ジャパン・フェスティバル・ベルリン2020の目標|売れない絵も売る

(Photo:SUZUKI)
ジャパン・フェスティバル・ベルリンの目的のひとつは、国際市場の一角で作品を売る近道です。東京五輪前に、外国で存在感を出す日本押しもあるとして。日本特集での日本作品は、比較的売りやすいことは確かです。高値でなければ。
2014年当初の海外展入門の意味は早く曲がり角にきて、売り切る攻略作戦へ秋にはシフトしました。現地のお客は鑑賞よりも購入の目的で訪れ、ご祝儀的な迎えられ方は最初だけでした。出品者との準備打ち合わせでも、買われる範囲に入れる話を必ず加えています。展示するだけの意義はもう小さいから。
外国でまだ一度も売れていない作風を、とにかく売れるよう改良する作戦をとり、しかも芸術性を高めれば結果は好転するからわかりやすい作業です。もし逆になるならやりにくい。その売るためのハードルは、価値観の内外差でした。
欧州では美術は一般化し、カジュアル感があります。対する日本では美術は特殊化し、フォーマル感が強い。高尚なものだとされる日本のアート感覚がそれで、しかも国内では「美術」と「現代美術」を呼び分けており、普通の人は現代アートとはさらに一歩距離を取っています。美術好きで、現代アート嫌いという人が多い。
その国内の空気に美術家も影響を受けているから、芸術はこうあるべきであろうという方向が欧州とは違っています。日本に照準を合わせた作品は、多少でも世界に合わせ直す必要があるのです。個人の才能よりも、社会の圧の問題です。
具体的には主張を強めて、まず目立つことが大事。刺激をひかえめに抑えて排除や失格を回避する、対コンテスト的な警戒は考えない方がよいでしょう。そしてこれはまた、単純にビジュアルデザイン次元の工夫で済むことも多いのです。
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