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2022/10/04

日本国は民主主義が実現している|朝廷と幕府の両立も要因では

「日本に民主主義は根づかなかった」の指摘が違う気がするのは、大きい不正選挙がない点と、国会議員が国民世論に反応して動く点です。ならば「失われた33年」の経済衰退と国力低下は何か?と言うなら、それも実は民意の反映です。

国民が政府に「景気を上げろ」と言う声は実は少ない。国民は「国の無駄づかいをなくせ」と言い続け、「国の無駄づかい」は政府支出を指し、無駄をなくすと通貨総量が増えず経済成長が止まります。だから『ジャパン・アズ・ナンバーワン』は平成元年の10年も前の昭和の話です。10年後に改革を始めると転落しました。

国は国民の願いどおり貧困化を進めています。この話はやめて民主主義に戻すと。民主主義の開始はルイ王朝を打倒したフランス革命とされます。近年、フランス人が「日本は民主主義が機能している」と言い出しました。日本国民が騒げば政治家が反応するから、うらやましがる声が続出しました。

民主主義は悪用され、翻弄されやすい欠点があります。第二次世界大戦に勝利した英チャーチル首相は「民主主義は最悪の政治形態らしい。これまでに試された全ての形態を別にすれば」と言いました。最悪だが、他よりはましという意味。

日本の民主主義の基盤は、江戸で確立した朝廷と幕府の分権もあるでしょう。朝廷は今の皇室で、国民のシンボル、代表、顔役みたいな役目といえます。政治家の部下が国民だ的な、悪しきヒエラルキーを薄めるのは皇帝や王というわけです。国会初日に天皇が宣言するだけで全然違う。

フランスの民主主義が不調な原因は、ルイ王朝の取りつぶしかも知れません。日本は二次大戦の敗戦でも皇室を温存し、交換条件が護国阻止の憲法と経済成長阻止の財政法です。悪性インフレで世界が付加価値税を下げて物価下げする中、日本のみ増税で物価高騰を強める奇行はその反映です。
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2022/09/25

エリザベス女王の初来日とスピーチ|日本がモテたのは昭和だった

エリザベス女王の初来日は、最後の来日になりました。1975年(昭和50年)のことで、晩餐会のスピーチをフル記録した動画を全て見ました。強調されていたのは戦後日本の高度成長への称賛と、協力し合い世界をリードしたい希望です。

今の日本は「失われた30年」が33年目なので、若い世代には世界をリードするなど絵空ごとに思えるでしょう。しかし当時GDPで、欧州各国を日本は超え世界2位。ヒット商品が続出し、世界に輸出していくつもの分野で圧倒していました。

たとえばオートバイです。1970年代半ばには、モーターサイクルレースは四強で、全て日本メーカー。鉄鋼も造船も強いし、建築土木も超強豪。テレビアニメ漫画は出そろっていたし、文学も海外人気。まだ菓子や日本酒は、それほど海外へ送っていない伸びしろです。

エリザベス女王のスピーチ内容に、ほめすぎた部分は少なく、欧米国は驚異と脅威を感じて、しかし平和主義だから、仲間をつくろうとしている動きがありました。日本国内で、マスコミが国際化の語を多発するのはもう少し後です。

その後、日本は世界に翻弄されます。『ジャパン・アズ・ナンバーワン』は女王のスピーチを裏書きしていますが、発刊された1979年にイギリスはサッチャー首相が新自由主義に換えます。小さな政府で貧困化させ、福祉を敵視して弱者を淘汰する一種の経済宗教で、先進国が没落を開始。

その10年後、ベルリンの壁崩壊の年、日本を倒壊させた白アリが消費税。若い世代は不安定な就業と所得減を食らい、ニヒリズムとアナーキズムに傾斜し、昭和日本を憎悪。互助で団結する農耕民族のDNAを、個人プレーの騎馬民族に変えたがり、できるわけもなく33年喪失中です。
2022/02/11

平野歩夢選手の金メダル|スノーボードハーフパイプ五輪初2022北京

色々と荒れている2022冬オリンピック北京大会で、平野歩夢選手が前評判どおりの金メダルとなり、映像が出回っています。あわや恣意的ではと疑惑の減点の危機もありました。過去に3度金メダルのショーンホワイト選手が認める日本の超強豪。

ショーンホワイト選手の初期はテンエイティー(1080)でしたが、トゥエンティーシクスティー(1260)に上がり、平野選手の今回はフォーティーンフォーティー(1440)でした。人類の上限とされ、1080より1回転、360度多く回しています。競技自体が若い。

フィギュアスケートの4回転ジャンプと似ています。着雪時のボードの向きが微妙な技術で、逆エッジがかかると瞬時につんのめって倒れてしまいます。どんな向きに落ちてもスピードを落とさず次に飛び上がる高さをかせぐという、けっこう精密な技術です。

日本のスノーボードが躍進した裏には、アメリカの好景気があります。Xゲームスというアクロバティックなフリースタイルのプロ競技があり、賞金総額が大きい。このお金はいったいどこから出ているのか。米政府のばらまき政策です。

米政府もイングランド方式の財政手法をとります。政府が政府貨幣となるドル国債を発行し、連邦準備銀行FRBが引き受け、ベースマネーを発行します。これは国民のお金ではなく、中央銀行が発行した「お金の素」です。

ベースマネーの政府口座を同額増やして、つまり国債を換金するかたちです。政府が持ったベースマネーを市中銀行のFRB口座へ送ると、同額だけマネーストックが市中銀行から発行され、これが国民が分配する「償金総額」になります。ばらまきと悪く呼ばれる政策が、この成長戦略です。
2021/03/05

小中学校の鉄骨補強と日本経済の規模|コンクリートから人への貧困化

日本国内の小中学校の校舎を見ると、窓ぎわにV形やX形など太い斜め材が目立ちます。欧州ではあまり見ないでしょう。阪神淡路大地震をきっかけに広まった、耐震補強というリニューアル法です。耐震診断と呼ぶ現地調査から始めます。

当時の青焼図面製本が、発注した市役所や県庁に残されています。学校の場合は、ラーメン構造の外構枠を利用して、戸外側に鉄骨ブレース(筋交い)の剛体をはめ込む方法。鉄骨ビルだと内部に加えるために、内装をはがし取り一新します。室内が少し狭くなりますが。

日本の耐震診断の構造計算ソフトは、世界一進んでいます。国土交通省とゼネコン構造部、構造設計事務所、大学建築学科が連携し、論文も充実しています。しかしそれだけにコストは高いのです。オフィスビルの例では、建て替え新築の半額もかかりました。取り壊しは別途なので、差は十分あるのですが。

そこで政府の通貨発行権で補助金を出して、オーナー側は銀行融資で払いました。新基準を義務として、後から建てたビルは震度7でも倒壊しない厳しい設計です。後に全国で続発した地震に間に合ったケースも多くあり、間に合わないビルは壊れました。

前に構造計算のミスや不正で事件になった建物も、大地震で結局どれも倒れなかったのは、大きいマージンをとるからです。未来の地震や台風は、きっと過去最大より大きいとの想定が業界にあります。他国で建てた日本製の橋や塔が倒れない理由がこの伝統ですが、建設費はやはり高い。

おもしろいことに、建築を丈夫に建てるコストがそのまま、日本の経済規模GDPを大きくする宿命です。コスト高なほど貧乏になると思いきや、貨幣発行総量が増える原理なので、経済大国になり庶民の暮らしも向上します。その逆を行く風潮が、「コンクリートから人へ」という経済衰退方向のムーブメントでした。
2021/01/08

成人式の振袖がまた受難の緊急事態宣言|日本画とモダンアート

振袖の展示や試着会は海外のジャパン・フェスティバルでも行われ、和服の最高峰になっています。今年も成人式が近づきましたが、二度目のコロナ緊急事態宣言で一部地域は中止みたいです。レンタル振袖が消えた事件など、二十歳女性の受難が続きます。

振袖の最大の特徴は袖の布が下に伸びたデザインで、タテ1.1メートルもある大振袖が成人式で多いそうです。一昔前は中振袖が定番でしたが。その大面積に広げられた図柄は日本画の形式をとり、長年コストをかけて洗練されています。

振袖を美術としてみると、日本画の伝統的な意匠が見て取れます。まずはアシンメトリーなレイアウトで、左右対称や並列を意図して崩してあり、水平や垂直が生じないよう斜めに流れるイメージが多くみられます。規則的なかっちりしたリズムはなくしてあります。

空間の埋め方はモダンアートの表現主義と近似し、花は写実ではなく抽象化されています。幾何学的な造形はほとんどなく、有機的な形態へ持って行くアンチデザイン指向です。さりとて生々しさや毒々しさへは行かず、前衛の手前でとどめていますが。

色も赤系や桃系、青系など以外に、意外な組み合わせカラーで、珍しさを狙ったものもあります。それらをトータルすると、画一化ではなく多様化された世界です。ワンセットを抜き出せば、そこに込められた物語性は豊富でしょう。

しかし物語は一着の振袖の中で埋もれたり、集団の中でも埋もれやすいでしょう。埋没はモダンアートでもよく起き、慣れない目に全てが同じに映ったり、細部は目に入らないとか、記憶に残らないことがよくあります。振袖の図案は、日本画への入門みたいになっています。
2020/11/01

UAEアラブ首長国連邦の火星探査機|美術収集も盛んな新興国

アポロ計画の切手が世界でどっと発行された時、その図案はアポロ8号による写真「地球の出」でした。大気のない月の昼空は真っ暗で、白と青の地球が上弦の月のごとく浮かぶ、人類が初めて見た光景でした。次の切手発行ラッシュは、アポロ11号の人類月面着陸でした。

直後に日本の切手商も、記念切手の詰め合わせセットを企画販売しました。ずいぶん安いのですが、発行した国が奇妙でした。「アジマン」「フジエラ」「ウムアルカイン」と記された謎の国が目立ちました。大型できれいな切手だが、どこか南国の小島だろうかと。

現在の「アジュマーン首長国」「フジャイラ首長国」「ウム・アル=カイワイン首長国」がそうで、ペルシャ湾の入り口付近にあるUAE、アラブ首長国連邦の7つの一員です。脱石油を考えて先進技術開発を目指し、アメリカの協力で火星探査機『HOPE PROBE』を製造しました。開くと8メートルで、質量1.5トン。

HOPEはコロナ騒動の最中の2020年7月20日に、受注した三菱重工業とJAXAのH2Aロケットで打ち上げました。日本での報道がひかえめだったのか、編集された「日本すごい動画」は少ないのですが、UAEの人たちの喜びが伝わってきます。

UAEの国土はアブダビが大半を占めますが、ドバイ市が美術文化行政で知られます。レオナルド・ダ・ヴィンチ作の新発見とされる『サルバトール・ムンディー』を、510億円で競り落としたのがドバイ市の文化観光局でした。中東では、イランにあるポロックの絵も話題になりました。

世に美術の新作は増えますが、すぐに権威が有効な古典名作は限られます。だから日本が高度成長からバブルにかけて買い込んだ名画も、景気が落ちると維持できずに裕福な国へ移転します。水面下の争奪戦で負けないよう、日本を早く好景気に戻す必要があるでしょう。その方法は、しかも既知なのです。
2020/08/18

AI技術で白黒写真をカラー着色する|遠い歴史もリアルに迫る

カラー写真が普及したのは、1970年代になってからでした。60年代以前の写真は白黒が多く、古びて感じられます。エコール・ド・パリの巨匠画家たちの姿もモノクロームプリントで残っていて、遠い過去へと思いをはせる印象です。

戦後75年の今年2020年に、20歳で戦地へ行き戻った人たちは95歳にもなり、戦中の様子を語る人の少なさが目立ってきました。その中で今年の大きい話題は、人工知能AIによる白黒写真のカラー化技術です(2017年から発表)。着色すると生き生き感が違います。

ジクレー版画や絵はがき制作で要注意なのが、画像の画素数や色数をいったん減らせば復活できない、情報削減の不可逆性です。だから残された白黒写真に色をつけるには、写った物体を判別して色を推理することになります。

超高解像度スキャナーで写真をデジタル化し、AIソフトがこの部分は樹木だと認知すれば、幹と葉と花を区別します。幹は茶色系、葉は緑色系、花は赤や白をソフトが提案してきて、それから修整します。

赤か白かは白黒写真上の濃度で区別でき、AIの守備範囲になるでしょう。でも赤リンゴか青リンゴかはわからなかったりして、他の条件で判断してパラメーター入力するなど、最後は人間の知識で解決することでしょう。

突きとめられない筆頭は、服の色らしいのです。戦時中にピンクやライムグリーンの服はないだろうけれど、灰色に写った私服が茶色系か緑色系かはわからず、だから間違っている可能性も計算に入れて、大まかに鑑賞する前提でしょう。

→ 2000年代のネットでよく知られた、92歳世代が若い頃の写真

→ AIでカラー化すると
2020/06/17

『別れの朝』高橋真梨子が再現した前野曜子|ジャニス・ジョプリン日本版

コンガ奏者がリーダーのペドロ&カプリシャスは、今六代目のヴォーカリストだそうで『別れの朝』『ジョニィへの伝言』『五番街のマリーへ』の70年代三大ヒットが知られます。後の二曲は高橋まり(現真梨子)が歌ったので、一曲目もそうかと思われがちですが別人です。

『別れの朝』はドイツ語版が知られたウド・ユルゲンス作曲の世界的ヒット曲で、カスタネットが特徴的。歌詞は「あなたに伝えたいことがある、でも言葉がみつからない、ピアノなら伝えられる」というラブソング。日本版カバーは、なかにし礼が歌詞を全く変えました。

「別れの朝、二人は、冷めた紅茶、飲み干し」「ちぎれるほど、手を振る、あなたの目を、見ていた」と、ピアノと関係ない失恋ソングでした。ピンク・フロイドの『吹けよ風、呼べよ嵐』の5日前のリリースで、当時オリコン一位で放送は耳タコなほど。歌は前野曜子。

『別れの朝』は前野没8年後に、独立していた高橋真梨子がやっと歌い、二人の歌がよく比較されます。歌を歌う高橋真梨子に対して、思いを歌う前野曜子が迫真的で自然体で、後の本人にさえ再現できなかった傑作に仕上がっています。今も前野ファンの熱心なフォーラムがあります。

高橋の歌を、前野の歌と信じる人が多いバージョンが動画サイトにあります。バックの演奏が一致するので、1971年にマルチトラック録音したカラオケに、高橋が前野をエミュレートして歌った企画盤でしょう。二つは非常によく似て、前野は声がより素でヴィブラートが浅い技巧の少なさで判別できます。

前野曜子は昭和最後の1988年まで生きて、3年後に訃報が出た孤独な生涯でした。ペドロ&カプリシャスの契約中に脱退し、出世から外れた奔放行動も遠因かも知れません。ジャニス・ジョプリンに近い最後で、しかも『ムーヴ・オーバー』の名演がありました。売り方を計画するプロデューサーが必要だったのでしょう。
2020/06/12

新型コロナパニックで人の本性をみたという記事|消費税増税の影響下

今日のネット記事で驚いたのは、新型コロナの特別定額給付金10万円が、全国で38パーセントが給付済みという進行の遅さです(直後のラジオ報道では35.9パー)。一カ月の生活費としても微妙な低額だから、元気づけと精神変調やパニックをおさえる機能なのに、イマイチ果たせず。

別の記事は、コロナ自粛で身近な人の性善と性悪をみせつけられた話題です。誰が神で、誰が悪魔なのかが露骨にわかったという。それがコロナ前の人柄やイメージと一致せず、他人の隠されていた内面を知るや、喜びと幻滅に動転したという意見が多数集まっています。

そしてやはり目立つのが、「日本人はこんなに性格が悪かったのか」という新発見と、落胆した深さです。ギスギスしてがめつく、自己中で排他的で、意地悪で差別的で、人間不信に陥ったような意見が多い。これを機に、絶交、離婚、転職に動いている報告も寄せられています。

しかし少しだけ、日本人擁護を加えたい気にもなります。バブル時代には日本人の人柄はもっとよかったのです。今のこの傾向はマイナーでした。1995年の阪神淡路地震の当事者は、そうギスギスしていませんでした。自己責任なんていう、他人をとっちめたり切り捨てる流行もなかったのです。

するとインターネットの普及が国民の性格を悪くしたと早合点しやすいのですが、日本を決定的に暗くしたのが1997年の消費税増税でした。国税はそもそも財源ではないし、消費税は格差拡大の副作用を除けば、主目的は消費をやめさせ、経済縮小させてデフレ化する政策です。生活レベルを下げて、貨幣価値を守る原理です。

法人税減税の穴埋めと、輸出企業への還付金が動機の消費税を「高齢化時代の福祉の財源」と偽ったせいで、国民は高齢者や障がい者や子育てママを敵視し始めて、23年前に日本人の分断は約束されたのです。分断ぶりは2000年頃の2ちゃんねるにも記録され、今もアーカイブされています。
2020/02/19

ベルリン近辺の新たな美術展示開拓スタート|日独の芸術観を克服

ベルリン市には大きいアートフェア以外に、小さな美術展が色々あります。どれか試してみたいと前から考えていました。最近めぼしいものをひとつ見つけてもらったので、情報を集めています。

日本のようなコンテストで賞を出す制作競技はなく、全てが展示即売会です。美術を展示する意味や目的そのものが、日本とは違っています。

フェアの規模の大小は、作品サイズにだいたい相関します。日本から送ればサイズ制限で小品に限られ、あまり大きいフェアだと会場規模に負けてしまいます。プリントなら2メートルとか巨大にもできますが、今はまだ小品にとどめています。

このタイプの企画の目的は、やはり現地に作品を広めることで、売る意識で全てをセットします。繰り返す話ですが、美術の高尚さへの敬遠は日本以外では目立ちません。それで、売るために妥協的作品に向かう悩みも小さいのです。売る用と売らない用で、作り分けはいりません。

日本の課題は、より目立つことです。地味が好感度になるのは日本だけで、世界は特に渋好みではなく。日本製は腕が劣るのではなく、社会の抑圧に応じて目立たせない技術鍛錬に難点があるのです。

というわけで、今年もまたアート・マネージメント・システムで、売れる作品をひとつでも増やします。日独の差異を乗り越えて日本製アートを目立たせようというわけです。
2020/02/12

オリオン座ベテルギウスの超新星爆発はいつ|冬の大三角の頂点が消えた

夜の星空で、三つの一等星が囲む形といえば、まず夏の大三角です。三角定規の30度タイプに似ています。対して冬の大三角は、ほぼ正三角形です。何しろ全天で最も明るい一等星シリウスが頂点に輝いて、非常に目立ちますが、問題は目立たないあれです。

おおいぬ座でもこいぬ座でもない、全天一のヒーローたるオリオン座。その左上に位置するベテルギウスが、異常に暗くなって二等星に落ちているのです。数年前までオレンジ色に輝いていたのが、この冬は特に毎晩かすむような暗さです。

ベテルギウスの寿命は尽きかけて、超新星爆発が近いことがわかっています。太陽の位置に置けば、地球と火星の軌道より直径が大きく、木星近くまで届く赤色超巨星の最後は、満月並みの明るさで輝き、昼でも少し見えるほどでしょう。

ただし、今のこの暗さが爆発の予兆ではなく、爆発は数百年後かも知れないし、今夜かもしれないしという状態です。もし今夜だとしても、起きたのは600年前ですが。一等星が爆発して中性子星に変わる過程を目視できるなど、人類の文明史で初なので楽しみの学者も多いようです。

マイナーな恒星が爆発した例は、残骸の「かに星雲」で知られ、1054年に異常に明るくなった記録が、中国の元代の歴史書に記録されました。日本でも古くに、そこからの引用らしきが二次記録されています。

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した「かに星雲」は、ほぼ完ぺきな抽象モダンアートに見え、ディテールが無限に存在するフラクタル図形です。ただし、多くの天体写真は誰かが色を強調していて、人の美的感覚も混じったアートなのですが。
2020/02/01

海外アート展に送る作品を選び出す理由|アートマネージメント補強企画

ここで企画している展示は、アーティストの好きな作品を思い思いに出すのとは違い、少し選んでいます。欧米では日本型のコンテスト方式ではない、アートフェア方式の展覧会です。だから好きなものを出せば済むはずですが、それだと売れにくいのです。

たとえば日本で好評の洋画であっても、西洋の人の関心は下がるはずだから、どうせなら和を感じさせるモチーフや作風を選んだ方が得策です。これは異国情緒ともいえるもので、文化財を買う動機には自分と違う世界の発見が大きいのです。

そしてもうひとつの課題は、作品の完成度です。完成度は精度の高い低いではなくて、「出来上がっている」という実感です。めちゃくちゃな絵にも、めちゃくちゃな筋書きなりに完成度が存在するでしょう。

日本だと開口一番「自分は絵とか全然わからないから」となりますが、ドイツではそれは少ないように感じています。こちらの想像ですが、買わない理由が見つからないことが大事です。チェックの筆頭は、「独自性を完成させているか」です。

「独自性があるか」より一歩進んで、「完成させているか」です。日本型のコンテスト方式だと、基本的に審査員の理解範囲に入れていく必要があり、挑戦的な絵が出にくい傾向があります。それで日本の作品は手加減されていて、そこをいじれば上がるとして、アート・マネージメントを考えました。

日本に根強いのは、「美術は自由だから自然体で生まれる作品が正しくて、販売が視野にあると汚れてしまう」があります。これはしかしコンテスト感覚の延長にすぎません。最初から売る前提だと、かえって何でもありへと広がります。
2019/10/26

日本の村祭りとハロウィン祭の絵になる構図|美術は地域文化そのもの

最近、祭りを描いた絵画に関わり、日本の村祭りは反グローバリズム的だと感じました。国際化にはインターナショナルとグローバルがあり、前者は国境が前提で、後者は国境を消すので、民族差別が逆に激しくなり闘争が続いた歴史があります。過去のグローバリズムでも、反動の武力衝突が起きたものです。

地域の祭りは民衆のエネルギーが結束し、郷土の共同体を形成するから、ナショナリズムの動きです。祭りと芸術は出発点が似ています。祭りの絵のモチーフはお祭り騒ぎのにぎわいや盛り上がりですが、同時に影が感じられるのが特徴です。

子どもの頃の村祭りや町祭りを思い返しても、華やかな中に物悲しい余韻がありました。明るく楽しい遊園地とやや違い、かげりがあった記憶があります。祭りの絵は古代の霊的な気分をも誘い、絵に描かれた子どももレジャー参加とは違う雰囲気です。

祭りの動機が、農作物の収穫を天に感謝することと、亡き先祖を思い偲(しの)ぶことだからか。祭りのしるしを始めデザインビジュアルに古色が含まれることも、メランコリックなエレメントとして大きいでしょう。絵画に描かれる物品もまた、多少でも神秘的な意匠が選ばれているし。

今年もハロウィン祭の季節です。日本のハロウィンでは、お化けたちは子どもにお菓子を配らず。成人のゾンビ仮装を経て、ムシャクシャ発散とヤケ酒騒動にそれたみたいな。これもデフレ不況の傷心と、荒廃した国民感情の一面でしょう。暴力を規制緩和し、テロも表現の自由だとするグローバリズムらしさか。

ところで祭り気分の絵をかけば、より芸術的な作品になる理屈で、ハロウィン祭のイメージ画はどう描けるのか。小学校で課題にすればカボチャの記号化にモチーフが集中し、カボチャ顔の競演になりそう。
2019/10/09

ノーベル化学賞のリチウムイオン電池|バブル時代に研究投資した成果

2019年のノーベル賞候補一覧が事前に出回っていて、これが来そうだと感じた方が多かったかも知れません。リチウムイオン電池の開発で、旭化成の吉野彰氏が化学賞に決まりました。社内外に協力者がかなり多い研究だったことでしょう。

バブル時代の前に発売されたリチウムイオン電池には、大きい欠点がありました。メモリー効果です。充電を繰り返すうちに、いっぱいまで入りきる電力が減ってしまいます。使っているうちに使用可能時間が短くなり、こまめな充電もだめという注意書きが目につきました。

それがもうとっくに目立たないほど、長寿命の製品に変わっています。今、普通に一眼レフカメラを買うと、ローエンド製品でさえストロボと、モータードライブも付属します。以前は、単三電池8本のバッテリーパックなどが必要でした。

ところでリチウムイオン電池を、リチウム電池と略して呼ぶと、異なる別ものになります。リチウム電池の代表は、パソコンのマザーボードにはめ込んであるボタン電池です。CR2032の型番は、コイン形状のリチウム電池、直径20ミリ、厚さ3.2ミリの意味。

今回のノーベル賞となったリチウムイオン電池は、当初爆発炎上した事例があり、ノートパソコンをジェット旅客機の客室に入れないなどの制約がありました。この面も高性能化しています。日本で決定的な製品が出たことも、当時は当然な気がしていましたが。

やはり話はこっちへ向かいます。1990年頃の日本は、世界初を目指す創造に燃えていました。ジャパンマネーが内需に向いて。今は緊縮財政(通貨削減)が選択されて、国際競争の通信機器仕様5Gも日本は蚊帳の外。日本が小走りすれば5Gなどはちょろいのに、政府財政の逆走で内需が消えたから旭化成も動けず。
2019/09/27

北欧国スウェーデンを日本が目指す|ベオグラム4000レコードプレーヤー

北欧の主要四カ国の特徴は、まず人口が少ない。ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド。人口が最多のスウェーデンでも日本の13分の1で、神奈川県プラス島根県の人数。他の三国は24分の1程度。内需が小さいから、海外輸出に頼る工業国を目指してきました。

携帯電話の勝ち組だったノキア社はフィンランド、バブル前から日本でよく見かけた車ボルボ社はスウェーデン、オーディオ界のグッドデザインで鳴らしたB&O社はデンマーク。ベオグラム4000という、おしゃれなレコードプレーヤーです。

富裕層向けの高付加価値製品を作り、石油を多く使う先進国です。スウェーデンの16歳少女の国連演説は、ブーメランだと感じた人がいたはず。演説内容に資本家のお金儲け批判が含まれましたが、彼女が所属する環境NGOの願いは現金収入です。僕らに補助金をよろしくと。それはともかく、人命とお金は今や等価です。

かつてアフリカ諸国への援助の議論で、向こうに必要なのは食料ではなくお金だという本質論がありました。アフリカ国の産業育成を手伝い、輸入する側の先進国も富む必要があるメカニズムでした。今の問題は、富を1パーセントの人が巻き上げる、その手段にCO2温暖化説を利用している点です。黒幕は国単位ですらない。

日本の国会議員はよく、日本を欧州国ふうに変えたがります。そのターゲット国は明治時代は意外にもイギリスでなくフランスで、近年はドイツ、スイス、北欧国がよくあがり、意識高い系がスウェーデン指向。亜熱帯アジアの人口大国で、地震と台風の災害大国だという与条件を、コロッと忘れて。福島、倉敷、千葉。

日本をそこまで北欧四カ国に変えたいなら、真似るのは消費税率よりもグッドデザインのポリシーでしょう。ベオグラム4000流の高付加価値デザイン開発を目指せばよいのに、そこはディスカウントのバッタものでいいやって風潮。
→Beogram 4000
2019/09/06

日本のおもてなし観光も議論と分析が苦手|美術の批評も未発達だし

現代日本の欠点として内外からよく指摘されるのが、「日本人は議論ができない」です。ネットでも論破という語が出回りますが、論破の名人といえば、概して論点ずらしと極論放言に、細部の揚げ足取りと人格攻撃です。そして大声。絵の面積が法外に大きいみたいな感じか。

本当に多いのが、「君には言う資格がない」の封じ込め方です。言う場を与えないことで否定する手。最近海外報道が書き立てたのが、新聞社の質問に答えない政府首脳でした。アホな質問には答えませんと、さえぎった失点でした。アホな質問を返り討ちにするチャンスだったのに。

国際ビジネスのサイトで、英米の学者がよく日本の悪い面を指摘します。多いのは「日本人は分析ができない」です。代表的な指摘は、「日本の長所さえ分析できないのは実に惜しい」という、励ましのアドバイスです。

成功も失敗も分析しない限り、次の目標が決まりません。少しずつ積み上げる向上が起きないのです。連想するのはサッカー日本代表です。本部による分析が毎度ないから、4年ごとに課題の量と質が前と同じで、一過性の感が強い。過去の延長に今がない。

この失敗を観光で繰り返しているらしく、外国から日本に来てくれる動機を探っていない問題が言われます。たった今の収入金額に一喜一憂するだけで、未来計画が空白らしいという。つまりはマネージメント能力の話か。これはコスト削減ありきの緊縮財政の連鎖も一因でしょう。

アートでも分析が流行らず、傑作の根拠を説明できない現象が顕著です。だから、偉い人がほめたか、外国が認めたか、価格が高いか。三つのどれかで食指が動く。お墨付きの尊重から一歩出るのがなかなか。作品のどこがよいかを、自分の言葉では言えない状態。そこで作品称賛の言葉を書くことが増えました。
2019/08/11

事故物件を恐れる心理と死者の敵視と冒とく|東日本大震災だけは例外

毎年お盆が近づくと決まって出てくるニュースに、幽霊の話題があります。今年の記事のひとつに、事故物件公示サイトという情報会社がありました。自殺や殺人や変死が起きた家や土地を明記して、国民に知らせるネットサイトだという。

サイトを見ると場所を日本地図で示してあり、駐車場での自殺や飛び降りと記されています。そのアパートやマンションなどを、世間に広く知らせる便利サイトだという。この話題の裏には、日本の貧困化で自殺と孤独死が増えた事情もあります。今さら好景気にする正解がとれない、政界のメンツ問題が言われるほどで。

若者に限らず中高年の自殺も急増したのは1997年頃からで、世界的に韓国と並んで目立って高い若者の自殺率がひときわ上がったのは、失われた何年と言われた平成デフレ不況です。しかし事故物件を告知する前提に、根本的な疑問もあります。

亡き人の霊が悪役である大前提です。化けて現世の人に危害を加えたり、あの世へと連れていく解釈に沿っています。不幸を避けたければ、事故物件に住むなという警告以外の何ものでもない。死者が連続殺人鬼と化して、生きている善人を攻撃すると決めてかかっています。人の霊をテロリストと認定している。

不遇な者の霊が、生きている者を保護したり、危険を教える役になる前提がありません。たとえば水路に落ちかかった子を、そこで事故死した人の霊が道路側へ押し返してもよいはず。しかし逆に、水路へ引き込もうとする極悪な犯罪者の位置づけに、霊が想定されています。

霊を敵視し冒とくする共通心理は何か。死への恐怖は当然として、日頃他人へ抱く敵意の投影や、死者を究極の障がい者とみたてた差別的感情もありそうな。ところが、あの東日本大震災の幽霊研究だけは、被害者の霊を悪役扱いしませんでした。ふるさとを思う守り神へと、初めて解釈を変えていたのです。
2019/06/28

シンデレラの主張にお国柄の違い|シルヴィー・ギエムとルドルフ・ヌレエフ

シンデレラ・コンプレックスという語があり、いつか王子様に見出され幸せになる期待を抱く、女性の心理のある一面だという。シンデレラ物語には人間の運命の、よくあるパターンを示すエピソードが多く含まれます。

『白鳥の湖』同様に王子が嫁を決める舞踏会があって、クラシックバレエがプロコフィエフ作曲で確立されています。舞台装置に深夜零時の時計があり、巨大なメカニズムを見せる演出もありました。12回打ち鳴らす音は大きく悲劇的。

逃げ出したシンデレラは靴が片方ぬげ、王子はそれを手がかりに辺境の地まで探し回ります。ついに王子一行は家にも来て、該当者なしで最後に残った家事手伝いの女が、あの時の本人とわかる。ふところから落ちた靴が、決め手の証拠。

この部分の成り行きで、シンデレラのキャラ設定が何とおりかあります。日本の感覚なら「そのほうもこちらへ参れ、足を入れてみよ」と、お供の者が強引に試させるのが順当でしょう。「おおっ、うまく合うではないか、もう片方はどこじゃ」という流れ。

しかしシルヴィー・ギエム主演のルドルフ・ヌレエフ版は違いました。義母や義姉たちがもめる中で、シンデレラは隠していた片方の靴を、堂々と床に置くのです。その押しの強い積極的な性格なら、家を出て独立してベンチャー起業も楽勝。

ソ連から亡命したヌレエフは、アメリカのハリウッド映画界をモチーフに振り付けしました。シネマにあこがれる女性が、スター俳優の相手役を選ぶオーディションに誘われ、契約書にサインするという奇抜さでした。『ロミオとジュリエット』を『ウェストサイドストーリー』にした感じ。パリオペラ座で受け継がれ、さらなるアレンジが加えられています。
2019/03/13

2020東京オリンピックへの反対意見は正当か|飽きた個人に説得力なし

2020東京オリンピックまであと500日を切りました。このオリンピックに反対する声は多くみられます。一番多い声は「五輪の後に必ず景気が落ち込む」という経済法則です。長くデフレ不況を続けている日本には、財力も体力もないから、活動を止めて静かにしている方がよいという意見です。

シンガポールのペーパーカンパニーに開催地決めの投票工作を依頼したと、フランスが日本を調べているニュースもあり、インチキなら直ちに開催を返上せよという声も多い。声の裏には、政界のお友だち企業だけが儲かる仕組みがあるのは確か。その根拠は人件費節約宣言です。経済波及を小さな輪にとどめる宣言です。

しかし注意がいるのは次の声です。「オリンピックはもう飽きた」「もうたくさんです」「どうせ見ないし」。飽きていない人や、実物を見たことがない人のために開催しても公平なはず。21世紀だけでソルトレイク以降の冬夏すでに9回ですが、実物を見た人は一部だけ。

まして1964東京オリンピックを見た世代の「もういいよ」は説得力なし。少年少女や児童が世界一のスポーツを間近に見るなら、断片シーンであれ教育的な意義は大きいでしょう。開催が大国の持ち回りの貧乏くじだとしても、降りると斜陽感が大きいだけ。

「無駄な東京五輪はやめろ」の意見は、どの国のどの人が書いたかわかりません。世に一個しか存在しないインターネットのおもしろい性質で、アメリカ大統領選の候補者攻撃を、ロシアの団体がロシアから書き込んでいた現実もありました。昔は資金工作、今はネット工作。

1964東京オリンピックの翌年には法則どおり経済悪化し、しかし五輪運営は赤字でも内部の借金にとどまります。外国からの借金で開催するわけではなく、国内での金の貸し借りは内需に相当します。文化波及効果も全て足せば、日本株の支えにはなるでしょう。
2019/03/08

はやぶさ2が小惑星りゅうぐうへタッチダウンした動画|生物の起源

小惑星探査機『はやぶさ2』が撮影した写真をつないだ、映像ふうの動画がJAXAから公開されました。小惑星『りゅうぐう』へ一本足を当てた、いわゆるタッチダウンの場面です。小石や砂がパラパラと舞い上がる様子が写っています。

初代『はやぶさ』が小惑星『イトカワ』にタッチした時は、衝撃で燃料もれが起き何カ所か故障したために、今回はあらゆる改良が行われたそうです。そのタッチ時に弾丸を撃ち、舞い上がった小石を採取する方式です。

初代は持ち帰った石が砂煙だけのプチ成功にとどまり、今回は改良されています。人類が得た地球外天体の土壌は、今もアポロとルナで得た月の石や土だけで、他天体の十分な量が欲しい。人が行けば手づかみできても、機械だとなかなか。

小惑星『りゅうぐう』は直径870メートル、重力は地球の8万分の1とわかり、質量50キロの人は約0.6グラムと、1円玉より軽くなります。人が何とか立てても、歩く一歩の動作だけで脱出速度を超えて、飛び立ってしまい戻れないでしょう。

なぜ大量の小天体が火星と木星の間隙に存在するかの疑問よりも、炭素や水はあるのか、太陽系の起源と生物の起源などの調査です。少し前に、地球の生物誕生は、月の前身が地球に激突した時だとする仮説が出されました。その前提の激突自体は昔の太平洋飛び出し説の後、アポロ15号で手堅い説になっています。

地球に衝突した天体にまぎれていた生物が、地球に乗り移った俗説がありますが、今は地球で生物が生まれた説が有力です。ただ、原始地球の水と電気だけでは有機物質に生命が宿るのは無理との実験結果もあるようです。日本は今、他天体の鉱物資源よりも、生命の不思議に関心が向いています。