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2018/05/24

女性用シェアハウスが売れないのはなぜか|ゴッホとゴーギャンの同居

シェアハウス会社が倒れ、バックの融資銀行内で不法行為が常習化していた事件です。そもそもの問題は、「シェアハウスは新しい日本人の、新しい暮らし方です」と誰かが言ったデマが発端の事業です。

間違った前提で築かれた新文化が、早晩に転ぶ事例といえるかも。日本のシェアハウスはあこがれの生き方ではなく、貧しい生き方です。失われた26年を記録更新し続けているデフレ日本国で、住宅事情の貧困がシェアハウスの正体なのだから。シェアは不景気の合言葉。

格差社会で生じた低所得層が自宅の家賃を払えなくなり、路上生活に転落するピンチ。そこで、家賃を半額に下げる苦肉の策が、シェアハウスの原意です。割り勘住宅の意味。移民たちが同性異性を問わずよくやる、二人で一戸の住まい方です。

ところが若者の搾取に触れたくない論者も多く、現代若者のライフスタイル哲学が生まれたとつくり話を語る。そのデマを信じた小金持ちが銀行融資を得て、シェアハウスオーナーとなりユーザー不足。デマを信じておしゃれに豪華に高額に、貧困向けアパートを建てた論理矛盾が敗因です。

この道理のシェアハウスで、有名なのはゴッホとゴーギャンです。結末は、ゴッホはゴーギャンを刃物で殺害しようとして失敗し、自らの耳を切り届けようとしたあの事件でした。いさかいの背景は貧困で、二人とも絵がさっぱり売れないダメ画家だったせいでしょう。

ゴッホには他にもコロニー計画があり、これも何度出品しても誰も買わない芸術の宿命を前提として、自己救済も含めた苦肉の策でしょう。世界各国で現代アーティストたちが利用するシェアハウスも、昔からほとんど事情が変わっていないように思えます。
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2018/05/21

美術印刷とサイト画像のカラーマネージメントは難解|再び研究と整理

ジクレー版画と絵はがきとでは出力手順が大きく異なり、しかも印刷所ごとに入力原稿仕様が厳格に決まっています。ドイツの印刷所を使う時は、資料を取り寄せドイツ語を調べる必要もあります。

ところがいくら厳格でも、OSや各機器ドライバーソフトのクセもあり、データどおりの再現は不確定です。個別事情でさじ加減も必要だから、雑誌社も印刷所の特定職員と連携することが増えます。

カラーマネージメントのネット情報を読むと、非常に難解です。一枚の画像データにカラープロファイルが一個必ずついて、相互に変換可能というだけの仕組みなら理想です。ところが現実は、消したり他を名乗ったりも可能で、画像ソフトの設定とファイル操作は難しく、トラブルが絶えません。

ネットの人物写真が赤ら顔だったり、逆に生気がなかったりは、カラープロファイルの不一致でよく起きます。画像ソフトで保存時にカラープロファイルなしが選べたり、なしにするテクニックもあるせいで、後にミス選択が起きるわけです。当面PNGデータにはつけるなという意見も、困りものです。

一般にプロのデジタルカメラは、カラープロファイルが印刷出版向けに設定されます。同じRGBデータでも色空間が大きいので、画像の内部数字は異なります。主流の色空間が少なくとも二種類あるから、どの種かを宣言するカラープロファイルを消せること自体、発想がおかしいわけです。

消されていたらブラウザソフトが博打的に決め、外れたら二度濃くして赤ら顔や、二度薄めれば生気なしが起きます。対策として、絵画の画像でも撮影時のカラープロファイルを必ず埋め込みます。大量の原本画像がカラープロファイルなしなら、メモ文書を添えるのが現実的でしょう。
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2018/05/13

ロストテクノロジーが暗示する芸術の運命|ピラミッドとアポロ宇宙船

ピラミッドとアポロ宇宙船の匿名ネット議論は、芸術の考察に役立ちます。それは宇宙人と地球人との関係や陰謀論という切り口よりも、人類のロストテクノロジーの観点です。この手の話題は何度もやってきました。

ピラミッドは科学技術が発達した今も作る方法がわからないから、宇宙人が作ったのだという説。アポロ宇宙船は六回着陸した後に、科学技術が発達した今の誰も月に行けないから、『2001年宇宙の旅』の映画監督を起用したスタジオでの芝居だったという説。キューブリック罪人説。

どちらの俗説も、信じる人の輪は急速に広がっていて。両方に共通するのは科学が発達した僕らは、能力向上し続けている前提と自負です。そこには、過去の技術が消える視点が抜けています。

最近イギリスから届いたニュースは驚きでした。学校にある時計を読めない生徒が増えたから、デジタル時計に総入れ替えした話題でした。長針と短針の位置で何時何分何秒かを読み取ることが、もう人間にはできない時代に入ったのです。原因はスマホらしく。

つまり針式のアナログ時計は、ピラミッドやアポロ宇宙船と同じ立場です。いずれ製造もされなくなり、人類にはそんな装置は作れない説の候補が、またひとつ増えた。他の候補は、ロータリーエンジンにディーゼルターボ、MT車、ガス炊飯器やカラー写真フィルムなど、ロスト予定がひかえます。逆にロストしなかった例は、音楽レコード盤。

「今の僕らにできないことは、昔はできたはずがなかろう」という現代人の自信。それは違うでしょとわからせてくれるひとつは、美術です。昔の絵を卒業したつもりでも、似せて描いてみれば浅く平坦な表現がやっとだとか。そのせいで、各国で古美術修復の失敗が続出しています。
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2018/05/08

版画を身近に親しむドイツ|日本はサインやエディションの形式に執着

日本で起きる美術の様々な現象には、やっぱりある種の事大主義が見え隠れします。版画の仕様の取り決めが細かいのも、この表れかも知れません。陶芸の箱書きと似た感じで、お墨付き書類で作品の値打ちを左右する意識が大きいという、程度問題があります。

こういう手続きを踏んだ版画は値打ちが高く、欠けたら値打ちが下がるという強い規則が、薄れつつも残っているのが日本です。何とかエディションという、グレードを示す規格に比較的深く執着する傾向です。

日本では鉛筆書きナンバーなしはエスタンプと呼び、格落ち扱いです。当のフランス語圏では、エスタンプは版画の意味で、そうピリピリしません。外国ではアートは自由という意識が優先し、便器を美術と呼ぶ時代に強い検問で制するのはアンバランスだし。日本は資格重視、外国は内容重視。

ドイツでも関心の対象は画のイメージ、図柄です。仕様の規格で値打ちを測っていないみたい。だからドイツで絵にサインを求められるのは、サインで値打ちが変わるからではなく、名前ぐらい書いてねという意味です。

もちろん出展するこちらは、手がきと誤認されないよう看板にジクレーと表示します。日本側ではフランス語のジクレーですが、外国で一般に通るのはアートプリントの語だと知りました。二つの語を明示しています。

ジクレー展では日本での値打ちも考え超高級紙に刷りますが、対外的にはオーバースペックかも。同じ絵を用紙のグレードを変えて刷り、相応の価格差にすると、安い方が売れる傾向があります。絵の資産価値よりもコンテンツイメージがお目当てで、リセールバリューは後回しらしいから。
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2018/05/02

国内で作品を輸送するはこBOONが消えた|ヤマト運輸の値上げ騒動

長期の募集展示が終了し、作品が戻りました。連休前半を仕分けと梱包に当て大忙しでしたが、送り出した頃からの大きい変化は国内の配送です。2010年開始の宅配「はこBOON」が、四月に経営断念したのです。

それはネットで会員登録してセルフ申請し、荷物のサイズや重さもセルフ計測します。140サイズで3キログラム程度の板状など、軽くてかさばる荷物に好都合な格安料金で、作品搬出コストが低くできました。

昨年の大手通販と大手宅配の値上げ騒ぎで、空きトラックに便乗していた「はこBOON」は夏に休止して価格見直しに入り、結局廃止の通知が来ました。条件が似た古着など、オークション関係者も困っているみたいで。

日本は今、様々なものが生まれる時代ではなく、消える時代だと感じます。全ての原因はむろんデフレ経済で、あれが終わったこれが消えたのニュースが続きます。最近の話題で大工さんがリフォーム以外で激減し、在来工法や和室やたたみ文化も終わると言われています。

ロストテクノロジーはピラミッドやアポロ宇宙船を出すまでもなく、たとえばレジスターの歯車を作れる人も消えています。「ジャー、ガチャン、チーン」という店のレジ。歯車はなくても、人々の購買力と購買意欲が持ち直せば、代わりの新しい何かが次々生まれるはずですが。

そう考えると、廉価な宅配が消えて高額なボールペン伝票に戻ったのは、デフレからインフレへの転換なのか。スタグフレーションと呼ぶ、物価が上がり景気は低い現象だとも指摘されます。値上げラッシュの次に何が起きるかは重大な関心事です。
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