に出たのは、『現代貨幣理論』と呼ぶ今ホットな経済原理が、ゼンメルワイスの説と立場が酷似するからです。現代貨幣理論では国内の自国通貨量の上限を、インフレ率で決めるのが正論と解きます。緊縮財政で公金を削減して増税する日本の政策は、デフレ時のデフレ促進策なので、文明史上最長のデフレも貧困化も老舗企業倒産も、説明がつくという。

ところが従来の経済は、総額一定のお金を分け合う思想です。お金を市場に増やし需要創造する正論が不都合な権威者が多く、マスコミを動員してセンメルヴェイス反射を始めました。連想したのは、ピカソに死刑を宣告したフランスサロンの画壇です。ピカソは撲殺は免れたものの、悪口雑言にさらされました。

ゼンメルワイスの説を実証して名誉回復に至らせたのは、よく知られたフランスのパスツールとドイツのコッホなど細菌学の研究者で、コッホの十歳下の助手が北里柴三郎。次期千円札の図案。人類が微生物と死闘を繰り広げ、勝ち目を得た最初期の闘士たちでした。
スポンサーサイト
関連記事
2019/05/18

日本は本当にダメなのかと問われると答えにくい

日本はダメだと言われたのは1990年代後半で、「終わった」「終了」の声が広がりました。2008年頃のネットがひどく。現代のベートーベンやSTAP細胞のてんまつを指して、日本はもうおしまいのフレーズが飛んだのは2014年後半。

日本が落ちぶれ、国力が下がり、途上国化したのは事実です。たとえば有名企業が海外に買収され、技術が流出したり、学術論文の激減、海外団体からの貧困児童勧告など。一方テレビには「日本すごい」特集が増え、内外の動画も多い。それなら2019年5月の日本は、果たしてすごいのかダメなのか。

日本は病気だと言われ続けました。病状は無駄の多さ。公金の無駄づかいで、お金がなくなる慢性病だという。やり玉にあがったのは全国の高速道路と、瀬戸内海の5つの吊り橋でした。そこで平成30年のうち22年間は、お金を使わない主義に徹したのです。

そうして1997年から無駄を削減し続け、でも凋落が止まらない。それもそのはず、診断も治療も逆で、日本はデフレ不況と呼ぶ節約病だったのです。節約気運を日本の俗語で「不景気」と呼ぶわけで。節約で国が衰退したと気づいた国民は一部で、今も国民から意見を募ると、さらに衰退させる案がどっと寄せられる始末。

国を人にたとえます。屈強な人を指して、君は危ない死ぬぞと誰かが言った。死亡を防ぐために、食事制限して一日一食で量も減らした。その人はやせて衰弱した。それを指して「ほらね、言ったとおり危ないでしょ」「健全化するには食べる量はゼロを目指そう」と。この種の集団パニックはたぶん1941年以来です。

普通に食べていれば、屈強なままでした。食べるのをやめて弱体化したわけです。「日本はダメなのか、すごいのか、どっちですか?」の質問には、何と答えたらよいのでしょう。健康だったのに、誤診で病弱に変えた。この悪い冗談のような自滅を、言い表す四字熟語が今週のクイズです。
関連記事
2019/05/13

幼児教育・保育の無償化法案への批判が何か変

幼児教育・保育の無償化法案が国会で決まり、そのための財源とする消費税10パーセントへのアップがほぼ確定しました。興味深いのは、このニュースへ国民が投稿した意見です。たとえ話に替えて考えます。

船員が冬の海に落ちて、海上に漂ったのをヘリで救助されたとします。次に何をやるべきかの対応が国会で法律化されます。船員を水風呂に長く入れることが決定されます。当然国民は「とんでもないことはやめろ」と非難ごうごうです。

国民はこう批判するのです。「どうせ汚れた水を使うんだろう」「風呂を無料にするのか代金をとるのか」「待機している者は置き去りかよ」「風呂の残業と長時間労働に反対する」「風呂の会社とグルの政治家は辞職すべき」「まずは国会議員の総数を減らせ」と。

「入れるならお湯の風呂だろ、水じゃなくて」の声が出ないのです。たまにあっても賛同者は少ない。人の体温が下がれば温める、上がれば冷やす。すると死を防げる簡単な原理を、国民が知らないなら批判もバラバラに散るでしょう。

焦点は幼児教育のあり方ではなく、経済成長です。デフレ時は減税して消費を温める。インフレ時は増税して消費を冷ます。今はデフレ時だから減税の時です。少年ジャンプが売れない理由と、福島原発が壊れた理由は同じで、デフレ不況下の増税と出費削減が犯人でした。こうした予備知識なら一応どの分野にもあり。

「違う、そこじゃない」「その心配はずれてる」は、美術にもあるのでしょうか。セオリーといえるのか、作品鑑賞は価値でなく形と色を見るのが基本です。新作の価値はゼロが普通なので、古典名作以外は鑑賞不能になるからです。こうした予備知識なら一応どの分野にもあり。
関連記事
2019/05/12

美術作品の価値がわからない日本人の悩み

最近、個人サイトのアドレスを引っ越しました。プロバイダー契約に付属する容量貸しがデフレ不況で廃止され、紹介された別事業者の無料スペースは、CGI やPHPはあれど広告が出る欠点があり、結局独自ドメイン内に収めました。

サイト移設は検索ランクを受け継ぐなら手続きがありますが、訳ありで裏技だけで済ませたら、早く検索に現れました。そのついでにあれこれ検索してみると、目についたのが「美術の価値がわからない」と書いたサイトの多さです。

「美術がわからない」でなく「美術の価値がわからない」と、「価値」を書くのは実に日本的です。国民が芸術を理解できない前提で話が進められている問題です。ドイツでは普通、「自分はこの作品のよさがわかった」と思って買うわけです。

ところが日本では、「自分はこの作品の価値がわかるべきである」と思いやすく、鑑定みたいな鑑賞になりがちです。価値とは値上がり益の見込みかという、揚げ足とりは一応やめておきましょう。

としてもその裏には、神が知る絶対的な価値がある前提で話をしている疑いがあります。ポピュラー音楽を「聞いたがわからない」とは言いますが、「聞いたが価値がわからない」と言うでしょうか。美術の時だけ価値にこだわるみたいな。

価値は神ではなく人が決め、雲の上の人ではなく僕らが決める。この正解を音楽の時は発揮し、美術の時は消える条件反射がくせものです。万物に固定した価値なんてものは実はないから、自分なりに賞味すれば済むことです。美術鑑賞こそ自分勝手の発揮しどころなのに、皆さんコチコチでギクシャク。
関連記事
2019/05/09

大津市保育園児死亡事故のガードレール論

日本国民の勘違いは、琵琶湖畔の大津市保育園児死亡事故でも炸裂しました。典型例がこれ。「歩道にガードレールや道路ポールがあれば防げたなどと無理な要望はやめて、車の運転は一人一人が気をつけよう」という発言です。このよくある模範的発言は完全に間違い。

この考えが招いた取り返しがつかない失敗が、福島原発でした。「堤防を高くしていれば津波が防げたと無理な要望はやめて、不景気の実情を計算に入れて、工事をどんどん削減すべきだ」と、2011年から散々聞いたものです。

普通に考えて、ガードレールや防潮堤で危険率を下げるのが、国の統治でしょう。倉敷市の川の堤防も、削減して途上国並みの水びたし。大事なのは、ガードレールは日本の道路を管轄する日本の自治体が、日本のメーカーに日本円で払って買う点です。日本日本と、日本しか出てこない。

アメリカ製やドイツ製のガードレールと違い、日本製だと円で払ってドルやユーロは払わず、国内で完結します。正攻法は、日本銀行が国債を発行し市中の銀行預金を通して、地方に補助金を渡せば解決します。増えた政府債務は国内の財産になります。死者数の減少と引き換えたかたちで。

ところが根本が誤解されているのです。ガードレール代が自国通貨建てだと知らない。国内では好きに資金創造して、買い物し放題だと知らない。お金を自在につくれると知っても、天罰を受けそうで怖い。結局ありもしない怖い神に、園児の命を差し出しておしまい。皆で運転女性を叩いて終わり。

道路整備のお金がないのは、あえてお金を刷らない特殊な思想信条が続くせいで、原典は1947年の進駐軍の法律条文だという。全国の小学校長は、通学路の歩車分離とガード設置を長年要求し続けてきました。設置費は円で、財源は印刷インクだと国民が理解すれば、敗戦時の人命軽視の原則を72年ぶりに変更できます。
関連記事
2019/05/05

2019年は日本と世界の経済が変わるかも知れない

キリがよい数字でない1989年に、日本は昭和から平成に変わり、消費税導入で不況の発端となりました。世界では、ドイツ人の手でベルリンの壁が壊され、東西冷戦終了と欧州国再編が起きました。ユーゴスラビアが分裂してクロアチアやセルビアが生まれ、ソ連は解消してウクライナやカザフスタンの復活など。

キリがよい数字でない2019年にも、世界が激変する可能性があります。しかも焦点は日本だという。日本が平成4年まで好景気で、5年からは不景気で、9年から世界記録となるデフレ不況が31年の今も続くのは、国民の能力不足ではなく経済政策の間違いだとされます。

間違いを簡単にたとえると、腹が減った人にダイエットを強いる逆走思想で、無理やり続けた不況だという。日本解体とささやかれて。ところが平成と令和の交代が近づいた頃、ひとつの経済理論が海外で話題になり、世界が激しく反応しました。イギリスは喜び、半泣きなのはEU。

腹が減った人に飯を食わせたら国は豊かになるという、前代未聞の突飛な理論だったのです。日本の財界とマスコミが猛批判した理由は、政府は負け組を見捨てて淘汰にまかせる新自由主義経済とは、逆の理論だからです。国内企業の倒産に納得する空気もそれ。その大正解が理論的に大間違いとされ大騒ぎ。

美術でいえば、美人画が芸術だと決まっているのに、顔をいびつに描く者が現れたようなもの。「クレージーなブードゥー教が現れた」と猛反発。「飯を食わせたら腹が破裂して危険だ」。ところが話題の経済理論は、お金の原理を書いています。

「現代のお金は現にこうなっている」のドキュメントから入ります。令和時代に、日本は世界から注目されるでしょう。注目点は2020東京オリンピックというより、オリンピック後に必定の経済落ち込みを現代貨幣理論で逆転する最初は、日本かもという関心です。日本は逆走の実験場だった?
関連記事
2019/05/01

ジャパン・フェスティバル・ベルリン2020の準備中

令和二年に東京五輪の前に開催される、ジャパン・フェスティバル・ベルリン2020の下準備中です。会場担当ガイドさんを決めるところです。チームづくりで、ボランティアも買って出ていただけました。少数精鋭展の可能性も視野にあります。

前のジャパン・フェスティバル・ベルリン2019の会場は、雰囲気が従来と少し変わりました。大口出展が入れ替わり、ピュアアートのボリュームが小さくなったせいでしょう。ジャンルが混在したこともあり、他の階と似てしまいました。

展示会は、もちろん展示物でガラッと変わります。もしピュアアートの出品が消えると、ゾーンごとなくなる理屈です。仮に地元の幼稚園児の絵が加われば、やっぱりその方向に瞬時に染まるものです。展示物のタレント性が場を支配します。

日本の90年代のファッションビルには、どこかの階にアート販売店がありました。歴史名画のポスターとかオリジナル版画とか、ポストカード類を置いていました。しかしある日通ると、靴下店に変わっていたりしたものです。デフレ不況だから。ビルの印象まで変わった気がしたものです。

ところで、なかなか場所が決まらないベルリン少数精鋭展の続きですが、早く再開したいと考えています。これはEUが発端の世界同時デフレでプロギャラリーが低調で、代わりになんちゃってギャラリーが台頭した、欧米の事情が関係します。

平成の最後に、アメリカからおもしろ貨幣理論が登場し、あまりに現実どおりなので守旧派との攻防が起きています。その理論では、日本は簡単に経済発展できる道理です。今の正反対をインフレターゲット内で続けるだけ。ところがEUは原理上共食い構造なので、日本と同じだけ有利なのは、先行したアメリカ以外はイギリス、カナダ、スイス、オーストラリアだけだそう。
関連記事
2019/04/30

平成時代の最終日に思い返す30年間の流れ

平成時代の最大の特色は、人類史上最長のデフレ不況でしょう。海外エコノミストがあきれるほどの前代未聞の長期記録。なぜそうなったかは、冬の海から遭難者を拾い上げ、水風呂に入れて死なせたロジックだと、答は出ています。ならばなぜ、お湯に入れなかったのか。経費削減です。

冬の海に相当するデフレ不況の原因は簡単で、政府支出を削減する緊縮財政です。お金の価値が上がり、物価が下がるのがデフレです。人件費という名の物価も下がり、中産階層が貧困化し結婚と子育てがしぼみ、少子化も進みました。一億総中流をやめたから、子どもの減り方が加速した簡単な話。

無駄な出費が多い昭和に、日本は裕福でした。節約と削減に精出した平成に、明快に貧困化しました。普通なら法則に気づくはずが、原理の逆を続けた理由は何か。風呂の温度を上げなかった理由は。答は「レントシーキング」と呼ぶ、民主主義をさりげなく壊すキーワードでした。

明日から始まる令和時代に、国民はもう一度分断されるはずです。政府は財政出動してGDPを上げ多子化に変えよという派と、経費削減を強めて貧困化をすすめ国を小さくせよという派が、ネットと報道に分かれて戦うのが令和時代。主要国の自殺は迷惑だと、国際社会から叱られるまで続けるはず。

二次大戦の最大の原因は、1930年頃からのドイツ庶民の貧困でした。その欧州大戦と、日本が主役の太平洋(大東亜)戦争が同時期の理由は、1929年の「大恐慌」がカギです。貧困化した大勢が優秀だと大戦は起きます。だから大戦は財閥と金融の富裕層が仕組んだと、陰謀がささやかれるわけです。

今のままでは先進国は壊れ、優秀な同士なら大戦が起きます。そこで現状を変える動きが各国に出てきました。どう変えるの?だと周回遅れです。低体温症の庶民に風呂をわかす政策に決まっています。日本とドイツは世界経済に影響を与える立場なので、文化交流美術展程度でも国際政治の風向きを感じます。
関連記事
2019/04/24

お金とジクレー版画が似ているおもしろい現象

芸術と経済が似ている話題の次は、お金とジクレーが似ている話題です。マネーとジクレーに共通するキーワードは「打ち出の小づち」です。何かを無限に出すことができるなんて夢話に思えますが、制度として実際に存在します。

現代のお金、貨幣、マネーの意味は、大昔と全く同じで、中世とは全く違います。違いは管理者が自由に増やせる点。中世の貨幣は金銀銅なので、鉱山で掘れば増えました。なので景気を立て直したくて5パー増やそうにも無理です。ところが現代なら電子プリンターでポンポン増やせます。お金も版画も。

「誰もがお金を増やせたらだめでしょ」。そのとおり権限を持つのは銀行であり、洋服店ではなく。「でも増やしたら得しちゃうよ」。そのとおり増分を借りた人が使用権を得ます。「穴埋めはどうするの」。穴埋めする財源はいらず、総額が年々増えるだけ。考え方や今後の実験ではなく、現にやっています。

「ならば銀行が一京円増やせば、国民一人ずつに一兆円をタダで配れるでしょ」。できます。ただし、ラーメン一杯が十億円に上がるでしょう。お金の価値が下がるインフレというやつ。つまりインフレ率がちょいプラスになるよう、お金を増やせる上限が情況ごとにあります。人類は最近これを理解し始めました。

話は変わって、日本にジクレーが生まれた頃にも、お金と同じ疑問が出たものでした。「プリンターで出したペーパーが美術作品だといえるなら、一億枚刷って一枚一万円で一兆円儲かるよね」「そんな商売はずるい」「うまい話のプリントアートを美術と認めるな」「打ち出の小づちの版画をやめさせろ」。

売上は本当に一兆円でしょうか。お金と同じで、版画にも無限に刷ってかまわない理屈がある一方で、価値を保てる上限の量があります。ありふれて、だぶついて、もういらないと言うまで増やせば、値打ちは下がり紙くずに。そんな現代ジクレー論と似た現代マネー論を、理解する日本人が今なぜか急増中です。
関連記事
2019/04/23

交通事故を演じるスタントマンが事故死した?

4月になって、交通事故を芝居する動画をまとめて見ていると、12日にまさにその事故が起きました。事故を再現する交通教室で、高校生が見ている中スタントマンがトラックに本当にひかれた事故です。大丈夫かと思っていると、その直後にやっぱりと。

動画を見て変だと感じたのは、生身の人間が頭を守っていない点です。自転車が出会い頭に車にはねられる演技で、スタントマンは車の屋根を転がって後部に落ちますが、地面に落ちる瞬間に頭の位置がまちまちなのです。そりゃまずいでしょ。

映像体験は効果が小さいから、リアルな事故再現が必要としても、ロボットを使えないか考えました。まず自転車に実物大の人形を乗せ、サーボモーターのバランスとりで自動運転させ、時速50キロの車ではね飛ばすとか。ドガーンと耳に残る衝撃音なはず。

人の芝居よりは抽象化した演出ですが、この案が難しい理由は人形セットも毎回壊れて、コストがもったいないからでしょう。人命を危険にさらした方が安上がりになるという、まさにデフレ不況の逃げられない宿命です。

過去の記録動画に、スタントマンが地面に寝て掛け布団のようにトラックが上に来て、人はバンパーをつかんでズルズルひきずられる実演があります。トラック車内に二人いて、一人がひかれ具合をテレビカメラで見ながら走らせていると思っていました。そんな安全策はなかったから、今回の死亡事故です。

経費削減した結果、安全も人命も削減して、途上国的な生身のスタントが流行っていたわけです。入札価格が低い業者が仕事をもらえるから、安全を省いて死を賭すのも致し方なく。もし令和が平成の延長なら、今後人件費をさらに下げて外国移民にやらせることになり、海外からも糾弾されるでしょう。
関連記事
2019/04/19

芸術と経済が似ているおもしろい現象

人類というか先進国のほとんど全員が、何百年も勘違いしていることがあります。「それって芸術のことでしょ」と言われそうですが、芸術の方がまだ理解者が多いだろうという、すごい分野があることを知りました。それは経済です。

前にノーベル経済学賞の人自身がお金の意味を間違って解釈していた、そんな指摘が話題になっていました。しかしよく考えてみれば、お金の正しい意味が記された教科書など原典が間違っているのだから、同情を誘うばかりです。

常識のどこが間違っているかは、マネーは金銀銅の代用であるというくだりです。その説明は史実に反する真っ赤な嘘で、世界最古のお金は文章を彫った粘土板でした。粘土板を紙に替えて、くさび文字を渋沢栄一や津田梅子、北里柴三郎の版画に替えたら現代と同じです。マネーは生まれつきプリント物、証書でした。

金銀銅とプリント物は何が違うか。プリント物には上限がありません。1980年代の耳タコな言い方「国に財源はあるのか?」は、勘違い発言でした。財源なる概念は総量が固定した金銀銅の場合です。プリント物の財源はプリンターのインクです。「国にお金がない」「奪い合い」という概念が国内経済には存在しません。

ということは、世界の各国政府(EUは除く)は、インフレギャップが生じない範囲で、デフレギャップが埋まるまで、お金を刷って国内に投資すればよいわけです。ばらまきだと経済成長しないから、まずインフラ投資。現にやっている国があり、最近は中華人民共和国もやりました。意外に堅実な首脳ですね。

それにしても、天才や偉人たちまで誤解しているのはなぜか。理由は簡単で、先に間違った説明を頭に入れて理論を固めたからです。物々交換から貨幣へ置き替えたというニセの説明で脳が満たされたから訂正不能。これはしかし芸術にもいえて、なまじ学問がない方が理解がスムーズなのはよくあることです。
関連記事
2019/04/14

世界も日本も対立と分断が進む原因はグローバル思想

イギリスのブレグジットは、イギリス分裂とEU分裂の同時進行ですが、似た現象は日本にもあります。一例は大阪都構想で、上司の大阪府からみて部下の大阪市が強すぎるから、市を政令指定都市から格下げする改革です。

東京23区のように大阪市を区分けし、長年の既得権者を排除する意図らしく。イギリスのブレグジットと同様に、住民投票で賛成反対が真っ二つでした。似た独立への動きはいくつかあります。「北海道独立宣言」「横浜市特別自治構想」「琉球独立運動」以外にも潜伏していて。

一方東京23区の住民には、東京市へ戻したい願いが昔からあるという。動機は民主主義と自治権の回復で、イギリスのブレグジットと同じですが、大阪都構想とは逆方向です。大阪市を補強する特別自治市構想と思いきや、府を補強する都構想なので「?」が多かったのです。

これら独立ブームの背景は自己責任論です。根幹は、新自由主義経済による世界のグローバル化で、人、物、金の移動の自由は規制緩和なる保護放棄とセットゆえ、助け合いやセイフティーは不正です。傾いたやつは不要だから倒して、勝者は一人とするのがグローバル思想。そこで二番以降が脱退し独立するわけ。

二重行政などの無駄を削減したくなる原因は、むろんデフレ不況です。内部の資金争奪戦は当然の帰結。グローバルは耳当たりがよくても、富を上方移転させ庶民を貧困化させるビジネスモデルなので、社会の余裕が消えてギスギスします。きずなの語が平成に流行ったのは、互助を違法とする時代風潮だから。

発想を転換した有志グループも現れました。イギリスの混迷は他人事でなく、令和時代をきっかけに新自由主義経済をやめ、節約もやめて経済成長を優先する運動。ところで分断で伸び悩む事例は、日本で起きた美術からの現代美術の脱出もそうです。現代美術の立場は、北海道、横浜、沖縄と何かが似ているのかも。
関連記事
2019/04/09

先進美術館構想から一年、本当にやるつもり?

先進美術館(リーディング・ミュージアム)構想が政府から提案され、やがて一年です。当時ネットに多かった反応は、「役所がまた変なことを始めた」「国が文化にタッチするとロクなことがない」「官にはセンスがない」など昔ながらの言い方でした。しかし注目点はそこではないでしょう。

国民が気にすべきは、お役所仕事がどうこうではなく、法律の裏に受益者がいる点です。近年の日本でも、受益者がロビー活動で政策委員に要望し、委員がまとめた案を国会議員の起立多数で、簡単に法律に加える手順が続いています。

利益供与は違法でも要望は合法であり、実際に世界中の法律の多くは特定の願いをかなえる目的です。穴があいた法律や、なぜか罰則がない刑事法も、私人の都合が割り込むからです。近年のキーワードは「レントシーキング」。

日本の美術館が昔買った有名絵画など所蔵作品を、欲しがる者は世界中にいます。具体的な作品は、リストアップ済みだったりするでしょう。ミレー、ゴッホ、ピカソ、ミロ。ステラなど現代も含めて。彼らがそれを入手するのに、美術館が自由に売り払える制度を設けて欲しいわけです。

当時は3億円や8億円の絵がニュースでしたが、今では価格も20倍などです。今こそ欲しがる国際投資ファンドや金満国があります。経営難の県立美術館などから名画を引きはがし、新興の富裕国へ移すプログラムが先進美術館の主目的でしょう。

一人当たりのGDPが日本より高い国は、2017年に24カ国です。「日本はもう経済成長しない成熟国だ」などと将来を放棄すると、今ある名画名作を引き抜かれてしまうでしょう。大企業や科学技術の次は、美術品を海外へ持って行かれる番だと、少し気を回しておきたいところです。
関連記事
2019/04/07

日本の美術市場を大きくする一歩はボロボロ内需の復興

アメリカの『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、日本の消費税10パーセント化が、さらなる経済悪化の自傷行為になるとの社説を出しました。この話題は日本国内に広がり、経済低落は時代の策略だったと振り返られています。

新古典経済の末えいである新自由主義経済は、規制緩和がスローガンです。先進国を貧困化させ、富を移転させるプロセス自体を金脈とする経営思想といえます。EUではスペイン、イギリス、フランス、イタリアなどが伝統の強みをそがれて、音を上げ始めました。スペインのアート市場もさっぱりだとか。

同時期に日本は長年GDPが横ばいで、国際発言力が落ちました。クジラに限らず。これは日本のポテンシャルまでつぶして、貧困にし向けた策略の結果だと、ネットでも持ち切りです。ではどうすれば日本は失われた27年から復帰するのか。

国債を多めに発行し、民間へ発注して科学振興や未来テクノロジーに投資し、内需に利く消費税を3パーに戻してGDPを上げる。こうしたデフレ対策を、上記5カ国が行うのが正道でしょう。通貨発行権は、日本と特待生イギリスにのみありますが。

ところで、なぜ『ウォール・ストリート・ジャーナル』なのか、少し奇妙です。90年代のウォール街は、世界を新自由主義経済で統一する本部であり、各国をデフレ化してマネーを国際ファンドへ移管する頭脳集団だったはず。日本にとどめを刺す直前のタネ明かしは、誰に何を伝えるサインなのか。

日本は数少ない輸出黒字国なのに、内需国です。それなりに多い人口による消費力でGDPを巨大化させ、円の信用を維持してきました。鉄道模型や書画骨董が売れるうちが強い。日本の内需が大きいほど外資が儲かる新しい主義でも、ウォール街の新世代がみつけたのかも。
関連記事
2019/04/04

日本美術を躍進させる研究会ファンクラブの目的意識

クラウド・ファンディングの第二弾を昨日公開しました。『日本美術を躍進させる研究会ファンクラブ』と題して、日本の美術市場を今よりも大きくしようという、勉強会的な変則案です。難解なテーマなので、ゴールを設けないファンクラブ型を選びました。

活字情報発信に重点を置き、細く長くということを考えました。2018年に国内で公的な話題となった「日本の美術市場は小さい」「絵や彫刻を買う人が少ない」問題を研究するものです。一時的ニュースですぐに忘れられましたが、その後好転したわけでもありません。

欧米の美術市場にも問題は多いのでしょうが、国内に最も抜けているのは誰が作品の価値を決めるかです。美術作品を前にして、国民が自分で考えて値打ち決めする判断を、やってはいけない空気が強く残っている特異な問題です。出すぎた真似であるかのように。

別に難しい話にしなくても、周囲にこんな声が満ちています。「美術なんて高尚なもんは自分にはさっぱりです」「アートとか全然だめ」「僕は絵はわかりません」といちいち前置きする人が多い。その「わかる」がどういう意味かは別にして。

わからないと言う人が多い地は、売買も細い。展示会は盛況でも見るだけ。ついに政府も市場の小ささを問題視して、美術館の所蔵作品を外資にも流せる道を設け、運営経費をつくる構想が出たほど。その構想への反応は「難しいからわからない」「勝手にやれば?」。

「絵なんて好きなように見ればいいでしょ」になぜか日本だけ遠く、この内外差が市場規模の差になっています。しかも絵が売れない理由の説明は、絵の価値を国民に伝える努力不足だとして、資産運用の話になっています。絵を見る目を養う話ではなく、絵の信用情報を強化する話になっています。
関連記事
2019/04/02

令和時代と美術公募展覧会のコンテスト対アートフェア

昭和時代は年に25足せば西暦の二ケタとなり、暗算は楽でした。平成時代は年に88足すと西暦で、しかし世紀をまたぐと12引くめんどうさ。来る令和時代は年に18を足しますが、繰り上がりでやや暗算しにくいでしょう。偶数奇数は一致します。

「令和のレイは命令の令」と、ラジオで繰り返されました。昭和の国語大辞典では令の一字に「命令」「おおせ」の意味があります。そのせいか否定的意見もネットに続々と上がり、勝ち組の上から目線説や、政官財の癒着強化説さえみられます。もっとも、グローバル経済主義のデフレ促進策は全世界同時ですが。

国語大辞典に命令以外に書いてあるのは、尊敬の意味です。ただ令嬢の語は出生の格差だから、やはりお姫様願望的な現代日本の深層心理はあるのかも知れません。女児向けキラキラネームみたいでも、高齢男性名に同じ二字があるそうで。国民は早く慣れるのでしょう。

「平成」の時にも批判は多く出ました。サウンド面で、母音が「えいえい」で発音は「ええええ」となるから、メリハリがないとの批判もありました。しかし平静な時代にはならず、バブルのピークと貧困家庭が急増したボトムとも含み、起伏のあるジェットコースターになりました。結果がよければ文字も輝いてみえるはず。

「令和」が日本らしく映る一面をこじつけると、日本の展覧会のほとんどを占めるコンテスト方式を浮かべます。事前に審査員が作品の優劣を決めて、結果を庶民に教えるかたちで、上から指導していくイベントです。国民も指図に違和感はなく、これは令と和のイメージどおりでしょう。

対する欧米の展覧会はアートフェア方式が大半で、作品に色づけしない状態で市民一人一人が審査し、優劣を決めて買うことで授賞に替える慣習です。欧州は19世紀に価値の多様化や多極化を意識しており、表現の検閲を避けようとしてきました。日本は令を発してでも、この部分だけは国際化してよいはずですが。
関連記事
2019/03/31

Kaori SUZUKI個展 Kaleidoscope Dream [参加者ニュース]

Kaori SUZUKI個展
「Kaleidoscope Dream」
銀座K's Gallery
東京都中央区銀座1-13-4、大和銀座一ビル
2019年5月13日(月)~18日(土)
月-木 12:00-19:00、金 12:00-20:00、土 11:30-17:00

写真
関連記事
2019/03/24

イギリスがEUを出るブレグジットの動機を理解しにくい日本

日本の報道による国際政治の切り口は今も、「世界の安定をレイシストたちが壊し始めた」です。壊し屋のボスはアメリカのトランプ大統領で、キーワードは人種差別だという。この3月はイギリスのEU脱退期限です。日本にとってEUはパラダイスで、イギリスをトランプ並みの身勝手とみています。

日本の目に映るEUは、フランスとドイツを仲間にして、戦争を永久になくすロック機構でした。このロック機構は自治権まで返上するルールなので、往年の名士国が次々と傾いているのが現状です。そこを日本では理解しにくい。水道への外資参入など、日本も自治を捨て始めたのに自覚がない。

EUの実験でわかったのは、国民性が違う国は共通ルールを少なく絞るほど安定する教訓です。ハンデを壊すTPPと同じで、旧ソヴィエト連邦に似てきました。たとえば移民難民が欲しい国といらない国はまちまちで当然で、逆に一律は不合理です。一律でないことを多様化と呼びます。多様化の見本はアートです。

EUは一律の共通通貨ユーロを使い、その通貨発行権はスーパーステート(超帝国)が独占します。スーパーステートという、今思いついた怪しい造語の理解しやすいたとえは、中華人民共和国の構造でしょう。

一例として日本国は最上位の組織であり、中に国民がいて、選挙で選ばれた代議員が集まった特殊法人たる政府が存在します。島国はシンプル。ところが隣国は全く違い、中華人民共和国共産党が最上位で、その下に中華人民共和国というエリアが存在します。管理下のエリアは、植民地方式に似て拡張します。

同様にEU本部が管理するEU国は、県の地位。県は紙幣も出せず。どこでも住めるルールだから、東欧の貧困家庭がイギリスに殺到し、義務教育が行き詰まり金持ちが去る現状。イギリスは貧困国転落を予感し、元の民主主義へ戻して、独立国として日米中露と関係したい。キーワードは人種差別ではなく自治権です。
関連記事
2019/03/20

アポロ11号の月着陸と新八犬伝

今年2019年はアポロ11号の月面着陸と人類の一歩から50周年になり、イベントもあるでしょう。しかし10年前の2009年に、NASAがアポロ40周年を記念して資料を整理すると、愕然とする事実が発覚しました。映像がどこにもないのです。

なぜないのかをたんねんに追跡調査して、寂しい結果が報告されました。アナログ映像信号のマスターテープが、その後の計画の記録に回され、上書きされていたのです。その後の計画とは当然スカイラブを含みます。アームストロング船長の一歩の動画原版は消え、ため息が残りました。

似たことは当時の個人でも起きました。まだラジカセ類がない頃、初期のカセットテープレコーダーでラジオ番組を録音した人は、今ではテープがほとんど残っていないでしょう。一本のカセットテープが貴重で、別の番組を録音するために次々と上書きした時代だからです。

カセットテープを10本の箱単位で買い、録音すれば爪を折ってライブラリーがずらり並ぶような、物量投入ができたのは1970年代前半からです。使い回しのやりくりが、アポロやその後の宇宙ステーション計画で起きていたわけです。

連想するのは、NHKテレビの『新八犬伝』です。文学の原作は曲亭(滝沢)馬琴(1767~1848)で、坂本九がナレーション担当の人形劇が、やはり歴史から消えています。今になってDVDシリーズが出ないのはそのせいだという。人形制作担当の辻村ジュサブローは、後にラジオ番組で説明しました。

初期のビデオテープはとても貴重で、前回放映分を消して次回放映分を撮っていたと。古いフィルム撮りの番組は残ったのにと、とても残念がっていました。先日、日本政府はデジタル公文書案を出しましたが、ダビングして日本各地に置く必要があります。アポロは当時の放送映像をかき集め、やっとデジタル化できました。
関連記事
2019/03/16

実質賃金の意味を大物経済評論家がなぜ間違うのか

文章に使えても、会話に使えない日本語がいくつもあります。ひとつが「役不足」です。国民の5割が意味を間違っているそうです。役不足とは、作業が簡単すぎて能力が余った状態です。大人が5キロの箱を持ち上げるのは役不足で、50キロなら能力不足になるでしょう。

しかし「この仕事はあなたには役不足ですね」と言えば、相手は怒るかも知れません。ほめられたとは思わず、「不足」の字のイメージで、何かが足りないだめな人だと悪口を言われたと思う率が5割だから。似たことが「実質賃金」という語でも起きています。

実質賃金をネットで見ると、ウソ解説の方が圧倒的に多く強い論調です。たとえば「名目賃金は収入を指し、実質賃金は税や健康保険料を払った残りを指す」という説明です。これは「実質」を「正味」のイメージに結びつけ、確定申告の差し引き所得と混同したのでしょう。

また「失業率を改善したから就業者が増えて、その功績と引き換えに実質賃金は下がる計算だ」も初歩的な誤解です。「増えた労働者は低賃金スタートだから平均が薄まる」のイメージで、一人当たりの平均賃金と混じったのでしょう。

ネットで、この間違いを続けた大物経済評論家が吊し上げられました。これはしかし字面イメージの支配力に注目できます。たった一字が人の脳に作用する誤導現象は、アート制作にもよくあります。作品タイトルもそうだし、絵に何かを描き足せば意味が一変する記号効果もそうです。

実質賃金指数は、名目賃金指数を物価指数で割った(分母とする)数字です。近年のグラフでは、名目賃金はニューカマー効果とは反対に徐々に上がり、実質賃金は名目賃金に反して著しく下落し、消費税で生じる購買能力低下で悪化が続く様子が読み取れます。国会質疑の争点はそこではなかったようです。
関連記事