壁素材型アートの課題
こちらで見せ方に執着している作品に、ヴァーチャル壁タイプがあります。リアルの土か石かセメント壁に似た作品です。汚れたり崩れたり、あるいは朽ちたりコケむした、古色の材質をイメージした絵もあります。ざらざらしたテクスチャーや、濃淡ムラの情感を味わう抽象画の一種。
そうした壁素材型の絵は欧米にもありますが、とりわけ日本ではうんと地味で渋い調子が多いようです。自然指向の写実といえる、空気的な存在のワビサビ。しかし、ドイツでは見せ方が難しいのです。
日本の建設業はスクラップ・アンド・ビルド方式です。平野部が狭く地価が高い上に、建物付きの土地だとはね上がる固定資産税。古建築の取り壊しを急がせて新築を促す制度は、土建国家と呼ぶ根拠のひとつです。日本の展示会場は、新築のきれいな壁である可能性が大。
対してドイツでは古建築のリユースが多く、各地に昔の工場や集会ホールを転用した展示場があります。リフォームはホコリ落とし程度で、柱や壁は塗り直さずそのまま。ドイツの展示会場は、汚れてくすんでボロボロだったりも多く、見た目が素材アートしちゃっています。
ヴァーチャル壁タイプの美術作品は、日本の展示室では引き立っても、ドイツの展示室では埋没する心配もあるのです。展示場建物内装の肌触り感が、アート作品にそっくりなせいで。
日本の壁素材型で現地で好評だった絵もありますが、結果がイマイチの作品は日本の感覚では絶品だったりします。向こうに合わせて作り変えるのもおもしろくないし、これは意外に大きい課題です。
そうした壁素材型の絵は欧米にもありますが、とりわけ日本ではうんと地味で渋い調子が多いようです。自然指向の写実といえる、空気的な存在のワビサビ。しかし、ドイツでは見せ方が難しいのです。
日本の建設業はスクラップ・アンド・ビルド方式です。平野部が狭く地価が高い上に、建物付きの土地だとはね上がる固定資産税。古建築の取り壊しを急がせて新築を促す制度は、土建国家と呼ぶ根拠のひとつです。日本の展示会場は、新築のきれいな壁である可能性が大。
対してドイツでは古建築のリユースが多く、各地に昔の工場や集会ホールを転用した展示場があります。リフォームはホコリ落とし程度で、柱や壁は塗り直さずそのまま。ドイツの展示会場は、汚れてくすんでボロボロだったりも多く、見た目が素材アートしちゃっています。
ヴァーチャル壁タイプの美術作品は、日本の展示室では引き立っても、ドイツの展示室では埋没する心配もあるのです。展示場建物内装の肌触り感が、アート作品にそっくりなせいで。
日本の壁素材型で現地で好評だった絵もありますが、結果がイマイチの作品は日本の感覚では絶品だったりします。向こうに合わせて作り変えるのもおもしろくないし、これは意外に大きい課題です。
スポンサーサイト
- 関連記事
-
- 日本のおもてなし観光も議論と分析が苦手|美術の批評も未発達だし (2019/09/06)
- 新科目の道徳教科書でボツとした日本のパン屋 (2017/03/26)
- ノーベル化学賞のリチウムイオン電池|バブル時代に研究投資した成果 (2019/10/09)
- 事故物件を恐れる心理と死者の敵視と冒とく|東日本大震災だけは例外 (2019/08/11)
- はやぶさ2が小惑星りゅうぐうへタッチダウンした動画|生物の起源 (2019/03/08)
- AI技術で白黒写真をカラー着色する|遠い歴史もリアルに迫る (2020/08/18)
- ヨーロッパに伝えたい日本の空間感覚 (2016/11/06)
- 江戸しぐさという謎の道徳と徳川慶喜の大政奉還 (2017/03/28)
- 日本語を捨てようとする日本と、学ぼうとする外国 (2017/05/08)
- 日本は安全と安心が芸術の基盤か|社会荒廃ビジネスモデルに注意 (2023/09/15)