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2017/02/27

アカデミー賞の受賞作発表ミス

映画の第89回アカデミー賞で、プレゼンターがアナウンスした作品賞の受賞作が間違っていたハプニングです。受賞スピーチが途中でストップされ、別作品が発表し直され会場が混乱したという。プレゼンターが渡されたのが、女優賞の使用済み封筒だった手違いだそうで。

あり得ないし信じられないという声や、故意に場を混乱させようとした芝居説も出ています。が、何かの渡し間違いは起きる可能性が常にあります。こちらにも覚えがあって、1990年代後半のスキー旅行で起きました。

毎回、団体の幹事をやっていました。早朝に列車を降りてチャーターバスに乗り継ぐ時に、バスの切符を渡すと。バス会社は、「うちの会社と違う」と言い出したのです。「そんなわけはない、旅行会社から渡された切符はこれです」というやりとりが続きます。

相手側の運転士や係員たちも皆出てきて、「これはうちじゃない」「これでは乗れない」と口々に言います。15分もたっていて、バスの中には他の大勢のお客と、こちらの仲間も満員状態で乗って待っています。事前の切符の発行ミスが考えられ、どうしようかと考えた時、ふと思いつきました。

「もしかしてこういうことか」とカバンの中を探すと、ありました。往路の切符が。切符は2枚ありました。山に登る往路と下山する復路で、バス会社が異なっていたのです。行きに帰りの切符を提出したから、わが社でないから乗れませんと相手は言うしかなかったわけです。

気づいてしまえば全くバカバカしいミスですが、あの時は全く気づきませんでした。発想が念頭にない以上は、起きていることを起点にするから、注意深くなりようもなく。当然ながら相手も、「これは帰りの切符でしょ?」と思いつきもしないわけです。アカデミー賞のケースも、対策は浮かべることができても、責める気にはなれず。これが人生なのでしょう。
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2017/02/25

39光年離れた惑星へ人類は行けるのだろうか

ある恒星に、地球に似た惑星が7個あるらしいと、NASAの記者会見がありました。地球からの距離は39光年で、宇宙的規模では地球のご近所さんです。このニュースへの反応で、「光の速度で39年なら、往復で人間の一生ぎりぎりか」という意見がありました。

実際には、はやぶさ探査機の巡航速度でも片道39万年かかる計算です。縄文時代から今までの1万5千年の26回分の時間です。光の速度で考えた時点で、1万倍もずれています。だとしても、すでに行った月旅行を応用してその惑星へも何とか行けないのかと、疑問も起きるでしょう。

が、月旅行と火星旅行の違いと同じで、距離は決定的です。地球から月までの距離が地球一周分の9.6倍だとは早くにわかっていて、月に限ればとても近い。月旅行の提唱はアポロ計画より100年以上前にあり、ゴッホが生まれる以前の古いアイデアでした。

39光年は月までの9億6千万倍なので、科学者は行くつもりにもなれないでしょう。同じ夢でも、実現性に大差があります。月と他の恒星は距離が7桁以上違い、どうにもならない壁です。ところが必ず出てくるのが、「今の科学技術なら無理でも、将来の科学技術なら行けるだろう」という言い方です。

「もし可能になる方法があるなら可能になる」式の虚しい循環論ですが、これも量的な拡張で済むか、未知の原理に取り替えるかで、確かに違いは大きいでしょう。燃料式モーターでは宇宙船の速度は上がらないから、空間の抜け穴を発見する想定が多いようです。SFの世界です。

「可能な方法」とはワープを指し、元は小説や映画のアイデアです。この現象は、フィクションが未来への期待をつないでいる点で、創造の効用の一面を感じさせます。漫画のおもしろさも似ていて、フィクションが先行することで、夢想以上のリアリティーが得られる効用を感じます。
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2017/02/20

ヴォーグ誌のアメリカ人モデル写真で、日本文化が盗用された

和風デザインの前に立つ、和装のモデル女性カーリー・クロス。その写真がヴォーグ誌(Vogue)の表紙に使われ、米国内で批判されました。どういうことなのかが日本では誰もピンとこなくて、日米のすれ違いが目立ちます。

ニュースに出た語「差別」「植民地」だとわかりにくく、「著作権」「意匠権」で考えるとスムーズです。たとえば、アングロサクソン系の人がインディオ(ネイティブアメリカン)の羽飾りをつけてCMに出ると、まずいぞと批判されます。

逆にインディオの子孫が、洋服でCMに出ても許されるらしい。レア度の高い文化は保護されるべきで、多数派が少数派からパクるのはだめという、多民族国家のモラルです。メジャーがマイナーを引用するとアウト。逆はセーフ。

ヴォーグ誌の写真では、日本のスモウレスラーや古来の意匠を使いながら、主役は白人系だから「日本文化を盗んだ」と判定されたのです。いらぬ心配ではなく、過去に何度も世界の少数民族から「我が文化を表面的に使われたくない」という抗議が来ていて、その対策だそう。

日本人の感覚はおおむね、「そちらの和装は自由、こちらの洋装も自由。発祥国を偽らずに自由に使いましょう」です。これは、日本国が昔から欧米と交流があり、レアな自覚が薄れている歴史事情もあるでしょう。そういえば最新の学校教科書では、江戸時代の「鎖国」の記述が史実と異なるから廃止するそうで。

ジャパン・フェスティバル・ベルリンのアイコンは、もちろんアメリカでないから無関係だとして、日本人は「この表情でいくの?」と感じても、「盗用だ」とは思わないでしょう。珍しいほどでもないくらい、この種のイメージが世界に普及済みの前提で、日本側はおおらかに考えています。

ジャパンフェスティバルベルリン
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2017/02/17

ジャパン・フェスティバル・ベルリン2017絵はがきベスト8

1月21~22日のジャパン・フェスティバル・ベルリン2017会場で、ブランド絵はがきの販売総数は前回2016年の36パーセント増でした。販売数ベスト8が出ました。8位は3点あるので計10点。

ランキングは遊びにすぎず、ご当地の気分を知るおもしろネタ程度です。今回は、抽象系より具象系が伸び、現地の気分は少し落ち気味と推察しています。昨年のドイツは色々と不安材料がありました。一般的には景気がよくなるほど、売れる範囲がレアな不思議図柄へ広がります。

まだ売れていなかった抽象の図柄が初めて売れ、おおっというのもありました。静かに待っているだけの対策もありそうな。現物がまだこちらに来ていないので、写真は版下からおこしました。実際の製品とは図柄の範囲が異なります。

ブランド絵はがきコレクション
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2017/02/15

鈴木 香織展、hair&beauty STORIA 品川店 [参加者ニュース]

鈴木 香織展
hair&beautySTORIA 品川店
東京都品川区北品川1-3-18KIビル1F
2月16日(木)~4月16日(日)
水木金 12:00-25:00、月土日 9:00-19:00
定休日 火曜、毎月第1と第3月曜

写真

ドイツでカルト的な人気の抽象画の新作が、
東京の店舗に長期リラクセーション出演。
Kaori SUZUKI 作品撰集サイト
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2017/02/11

色々なことがみんな限界に来ている、原因を世界は直せるか

日本の人気タレントのマツコ・デラックスが、「みんな限界に来ているのだろう、色々なことが」などと言い話題になりました。これに対する大勢の意見で不思議なのは、「なぜこんな日本になったのだろうか?」と首をかしげる声の多さです。なぜって?、今そこが国際問題の焦点なのに?。

日本がギスギスしてタレントが嘆く原因と、イギリスがギスギスしてEUを脱出する原因と、アメリカがギスギスしてトランプ大統領が当選、ギリシャがギスギスして破たんし、ドイツがギスギスしてテロまで起きた原因はわかりきっています。新自由主義経済を基盤としたグローバリズムです。

ここでも何度か触れましたが、ベルリンの壁が消えてボーダーレス社会が進み、世界各国は激変しました。ソ連など東側国が組み直しになり、世界全体が資本主義になったも同然です。日本では1964年の東京五輪以降の流れで、一線を越えた自由主義を徹底し始めてから国力低下が続いています。低下の例は尖閣諸島の危機。

ギスギスの内訳は、極論の台頭と賛美です。日本なら、「労働できない人は死ねばよい」。イギリスだと「EUは死ね」。アメリカは「移民テロリストを追い出せ」。ギリシャは「やること全てだめ」。ドイツは「・・・」。全ての根底に、中産階級の没落とデフレ経済があります。

人、物、金の国境を消す新自由主義のせいで、みんな限界に来ています。色々と。限界の正体は、マネー争奪で疲弊したマインドでしょう。バス会社の旅行業参入自由化も、得たのは大事故の連続という限界状態。社員の過労死に無頓着なブラック企業も、マネーの奪い合いは一転して無頓着返上。

90年代の経済人は「今後は株主の利益を」と、一億総中流を批判しました。これも極論の典型でした。マツコ・デラックスが語った保育所不足にしても、夫の賃下げを妻が補う貧困家庭の問題です。近い将来に日本女性より一段低賃金で働ける移民女性へ、取り替えるまでのつなぎだから、為政者にとって解決させない方が得策なわけです。
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2017/02/07

ドイツ車とアメリカ車と日本車の文化背景

ドイツ車と日本車は、以前から方向性が似ていました。日本車の思想はフランス車とは異なり、イタリアやイギリスとも近くなく、やはりドイツが近い。日本でシェア確保に成功した外車はドイツ車だけと言われ、あたかも日本車の上級グレードの位置づけです。

「日本はアメリカ車に対して不公平だ」とするトランプ大統領の話はウソで、アメ車を日本へ送ると関税は免除され、逆に日本車をアメリカへ送ると関税は2.5パーセントです。驚いたのは、昨年2016年中のフォード社撤退でした。2017年の今、もういない。

日本代理店は111年の歴史だそうで、影の薄さと積極性のない不思議。不思議といえば、98年頃のGMシヴォレーブランドのSUVブレイザーも、日本のランドクルーザー70程度のサイズと右ハンドルで健闘しながら、広く知られる前に打ち切るあきらめの早さ。残された大型のトレイルブレイザーは左ハンドルで全く売れず、奇妙なマーケティングでした。理由は中国重視。

アメリカ車が日本でもてたのは、1970年代でした。マッハワン、トランザム、カマロ、スティングレーといった6600~5700ccエンジンの、異様に大きく低いルーフ、かつ大きいロードクリアランスのスポーティーカーでアイデンティティーを確立しました。

しかし石油価格を産油国が決めるオイルショックで、アメ車は転向や別の引き出しを求められ、失敗して1980年代の日本車バッシングに続きました。日本車をハンマーで叩き壊すテレビパフォーマンス。なのにアメリカでは日本車ファンがその後も増加し続けて。昨年のスバルの爆売れとか。

小型のアメリカ車は欧州車に匹敵しない上に、伝家の宝刀たるフルサイズSUVも近年の重苦しいルックス続きで、世界中で売れない理由はわかりきっています。これはグローバル経済の被害よりも、単純にデザインマーケティングとカースタイリングのまずさでしょう。
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2017/02/04

EUは全域が幸せになったのか

少し前にやっと気づいたのは、EUという団体を楽観視しすぎていたことです。二次大戦への反省で、過去に戦い続けたフランスとドイツが中心に、ヨーロッパ国の連合を組んだEU。その軍事面の平和構築に気をとられ、自由貿易の危険性に気づかなかったのです。実は欧州のTPPだった。

ここの参加者に世界各国で展示している方もいて、スペインのアート界が沈んでいると聞きました。三大画家の威光もなく、東京よりはるかにアートを買う雰囲気がないという。どれだけ?。アートが流行るベルリンと比較にならないほど。

ギリシャ問題などでEUが混迷し始めたのは、人、物、金の国境を消すグローバル経済が原因です。国境は本来、国家と呼ぶ地方自治体の安全弁です。物品ごとに関税を上げ下げして、国内の生存権と相手国へのダメージを調整する緩衝帯。グランドデザインの単位。ヒトの移動にも抵抗を設け、大変化と極端を防ぎ安定を図る。

保護貿易はセーフティーネットであり、互助の基本でしょう。セーフを禁止したEUは、互助精神を捨てていました。EU内は互助機能完備かとてっきり思っていると、実はハンデなしの大人と子どものけんかだった。子ども役ギリシャは国家崩壊。弱さを馬鹿にされながら。

EU結成時点で、人、物、金が圧倒的に充実していたドイツの一人勝ちは約束されていました。G7でもない諸国たちは、ヒト、モノ、カネを吸い上げられ、国家丸ごとシャッター通りと化すような不調。結果スペイン製アートは、ロンドン、パリ、ベルリンへ流れて空洞化したのかも。

二極集中した勝ち組のひとつイギリスは、移民で生じた人材デフレで中産階級が没落し、EU脱退で国を立て直すところ。唯一の勝ち組ドイツも人材デフレで格差が拡大し、内部分裂が目立ち始めています。トータルすれば自由主義で壊れていく文明の末路であり、ドグマ好きな欧州人の自殺志願ぶりが見えてきます。
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2017/02/01

円高と円安と日欧の美術活動

円の為替は、海外で行う美術展にも関係します。1ドルや1ユーロが何円になるか、円の数字が高いほど円安です。1ユーロ120円よりも130円が円安で、円が弱い。

円安なほど日本からEU国へ送ったイベント資金は、ユーロ金額が減ります。円安なほど送った1万円が低いユーロ額に換算されるから、現地で使い手が落ちる。その反面、作品が売れて日本へリターンする時に、円換算した日本での取り分金額は増えます。

海外イベント参加者にとっては、円安なほど参加費が高くなって、その代わり売れた時に多くもらえる計算です。逆の円高になれば、効果も全て逆になります。

25年前のバブル時代後期には、毎日円高の話題がニュースでした。1ドル80円とか。円高だと輸入品が安く買え、当時は海外製品の内需が拡大したのです。ブランドバッグ、音楽CD、高級ウィスキー。また海外旅行した先で、円の強さで高額のおみやげをたくさん買えました。市民生活には円高がうれしいもの。

今1ドル100円少し。これに対し米トランプ大統領は、日本が為替を円安に操作していると批判しています。疑念の背景は、自国通貨安で輸出品を相手国で安売りできる、貿易の策略です。輸出業者が自国の国力が落ちる衰退を生きがいとする、奇妙な国際競争が続いています。

変動相場でない中国の人民元切り下げの件で、90年代にしょっちゅう議論された話でした。日本はむしろ思うようにできず、他国にただやられるだけの為替失策の国だと、延々と言われていたのですが。
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