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2023/10/16

個人情報保護を強め始めたドイツ|規制緩和で横流し準備の日本

海外在住者に日本に戻らないよう念押ししてきた理由のひとつが、個人情報を売る国策です。ドイツなどEU国は個人情報を商人に渡すことに反対し規制しています。日本では新自由主義とグローバリズムに基づき、規制緩和が続きます。

日本で少し前に改正された法律では、マイナンバーカードに記録する個人情報は、生徒時代の学校成績、犯罪歴、病歴、思想信条、宗教、支持政党なども含まれています。他の情報とのひもづけは閲覧者が合成し、買った商品や本、人脈や交友関係や堕胎や遺伝子情報も、当然加えられていきます。

それらは企業ビジネスで欲しい情報です。社員採用でプライベートを調べたいし、誰を出世させるかも判断しやすくなる。生命保険会社は健全者を多く集めたいし、中絶の記録から水子の霊を供養する壷も売り込みたい。国民全員を採点したい。

このおぞましい未来を国民が許す最大の理由は、日本だけで起きている平成令和のデフレ不況です。デフレとは物価が下がる意味でとらえがちですが、実は経済縮小を意味します。政府が通貨発行を止めて増税を続け、皆のお金が増えずに減るようにすれば、GDPは上がらなくなる。

貧困化した国民は明るい未来を喪失し、政策に物言う態度が引っ込みます。何をされても黙って従うよう、メンタル崩壊が起きて無気力となる。この国民の無力化に資本家が期待する理由は、効率よく儲かるように社会ルールを変えるコストが低くて済むから。農薬の濃度を爆上げしてよい法律もスッと通る。

つまり今起きている人類全体の転落は、資本主義が進みすぎたせいではなく、資本主義に反する新自由主義のせいです。今の全世界は、資本主義に替わる主義が必要なのではなく、資本主義からの脱線をやめることが必要。資本主義に戻してGDPを上げる政策が望まれます。改革が不十分だという声は、認識が逆さまです。
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2023/04/12

ローチョコレートと有機農作物|ブームは通貨発行量の増大が起点

『ジャパン・フェスティバル・ベルリン』の姉妹企画『ジャパン・フード・フェスティバル2019』に現地スタッフが出展した時、出し物の「ロー・チョコレート」を知りました。ローとはデジカメ画像の「RAWデータ」と同じで、無加工のピュアな状態を意味します。

ドイツではオーガニックやヴィーガンも流行っており、日本にも原点回帰的な食品があるのか調べました。しかし日本は、逆の安かろう悪かろうの方がブームです。緊縮財政で経済低落させた実質賃金低下で皆サイフの余裕がなく、フェイク食品や高農薬や遺伝子組み換えに追い風が吹く不況が26年。

地元スーパーの農家直送コーナーに並ぶ野菜果物と、有機栽培のコーヒー豆に終わりました。日本の伝統食品はどれもにせ物が幅をきかせて、しょうゆは塩水に着色して風味を後付けしたフェイク製品で、味噌は発酵を省略した安物ばかり。納豆も危険な化学処理残留物質を含むという。

買っていたしょうゆもにせ物とわかり、最近探して買えたのは本醸造のしょうゆです。いつも買う製品の2.75倍の価格ですが、地元の原料だけの本物製品です。味はまろやか。本物ブームはバブル前の1980年代から日本で開花しましたが、その頃の空気を感じました。

今は正反対で偽物の天下。バターやチーズに至っては、国産品を根絶やしにして、輸入率を上げる密約があるらしく。国産を絶滅させて外資に主導させる、つなぎの受け皿役がコオロギらしいのです。養殖で遺伝子組み換えが前提でもあり、児童に餌づけする目的で学校給食に混ぜる予定とされます。

早く緊縮財政を積極財政へと正常化して、国債償還用の消費税を廃止し政府負債を正常に増やせば、日本経済は右肩上がりに戻ります。食料自給率も上がりロー食品も増えます。だからこそ日本を復活させるまいと、通貨発行を阻止する圧が強い。ドイツはその圧を受け、跳ね返しての自然食ブームなのでしょう。
2023/04/07

ドイツ在住は立派な既得権|日本は当面危険な国に向かう予定

日本からアート関係で外国移住するなら、昔はフランスのパリ、その後アメリカのニューヨークがメジャーでした。2010年からの我々のドイツ美術展以降、参加者がベルリンを訪問したり、移住するケースが増えました。今も在住なら、移民年月は立派な既得権といえます。

そろそろ日本へ戻るか迷われる方がいますが、今の日本は悪い状態なのでなるべくドイツにいる方が得策で、そう忠告してきました。最大の理由は、日本は「失われた34年」をまだ続けていて、国家経済の破壊をやめていないからです。

経済破壊は、デフレ基調のスタグフレーションによる年々の実質賃金低下と、深刻な人権侵害もあります。国の状態は底ではなく下落途中にまだあり、自己責任論の圧に追い込まれ生命財産を失う危険がつきまといます。とにかく自殺が多い。

悲観的なのは食品です。EU国はアメリカ製の農薬を輸入禁止していますが、日本では禁止物を輸入できるよう基準をゆるめる法案が通りました。世界が締め出した毒が日本に集まります。食品添加物も売る側の都合が優先し、表示不要物が拡大しています。

遺伝子組み換えを国民に買わせる策です。またタンパク源の食材を廃業させる圧もかかり、農業の撲滅を着々と進めている中で、コオロギの学校給食が準備中です。日本を外国資本がコントロールする分断国へ変える作業が延々と続きます。

日本へ帰ると、庶民が困り悩み苦しむ改革が襲ってくるはず。通貨削減で金回りが悪いから、すさまじい低所得のパワハラ企業だらけ。女性の5人に1人、児童の7人に1人が貧困だとユニセフから宣告済み。全ての原因は宗教の領域ともいえるような緊縮財政と消費税です。
2023/01/06

2022年のベルリン市クリスマス・マルクト|いつもの年の風景に近い

2022ベルリンのクリスマス

ドイツ側のフォトグラファーから、2022年クリスマスのマルクト(市場)の写真が届きました。三密制限も解除されマスクもなく、例年のにぎわいに近いものになっています。ここからの課題は、エネルギー不足対策と、コストプッシュ型インフレ対策です。移民の入れすぎは、メルケル元首相が反省済みです。

経済ブログのグラフでは、世界主要国で唯一経済衰退中が日本で、二番目に低い国がドイツですが、経済成長はプラスです。経済成長率、つまりGDPの伸び率、すなわち所得の伸び率が、EU国全般が低い原因は、共通通貨ユーロだとされます。

世界196カ国中、自在に通貨を増減できて絶対に破綻しない道理の国は、アメリカと日本、イギリス、スイス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダの7カ国だけです。ドイツのユーロは自国通貨ではなく外貨に相当するので、ドイツもへたするとギリシャのように破綻(借金返済遅れ)します。

国外の欧州委員会が管轄する以上は、ドイツ国民が持つお金は事実上レンタルなので、ドイツにとって打ち出の小づちではない不安です。上記7カ国はお金の全てが自国通貨建ての政府証券で出した独自通貨です。意味は自己資金だから絶対に破綻せず、財源を探す必要がないのが7カ国。

ところが日本はこの知識を国民が持たない点がつけ込まれ、財源不足を理由に増税ラッシュに見舞われています。目的はレントシーキングで、国民を貧困化させ物を買えなくして、売れない企業の業績を下げて、廃業へ追い込みます。

倒れた企業を、自国通貨を刷り足しばらまいてリッチな外資が買いあさるのです。これがいわゆるハゲタカファンド。外資が日本の中央と取り引きして実現します。日本を次期ウクライナに位置づける計画の一環です。ドイツへ移った方はひとまず正解でした。日本にいると子どもも満足に育てられないから。
2022/12/01

消費税は直接税であり間接税でない|ドイツの売上税で見当はついていた

日本が今も「失われた30年」なのは、消費税が原因です。今も国全体の貧困化が続くのは「国費は国民が負担する」式の壮大な勘違いを皆が信じるから。日本人だけが「乳児が飲む母乳は、乳児が負担して母の胸に与える」の間違った信念です。

そして我々の海外美術展でわかった、売上税の概念が関係します。ドイツの売上税は19%で、生活必需品と食品は7%です。コロナ後に15%と5%に減税しました。税金は財源だと根本から勘違いした日本では、当然ながらドイツと日本の税の違いを理解できません。

こちらが前身の海外美術展示活動に一画家として参加した2009年に、ドイツは外税か内税かを現地の本部にたずねました。回答は「inner」。この回答は日本の消費税の感覚に起因する間違いだったのです。正しくは直接税なので「direct tax」なのです。inかoutではなくてdirect。

ドイツの売上税は「付加価値税」であり、法人税であり直接税です。現地会場で絵が100ユーロで売れると、お客は119ユーロでなく100ユーロを払います。一方、日本の消費税は付加価値税なのに、1万円の絵が1万千円になり、買い物、消費への懲罰となり平成大不況の直接原因です。

国民全員が言葉巧みに嘘を説明されていたと、動画やSNSでも話題です。しかも1992年と2002年の裁判で「消費税は消費者でなく業者が払うもの」と法の定義が東京大阪で判決済みです。この裁判は「小規模な免税業者の預り金」を弁護士などが告発したもの。弁護士すら知識がなかった。

「預り金でない」法律を無視した嘘が続いたのは「国費は国民負担」という日本人だけの勘違いに沿うプロパガンダだと、裁判から30年たった今さら広まりつつあります。我々がドイツで美術を売ってお客から19%の税を受け取ったことは皆無で、日本だけが何から何まで嘘づくめで自縛し自爆したというわけ。
2021/11/20

ベルリンの秋の日本祭に参加できなくなりました|コロナ感染急増の余波

明日11月21日の日曜に参加予定の日本祭に、参加できなくなりました。原因はコロナ感染が急拡大した第4波で、人が密集する場の制限条件が変更されたからです。開催はされますが、あいにくボーダーラインにかかりました。

限られた出展者とお客しか入れないなら、会計的に難しくなる気がしますが。しかたがなく、またの機会に延期となります。その間に『絵はがき100枚日本へ』などで準備しておきます。

ところで日本でも不思議な第5波が起きていて、コロナワクチンの接種率が急伸する前に、感染が急減していました。ワクチン効果が統計的にみえない、相関しないという現象です。効果の不透明はインフルエンザでも言われてきました。

それで日本の感染急減は、コロナウイルス自身の自滅的進化が原因ではないかという説が、ネットニュースにありました。生物の進化といえば強化や向上に限らず、弱くなる方向への進化も、進化論の基本概念としてあります。

RNA型のウイルスはDNAのらせん構造がひとつなので、刺激による変異で性質が微妙に変わる欠点があります。新型だけに、たまたま繁殖力が下がったのかもという疑いです。アルコール消毒に強い変異種が病院内で生まれるという、院内感染の話と似ています。

こちらもコロナワクチン注射を一度受け、近く二度目です。副反応はありました。腕は打撲傷の感覚で、体温の感覚も変になりました。当日夜ふとんで寒気が起き、高熱キターと測ると36度少し。なのに震えるほど寒く感じ、3日続きました。
2021/07/24

五輪その後の世界アフターコロナはどうなる|欧州が好景気に転じる中

無理やりの東京五輪が始まりました。こちらは現代アート絵画塾を続けています。嬉しい事実は、画家の作風が互いに類似していない点です。日本の隠れ作品は、各々が違う作風に広がっています。アフターコロナの欧州へ送る日が楽しみです。

コロナの6日前2020年1月に露呈した課題がありました。世界同時不況で販売価格が落ちすぎた問題です。ドイツの貧困化。2019年のニュースで日本より不景気と言われたほどでした。実際は日本が主要国で最低で、ドイツは二番ですが。

原因は新自由主義が掲げた、政府の財政をなくす思想です。新自由主義経済とは、経済は完全自由が正しく、公が調整するのを悪とする原理主義です。緊縮財政をとり、市中のお金を削減して貧困化させます。福祉は敵、自助が全て。弱者は淘汰。弱肉強食の優生思想、選民思想です。

EUは新自由主義で設計され、北欧のスウェーデンは福祉国から脱落してズタボロ。イタリアやスペインは国難、アートギャラリーも没落しました。しかし新型コロナで一転して、通貨のばらまきが推奨され、アメリカやカナダは景気回復の途にあります。

EU国の景気回復が遅いのは、打ち出の小づちといえる自国通貨を捨てたからです。マルクやフランやリラやペセタはもうない。日本は円をばらまけば、すぐに富裕な福祉国に戻れますが、新自由主義を続けています。貧困化で利を得た上級国民は、経済回復を阻止する側に回るので、何か外圧が必要です。

日本が貧困化を進める政策を続ける時間帯に、世界は富裕化へシフトしています。日独美術展では、日本のデフレ不況と海外のインフレ好況の落差が開き切った状態に直面しそうです。画家も沈黙して成り行きの受け身では、座して死を待つことになるでしょう。
2021/07/04

若者が社会主義に好感を持つアメリカ|財源論を信じる日本は嫌う

アメリカの若者は社会主義に対するアレルギーが薄れているらしく、普通に好感を持ち話題にすることが増えたと聞きます。東西冷戦が終わり、社会主義を目指す国が消えたことも関係があるでしょう。独裁的な資本主義国へ移行したからです。

この話がややこしいのは、「社会主義」の定義がまちまちで、浮かべるイメージが違うからです。ここで考える社会主義は、福祉を重視する国家理念として、一昔前の北欧のイメージが近いと考えます。つまり底辺層のない脱貧困社会です。

そう考えると、日本で「そんな政策は社会主義だ」と敏感に非難する者が多い理由もわかります。世界では国の予算執行は、自国通貨を発行して払います。弱者を助けるたびに通貨を発行するので、国内のお金は増えて弱者も強者も全員が裕福になります。

しかし日本人は国の財源は税金だと信じ、国がお金を使えば国民が負担すると誤解しています。だから支援を受ける高齢者や障がい者が絶滅すれば、現役の税負担が軽くなると信じています。この勘違いが圧倒的多数すぎて、弱者への恨みが掲示板で殺意むき出しの文言となっているほど。

自分の重税を軽くしたくて、社会主義的な福祉社会への猛烈な嫌悪が噴出します。人頭税と呼ぶ殺人税制を言い出す者が変に多いのは、総量一定と見立てたお金を奪い合うゼロサムゲームに慣れた平成の不幸です。競争社会の意味がずれた。

ところが日本の財政法に、税金を財源とする規則(1947)があります。戦後GHQが日本を管理した際に、アジアの最貧国へ落とすペナルティーを仕込んだのです。ドイツもペナルティーを課せられたはずで、現に唯一の経済衰退国日本を除けば、ドイツの経済成長率は主要国で最下位です。ドイツは気づいて除去しました。
2021/06/20

都市公園の経済原理を考える|日本の税金と地方交付税交付金

6月19日土曜に、地元にある大きい都市公園のひとつへ行きました。コロナ禍での国民の様子はどうかという関心以外に、今どきの公園は維持されているかの視点もありました。何しろ廃墟となり心霊スポットとなった施設も多いから。

公園にはまず樹木が多く、遊歩道はうっそうとした森の中です。造園の見地から、計画的な樹種の工夫が感じられます。広葉樹と針葉樹、花や実がきれいな低木や、紅葉が生える木も点々と配置されています。樹種の札が立っています。

公園の一角ではもうニイニイゼミが鳴き、この地ではずいぶん早い。例年の梅雨の豪雨は7月になってから起きやすく、公園にある池の水位はあふれて放流する限界までまだ遠い。池は大昔の人が水がめ用に築いたそうで、取水用の機械が稼動しています。

都市公園は憩いや運動以外に、災害時の避難場所にされます。日本はデフレ不況でヤケクソとなり、国政はもう社会幸福を放棄した印象がありますが、地域レベルでは過去に築いた防災計画が優先されています。

公共施設だから、地方公共団体の出費で維持されます。官公はお金を発行できるので、もちろん原資は税金なわけはありません。お金を発行した官公が、ユーザーの国民から返してもらわないと破産するなど、あり得ないからです。永久的にお金を追加発行するだけの話です。

公園に天文ドームと望遠鏡もあり、日食、月食、彗星などの天体ショー向けです。天体観測所をより大規模に作れば、コスト増で通貨発行を増やすから、国民はより裕福になります。この原理がドイツの高速道路網アウトバーンです。もし通行料を有料にすれば政府財政出動が消えて貨幣総量が減り、日本と同様に貧困化します。
2021/05/01

アメリカ経済政策と好景気対策|インフレ好況に遠いデフレ日本

トランプ元大統領が打ち出したコロナ対策のドル財政出動は、バイデン大統領が実行に移しました。国民への給付金を重ねて、公共事業のインフラ投資も始めます。GDPの20パーセントのドルを発行して、公共関連事業へとばらまいて景気を上げる正攻法です。予想された数字どおりです。

1929年に世界大恐慌を起こし、第二次世界大戦に至ったあの国際社会のしくじりに学んだ新しい理解は、バイデン・ニューディール政策などと呼ばれます。政府側がお金を発行して使えば経済成長となり、国民の無駄死にを防ぐ手段です。

日本のマスコミもネットも、アメリカの動向を理解できません。理解できないからこそ、現に今の日本はデフレ不況で貧困化しているわけですが。アメリカの前進を見せつけられているので、間違った日本論ばかりが目につきます。

そのひとつが富裕層への増税です。日本でも物まねして富裕層への大増税をやりかねません。税金とは余剰金の廃棄であり、財源なわけはない。2から4パーセントの適正インフレ率が8を超えると、物の売買が過熱する、その好景気の冷却が税金の主目的です。インフレ率が0のデフレが続く日本側は、世界を理解しようがない。

アメリカ共和党は「公共事業の財源はどこにある?」という素人の愚問で民主党の活躍を阻止する構えで、しかし民主党にはジェット機を鉄道に替える案で知られるオカシオコルテスがいます。財源はドル発行コンピューターで、税金は通貨の廃棄だと知っている集団なのです。

連邦準備銀行FRBは、インフレ率の設定のみがドルを増やす目安だとすでに理解して公言し、躍進中の中国と同じ手法で後追い開始。EU国はそれができない制度で、日本はできる。「この24年間の逆をやって景気を上げろ」とアメリカに命じられる日を、日本は待つ身です。ドイツはベーシックインカムの実験を開始。
2021/01/23

ドイツでベーシックインカムの実験開始は3月|新時代へ行けるか

2021年3月からドイツでベーシックインカムの実験を行うそうです。様々な業種の500人を募集して毎月約15万円を支給し、暮らしがどうなったかの調査リポートを作成します。そして近未来に施行する計画らしい。

ただ、この実験は少し手抜かりがあります。金額を2通り用意して千人で実験すれば、もっと念入りになるでしょう。もし日本で行うなら、こちらは8万円を基準と考えています。ドイツは今の物価と生活レベルから、15万円なのでしょう。

ところでお金は時代によって意味が変化しています。原初的なお金は、貸し借りの記録でした。それが中世の西洋では、宝物の置き換えへと曲解され、近代に思想の派閥が分かれて現代を混乱させています。芸術が何なのか、派閥が分断されたままの現象と似ています。

宝物の置き換えを「実物貨幣論」「商品貨幣論」「金本位制」と呼びます。お金の本体自体が、金銀サンゴの代替だとみる思想で、最大の特徴は総量一定で貴重品であり、いわば天から降りたとする信仰の対象です。だから人命より大切。

それに対して貸し借りの記録を「信用貨幣論」と呼び、現代はこれです。ところが古い教育を受けた学者の惰性に引かれ、金本位制から脱却できずにいる国際問題があります。欧州中央銀行総裁のビギナーっぽい発言は驚きでした。巨匠が芸術って何でしょうかと、原点を彼岸の目標扱いする感じ。

日本のコロナ特別定額給付金で、貧困層だけに配って支出を小さくとどめたい民意が、特定職業への激しい差別言動へなだれ込んだのは、記憶も新しい。中世のお金の感覚で、自国通貨が減って底をつくのを恐れるという、悪い冗談のような国民の反応でした。実際の給付は円を新発行し、増分が経済成長になります。
2021/01/14

米大統領のアカウント永久凍結でドイツ首相が意見|SNSの検閲時代

アメリカのトランプ大統領は、暴動を扇動する発言はしていないようで、しかしTwitter社はアカウントを永久凍結しました。声を表に出させない措置。それに対してドイツのメルケル首相が、「発言をさせない封じ込めはまずい」とSNS側へ問題を投げかけました。犬猿の仲にもかかわらず。

美術の論壇でも、アートの内輪に耳の痛い話を論者に発言させないよう打ち切り、議論を消すなどはよくみられました。今も。それはオピニオンですが、制作の作風に関して行うのが、公募コンテスト展の隠れ機能になっていることもわかります。

世界の展示会の潮流は提出物は全て展示し、展示内容がまずければ市民が反応するから、議論すればよしの感覚です。が、国内美術は既存の価値が脅かされる転換を恐れ(公序良俗に反しないのに)、既得権に配慮してきた疑惑があります。

ところでメルケル首相はリベラルの長期政権で、EUの理念を進めた分だけ、ドイツの国力を脆弱にしたと数字に出ています。極端すぎた移民難民のスルーより、むしろ緊縮財政を強める理念に、東側的な生い立ちがにじむと言われてきました。

緊縮財政は、日本経済を壊す主義と同一です。資本主義経済の需要と供給のうち、需要の核心である自国通貨の発行量(公債発行残高)を減らす財政手法です。物が売れない社会へと変化させることで、経済縮小で貧困化させて秩序を変える新自由主義のビジネスモデルです。

なぜそうするかは、人の価値を下げることで人件費を下落させ、企業の業績が伸びずして収益が上がるトリック計算です。ノーベル経済学賞の面々が唱えています。21世紀の先進国のメインテーマは、政府主導の人権侵害で、実は過去の再来です。この話をSNSに書くと検閲で凍結されるから、ブログに書いています。

→ ドナルド・トランプが登場する映画シ-ン(YouTube)
2020/12/06

ベルリン2020クリスマス祭の屋台|コロナCOVID-19下で聖夜近づく

2020ベルリンクリスマス

2020年12月のベルリン市のクリスマスです。場所は2019の写真と同じで、毎年のカイザー・ヴィルヘルム記念教会。今年は2月からの世界的コロナ・パンデミックで、ほとんどお客がいなくて、行くとかえって心が沈みそうだったとか。

写真は現地時間15時前ですが、16時台にはほとんど真っ暗で夜の部みたいになるそうです。屋台の出し物はグリュ―ワイン、ソーセージ、レープクーヘンといった、現地の特産品らしく。

レープクーヘンは香辛料の入ったケーキだと説明がありますが、クッキー状でやや大きいハート形の特別製が売り出されます。固さは日本の「そばぼうろ」や北海道の「トラピストクッキー」のような感触ではないでしょうか。

ワクチンの開発は日本は不参加らしく、ドイツとアメリカで進んでいます。コロナが解決して、欧州中央銀行のユーロ財政出動で好景気に持ち込めば、次回は反動で盛大なクリスマスになりそうな予感を残して、今回はごく静かな聖夜になります。

2020ベルリンクリスマス
all photos: (c) Mihara
2020/08/30

コロナ陰謀説と情報リテラシーと民主主義|ドイツの自由参加デモ大会

ドイツベルリン・コロナデモ

ドイツベルリン・コロナデモ

8月29日のベルリン市で行われた大規模なデモです。最多のドイツ国旗以外に各国旗の集団があり、「自由」「民主主義」「予防接種強制反対」「コロナ嘘」「マスクいらね」などプラカードもまちまちで、相反したりします。屋外で三密は免れても、撮影者のみ距離をとり、マスクありで誰ともしゃべらず。

最近、情報リテラシーが言われます。不正確や間違った情報を拡散させる罪です。国産だけのトイレットペーパーや、ヨード系うがい薬の品切れもありました。深刻なのがコロナ陰謀論です。ひとつは、コロナは狂言芝居で、死因はインフルエンザや暗殺だという説です。

アメリカのSNSで「コロナウイルスは5G通信で高速拡散した」「ビル・ゲイツらしいぞ」の陰謀説が有名です。かつてWindows 95が出た後にも、「パソコンに触れた子どもに、パソコンウイルスがうつらないか心配だ」と、各国の保健所に相談が集まったものでした。

悪意の実行プログラムの隠密増殖と動作を感染にたとえたら、人体の病気と誤認した笑い話です。しかし日本人は笑えません。国家をゆるがす「国の借金1100兆円」が、同類の笑い話なのに皆が真剣だからです。

各国政府は財政出動で国民にお金を裏から与え、表の就業所得と相乗効果で、国民も国家も経済成長します。国民に与えたお金は政府の貸借対照表で、貸方欄に負債計上する簿記ルールです。その負債を借金と偽って吹聴し、返金できずに国が破綻する筋書きの妄想デマです。

この妄想で、日本はコロナ対策が経費節減で省かれ、それは国民全般の誤解の産物で起きた平成大不況と同一原因です。ちなみにFacebookは「コロナは架空の嘘」説を削除する方針で、民主主義と衆愚主導の線引きに乗り出しています。
all photos: (c) Mihara
2020/07/01

ドイツは今日から売上税を減税し景気回復へ|消費税は景気冷却が目的

今日2020年7月1日からドイツは売上税を減税します。食品は7から5パーセントに下げ、アートなどぜいたく品は19から16パーセントに下げます。ドイツの売上税が元々変に高いのは、EUルールの義務が15パー以上だからです。これは新自由主義とグローバリズムの思想です。

つまりECとEUは緊縮財政による貧困化促進が基本設計で、ヨーロッパの活力をそぐ意図が優先しているとわかります。活力をそがれて国難に至ったイタリアやスペインの斜陽は、EU設計指針のシンボル的な光景といえます。謎がない。

消費税は消費行動への懲罰なので(比喩でなく元々その機能)、EUは消費抑制型のグランドデザインです。消費税を100パーセントにした時と、マイナス50パーセントにした時の違いをみれば、景気を好きに上げ下げできる機能がよくわかります。

100パーなら物価は倍になり、マイナス50パーなら半額です。マイナスの消費税は手間がかかるので、最悪デフレ不況なら0か廃止で調節して、それでもなおデフレなら政府財政出動で貨幣量をより増加させ、GDPアップを図りマネーストックM3のかさ上げで貧困化を防ぎます。

EUが制度設計した時、実は消費税の機能は不明だったのです。後世2017年頃の論文で、景気の緊急ブレーキ役と判明しました。日本でももちろん毎度こじつけ理由で、シャウプ税制を放棄した初回以来、変転しています。最近の理由は「一度下げたら上げる苦労が大きい」という内情だそう。

ちなみに、消費税はインフレだと上げて、デフレだと下げます。固定は誤用です。日本で消費税を下げる気運が盛り上がらない理由は、上と下で異なります。上は輸出企業が益税が目当てで陳情するから。下は福祉の財源だと勘違いしているから。増税で福祉が切り捨てられ、マスコミが気づいて指摘したのが昨年秋でした。
2020/04/07

ドイツ国の現金支給は60万円から108万円|日本の異常性が際立つ

ドイツから入った貴重な情報ですが、3月中旬からの非常事態宣言で、労働ストップ令が出ています。そして生活補償の現金支給は、フリーで60万円、店舗持ちは108万円だそうです。ネットで申し込めば、3日で口座に振り込まれたそうで。

一方日本では、現金支給を病的なほど嫌っています。理由は単純で、病気だから。経済ブログに詳しく書いたら、ちょっと人気が出ています。アクセス数の順位は、今104記事中5位です。病的というのは、厳密には宗教的です。

理由はお金の意味を勘違いしているからで、誰が勘違いしているかといえば、実は一般国民です。勘違いをリードしているのは、超有名論客たちです。この話は経済ブログで展開中なので、ここでは別の話にしましょう。

思いついたのは、お金という存在の抽象性です。現代のお金は何かと問われると、答はもちろん「借用証書」となります。しかし考えてみると、貸借関係の記録用紙は抽象的存在です。債権と債務の対称性は、抽象思考の世界です。

そこで美術との関連です。日本では具象画は理解され、抽象画は理解されにくい。これがそのままお金への理解に反映している仮説です。世界で日本だけ抽象アートが極端に苦手なように、貨幣観も抽象的な部分が壁なのです。勘違いのこだわりがあり、お金を素直に配れません。

ちなみにお金というものは、独立国は無限に、いくらでも、どれだけ多額でも発行できます。日本の場合、1不可思議円でも発行できます(10の64乗=1京の1京倍の1京倍の1京倍)。配るお金がないという弁解は、悪い冗談なのでご用心を。お金はいくらでも出せても、宗教上の理由で配れないのです。
2020/03/30

アーティストへの給付金の案がドイツで出る|日本では反対の声ばかり

新型コロナへの措置で、ドイツでアーティストに給付金を出す案があり、掲示板で話題でした。フランスもドイツも芸術大国で、アート市場の規模も大きく、これは自然な発想なのでしょう。欧州の先進国では芸術が人々の暮らしのアクセント以上に一般化し、庶民の楽しみとして定着しています。

日本のネットでは「必要を全く感じない」「アート自体が不要」の反応ばかりでした。何しろ日本ではアートは専門家が仕切り、庶民には難解で鑑賞は苦痛な行事です。文化の日の美術館巡りは、たまに背伸びしたみたいな。日欧の差は伝統かDNAか、ここの参加者の体験どおりでしょう。

財源はどうするかのいつもの的はずれは、しかしドイツではある話です。というのも、いくらでもお金を発行できるイギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、日本など独立国と違い、ドイツは統一通貨ユーロを借りた従属国だからです。

治外法権の欧州中央銀行からの仕送りでお金を増やすから、本来はない財源の概念が本当にあるドイツです。交易を調整できない固定為替相場制の制約も、強いイギリスと弱いイタリアやスペインの明暗を分けました。ドラクマの打ち出の小づちを失ったギリシャショックで発覚した、EU財政問題は続いています。

アーティストに給付金を出すのは、それ以外の職種にも出すからであり、各国首脳は特定の職業人が多数亡くなれば、紛争から戦争に発展した1929年を浮かべているのかも知れません。今と似ている91年前のアメリカ発世界大恐慌は、ナチス台頭と二次大戦まで行きました。不況は人をキレさせますから。

話をアーティストの処遇に戻すと、フランスとドイツは前にも美術家の救済を考えました。美術作品が転売されるたびに配当を作者に渡す案です。若い頃に二束三文で売った絵が後に巨額になっても、作者にはビタ一文入らない問題の緩和でした。こうした芸術家へのリスペクトは、創造国としての威信にみえます。
2020/03/25

ドイツのコロナ対策ガイドライン内容|ベルリンの日本大使館から通達

在ドイツ日本大使館からドイツ在住日本人へと、3月22日に送られた「ドイツ全土での新ガイドライン」がJFB現地リーダーErikaさんから届きました。メルケル首相が発表した内容の和訳であり、更新され厳しくなっています。意訳すると・・・

(1)家族以外の他人との接触は必要最小限に。(2)公共空間で他人との距離を1.5メートル以上、可能なら2メートル以上とる。(3)公共空間への滞在は単身か家族以外1名、または家族同伴に限る。

(4)通勤、託児、介護、買い物、通院、試験や会議、他者の支援、個人スポーツ、屋外で新鮮な空気を吸う運動、その他必要な外出は認められる。(5)グループのパーティーは公共空間と私的空間とも許されない。秩序局または警察が取り締まり、違反には罰則がある。

(6)飲食店は全て閉鎖する。ただし配達や持ち帰り等、個人宅用の料理は販売可。(7)理髪、美容サロン、マッサージ、タトゥーなど身体サービス業は、全て閉鎖する。医療上必要な治療は認められる。

(8)人々との接触がある全ての現場で、公衆衛生の規則を守り、従業員や訪問客への保護措置をとる。(9)上記措置の適用は最短でも2週間とする。

ドイツで心配なのは、政府財政出動の規模です。中国とアメリカには拝金思想がなく、しかし日本はお金の崇拝が強すぎて、主要国中唯一デフレ不況国なので恐慌は確実です。ドイツも東独出身のメルケル首相は緊縮財政の思想があり、統一通貨のユーロを十分投入して民を救えるかが注目です。
2020/03/10

新型肺炎コロナウイルスとドイツ|国境なき新自由主義経済とグローバリズム

新型肺炎を起こすコロナウイルスは、欧米にも広がっていて、あらゆるイベントが制約を受けています。イベントを強行開催するにも、感染力の強さと人の免疫不足で無理があります。我々も直撃を受けています。

新型コロナウイルスで死亡する理由は、日本ではもうひとつが表の話題になっています。仕事を失って路頭に迷い、孤立死する確率の上昇です。これは平成大不況を故意に起こした、日本の奇行で被害が増幅されます。賃下げが主目的の働き方改革は、人命軽視だったのです。

日本の平成時代は世界史と数字が合いすぎて、新自由主義経済とグローバリズムという二大宗教を、日本だけが真に受けすぎて転落しているわけです。むろんそれを国民が自覚できない問題は別にあります。その話題は経済ブログに分けました。→https://i.gallerystory.com/nippon

国民の貧困化、すなわちマネーストックの削減と現役世代の所得減に、日本国民は入れ込みすぎました。自転車操業の時給労働をやめると死につながる人数を、国内に増やしすぎです。大勢が死んだ後で悟った1945年と似てきました。

新自由主義経済は、賃金カットと国力低下が目的意識にあるので、天災が起きると全滅する宿命を許す仕組みです。世界一天災が多い日本が乗ったのは、悪いブームでした。もう一方のグローバリズムは、人・物・金の国境を消して地球の仕切りを排除する主義です。

新型コロナが流行りやすいように、世界をつくり変えたから、まんまと流行った。国境の概念が、忌み嫌う存在から、頼りになる存在へ変わるのか。すでに次の世界構築へと脱出したイギリスも含めて、おもしろい時代が始まるのかも知れません。
2020/03/04

JFB開催場所探しが始まるはず|ベルリン不動産消滅のジンクス

ドイツで美術展を始めて何度も起きているのが、展示場所の消滅です。盛況だったアートフェアも後日よく消えています。そして場所もなくなります。場所は建物オーナーの入れ替わりですが、改装もあります。

ベルリンが特にそうであるのは、東京と似ているかも知れません。東京もまたしばらくするとがらりと街並みが変えてあったり、ランドマークができたり消えたり。スクラップ・アンド・ビルドで、全く違うデザインで建て替わっていたりします。

それで、ジャパン・フェスティバル・ベルリンを開催した、いつものURANIA e.V.ビルも、改築が行われるそうです。催し物会場の一部をオフィスルームに変えて、テナント企業を入れると聞いています。しかも料金大幅アップ。それでJFB主催者は他の場所を探すことになるでしょう。

JFB2021の申込み募集は2月5日には始まっていて、それが取りやめになったのは、急な変化だったからでしょう。この急な変化は、この企画の特に現地在庫作品の扱いの変化と関係があるかも知れません。

ドイツで、レンタルルームの家賃が上がっています。理由は移民難民による人口増というのが、国際ニュースでした。ドイツでは住宅を高層化しないから、衛星都市に広げて高速列車でつなぐ手ですね。まだまだ都市開発が必要で、実際にクレーンが多くみられます。

2020年は世界が激動すると方々から予想され、世界同時不況の道連れからのがれたのはイギリスでしょう。世界の動向はイギリスから始まります。最後に日本がついて行く頃には、イギリスは次のことを始めて世界を引っ張っています。