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2018/06/29

ワールドカップ2018でポーランド戦を壊して切り抜けた苦心

ポーランドはどんな国かの今どきの説明で、ラジオ番組では歌手バーシアの曲を流しました。イギリスの音楽グループ、マット・ビアンコの初期メンバーで、ダニー・ホワイト作曲のブラジリアン・ユーロポップス。

そのポーランド代表との試合で、日本はやってくれました。試合を壊す奥の手です。あの時の日本代表は、イラク代表と最終予選を戦っていました。落選確定のイラクに日本が勝てば、1994年のアメリカ大会に参加できる。終盤に日本はイラクを勝ち越す一点を追加。

日本選手にまだ教えていないことがあったと、監督は後に告白しました。それは試合を壊す方法でした。攻撃すれば、反撃される確率も上がる。残り時間を放置すれば夢のアメリカ大会に行けるから、フィールド内を皆でぶらぶらしていればよかった。遅延行為ととられない範囲で。

ところが日本は攻撃を続けます。アディショナルタイムにそのボールをイラクに奪われ、相手のコーナーキックで点を入れられ引き分けに。アメリカ大会に落選します。ワールドカップの初デビューをかけて、最後の最後の何秒かで大転落。渋谷で応援していた男は涙ぼろぼろ、女はわあわあ号泣。この「ドーハの悲劇」を連想しました。

今回は、負け側がボール回しで試合を破壊。法外な入場料の客もいたはずで、日本代表へのブーイングがスタジアムに響く。現場にいた日本側は落選確定のポーランドが明らかに強いと身にしみ、同時にコロンビアがセネガルより強いと状況把握。博打に出てグループリーグ突破に成功。

入社試験の論文に出てきそうな、究極の選択に思えます。逆をやっていたら、道徳の教科書にのりそうなものですが。前監督への奇襲解任に賛同を得るための結果論が必要な国内事情もあり、攻める博打は選べなかったと想像できます。国の名誉を保つ難しさを感じる一幕でした。
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2018/06/26

ワールドカップ2018で日本は強豪セネガルに勝てていたのか

昨日の早朝のサッカー試合は2対2で引き分け、日本は3勝はなくなったものの、イエローカードの少なさでグループリーグを突破できる確率が100パーに近い。ところが今度は、ゴールキーパーへのバッシングが起きています。世界からも。

キャッチした場所がゴールの中だったとか、ボールをグーで前方へはじいたら、すぐ前にいた相手の足にはね返され、ゴールに入った場面。各国からコメディー扱いされていて。それさえなければ、日本はセネガルに勝てていたとのため息が出ています。

しかしサッカーの「たられば」の分岐予測は、他の競技よりも外れる確率が高いでしょう。勝てそうなら負けて、負けそうなら勝てる異様な不安定さが、ゲーム中にも作用するからです。

何ごともなくキャッチしていたら、双方の選手たちの心境が順当に推移し、前評判どおりだったかも知れません。「コメディー」が互いの目に入り、全員に心理的カオスが起きた計算も必要でしょう。事態が深刻だと感じた側が、攻める気持ちが高まるなど。

勝ち負けのパラドックスが法則どおり双方に起きたから、海外で言われた「ジェットコースターのような」あっちがゴール、こっちがゴール、あっちがゴール、こっちがゴールとなったのかも。思い出すのは、2011年の日本女子の決勝戦です。それが男子でも起きました。

70日前の監督の異常な交替で、カオスが選手の心理萎縮を解いて奮起につながったのかも知れません。3年指導した日本人監督が異常解任され、急きょセルビア人監督に差し替えても、似た展開が起きた疑いです。その根拠は、運動力と思考力は選手の内部にあるから。
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2018/06/19

ワールドカップ2018で日本がコロンビアに勝ったのは順当か意外か

今夜の日本のサッカー試合も、事前のフラグどおりの結果でした。すなわち、前評判が高いチームは振るわず、最低最悪と言われたチームが善戦する法則です。期待と結果がひっくり返る、いつものお約束というか。

勝てそうなら負けて、負けそうなら勝てる結果論が、サッカーには異常に多い。ロシア大会のここまでの試合は、その法則が次々と表れています。ドイツに勝ったメキシコ。そして日本も。むろん偶然を含めた乱高下で逆転できる程度には、底力がある前提ですが。

評判と結果が逆転しやすいのは、人間の脳内で安心と不安がパラドックス的に作用するせいでしょう。開き直りや居直りの集中力や馬鹿力。アベレージの差が消えるほど躍進したり、逆に空回りしたり。手を使わないサッカーでは、その凸凹が増幅され、事前予想をくつがえします。

しかし同時に、見守る周囲も安心と不安で動揺を増幅させ、絶賛や非難で激しく反応します。今回の日本の監督解任も、鴻鵠の志を知らぬ取り越し苦労が濃厚。三カ月前のウクライナ戦とは逆に、2006年と2014年の日本は最高の仕上がりと言われ、本番の結果は散々でした。

ある程度で済まないほど、あべこべ結果が多発するのがサッカーのワールドカップです。不思議だけれどわかる気もするとしても、他の競技ではそれほどの番狂わせは少ないようで。サッカーの特異性でしょう。

身近には、美術作品でも起きている気がします。よくあるのは、素晴らしいスケッチ画をキャンバス画に仕上げると、つまらない作品に終わる結末です。どうでもいいスケッチの方が着彩して伸びる、逆転の法則。しかしこれは似ているだけで、サッカーの法則とは関係なさそう。
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2018/06/14

サッカーの貴重な一点と、美術の貴重な一点

サッカーワールドカップ2018ロシア大会の、賭け予想に使うオッズがイギリスで発表されています。日本代表チームは勝てそうにないから倍率が高いのですが、アジア勢では最も勝利に近いと予想されています。おそらくジャパン・ミステリーというもの。

日本チームに期待される何かは、まずは幸運でしょう。サッカーで耳タコのことわざに、「強いチームが勝つのではなく、勝ったチームが強いのだ」があります。勝負は水ものだから、結果をみて初めて強弱を言えるという、ゲームの不安定さを言っています。

サッカーと逆の傾向はバスケットボールで、得点回数が多いし、地力と逆になるほどの誤差は出にくい。力量差の最新推移が、結果に相関しやすい。サッカーの方が番狂わせが目立つのは、得点回数が極端に少なく、また手元の狂いよりは足元の狂いの方が大きいからでしょう。

だから、仮にジダンにでも長く監督をまかせ、試合直前に高校教師に監督を取り替えても、「自分たちのサッカー」で勝てる可能性はあります。それだけに、チーム育成と本番の指揮を別人が担当すると、手柄があいまいになり喜びも悲しみも半減する道理で。

ところで、美術制作の勝ち負け。日本なら受賞を目指す公募コンテスト展、外国なら売却を目指すアートフェア。これらに作品を出しての勝負は、果たしてどの程度水もので、番狂わせが起きやすいのか。貴重な一点とは。

誤差どころか、ワザありの尺度がTPOで正反対なのが美術です。なぜこれが高く売れた?、なぜこっちが売れない?。スーパー水もの。それどころか零点のみじめな全敗が、百年後に値千金に輝くかも知れず。おもしろさを通り越して、わけわからん混沌がいつものことなのがアート。
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2018/06/12

アメリカのトランプ大統領とEU国の貿易対立

アメリカのトランプ大統領はG7で、自由貿易主義のEUに対し、保護貿易を主張しました。それは時代に逆行する暴挙だと、EU側のマスコミは大批判します。ただ、国の保護はそれほど罪なのか。神が許さぬ悪行か。自明の理で済ます者は、大丈夫かと思う時もあります。

市場完全自由化の正体は、誰を富ませ誰を退けるかの配分を設計した上で、キャッチフレーズ化した流行です。時間のスパンが長い流行で、芸術はデッサンなりと似た感じの、普遍性なき一時ルール。

文明国で行われている保護主義的な傾斜策のひとつに、クオータ制があります。多くの国で国会議員は地区に分割して選挙するから、能力が高い順とは違う。国会議員の三割は女性とする女性枠も、クオータ制です。ガチの完全能力主義を避けるのが、むしろ文明国の機微のようで。

国家間の経済ハンデもいたるところに現にあり、日本からドイツへ美術を送ると関税は19パーセントで、逆に日本へ送ると5パーセント。ドイツ経済は保護主義的です。

1990年代のアメリカ発グローバル経済は、アメリカの食料を勝たせるために自動車の首を差し出したと、日本には映りました。つまり国と国の争いではなく、どの職種が儲かるようにするかの闘争が、貿易問題の実体です。ドイツ対アメリカではなく、職種対職種の利益争奪戦。

トランプ大統領が複雑な人にみえるのは、「大事なのはわが国の利益」と正面切ったからで、「大事なのは永遠の正義」と構える人と意見が合いません。価値を固定的にとらえると間違う、美術の「良い作品」と似ています。受賞作品、売れる作品、歴史名作などが一致しないあれ。
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2018/06/07

美術公募展に自動車学校タイプと自動車試験場タイプがある

運転免許の実技試験。コースを走り不合格の時、「次回はがんばってね」とだけ言われたのでは困るのが普通です。今の運転のどこがまずかったのか、どこに改善が必要かを知らないと、次回の対策が立てられません。

当てずっぽうの自己採点だと、良い部分を改めたり、悪い部分を放置するなど不安です。だから教官はここが悪かったと指摘し、改善するコツを伝えるものです。できていた部分も告げ、そこは維持するように言うはず。

ただしそこまでやるのは、合格の世話までを仕事とした自動車学校に限られます。県の公安委員会が運営する自動車試験場だと、コツのレクチャーなどは行いません。合格か不合格かを判定し、証明書を発行するだけ。

これを美術の募集に当てはめると、公募コンテスト展はこの自動車試験場タイプでしょう。審査員が合否を判定し、合格なら先に進める。不合格ならすぐに帰らせ、「次回はがんばってね」と。

対してここの企画展などは、自動車学校タイプといえるでしょう。そもそもアートフェアなど市場への出品募集は、必ず会場に出す前提なので落選の概念がありません。募集側はジャッジでなくバイヤーになり、作者とグルで商戦に挑みます。当然、脱輪しないよう手を貸すことにもなり。

フェアだと現地客が審査員だから、購入の合格判定が出るよう作者とともに対策を立てます。コンテスト展とフェア展は、それほど違います。とにかく日本の大型美術展は、驚くほど公募コンテスト一辺倒です。お上が優秀作を決め、優劣を庶民に先に伝える順序が好きな国民。これは創造の面で考えると、ジャッジが狭い上に受動鑑賞になるのが欠点です。
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2018/06/03

サッカー日本代表のアンチ能力主義的な保守回帰

サッカーワールドカップ2018ロシア大会で、日本代表チームが国内ファンから祝福されずに出国しました。世界でも珍しい直前の権力側クーデターで、セルビア(旧ユーゴスラビア)人監督を電撃的排除。彼が予定する能力主義的な選手の登用を、連盟が阻止した反動といえます。

セルビア人監督はワールドカップ16位の監督実績で、世界の技術的潮流かつ日本選手が苦手な高速縦反撃を重視し、従来の広域パス回しを卒業させようとしました。この現代化で直面する一対一で負けない動きに対応できたのは、主に若いニューフェイスでした。新個性の萌芽。

そのニューフェイスたちは、過去に日本が勝っていないオーストラリアにも初勝利した手柄で、日本はアジア地区予選を一位通過し出場権獲得。が、新世代だから過去の実績がなく、強い支援者の縁故もない。美術にたとえれば、新進の前衛的な作品たちです。

テレビや新聞のCMは、名が知られる年長のビッグ3やビッグ4で制作済みとされ、ニューフェイスたちとポジションが競合します。そこで知名度の方を重視し、指名権を持つ監督もろとも片づけたのではと、もう雑誌にも書かれています。能力主義の野球やスケート、卓球のようにはいかず。

名のある先輩選手が、名のない後輩選手の手柄を召し上げ舞台に出る。しかもチームに新技を加えたのはセルビア人監督で、仮に準優勝すれば彼の功が大きいわけで、続けていたら優勝できた理屈。勝てても正義は対オーストラリア時の体制にあり、新監督は時間不足で役も小さい。

美術よりスポーツの方が、能力尺度が明瞭なのは確かなはず。しかし新しい才能が削られ、本番でよくみる新人成長劇も封じられ、4年前のブラジル態勢に戻したも同然。年輩選手の過去を高く買った再起用に、コアなファンほど「何だかなー」と気持ちの整理がつかない状態です。
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2018/06/01

価格破壊と文化破壊と経済の芸術性

少子化のせいで不況になったという、よくあるフェイクニュース。適齢期の団塊ジュニアは人口が多めなのに、結婚しないから子どもが減った。物を買う人が減ったから消費が伸びない。結婚しない特殊な哲学が日本を傾けたという、この若者犯人説を信じる人は今も多いみたいで。

むろんその説明は虚偽で、因果関係は正反対でした。1970年代の日本は人口爆発が心配され、角栄の列島改造論もその前提でした。人口減に話がひっくり返った一因は、90年代に始まる長期デフレです。消費が伸びないから貧困化し、結婚不適格で子どもが減ったのです。

デフレ経済は、節約と価格破壊で起きます。緊縮財政、経費節減、ストップ無駄づかいで不景気になる。好景気は逆で、財政出動、経費拡大、浪費と空費。意味もなくアートを買い込むと、好景気の時間となる。

90年代のテレビ番組は、物価が下がるほど国民は幸せになると唱えました。城南電機のあの社長とか。しかし下がった結果は、途上国化。さらに痛かったのは、価格低下で品質低下が起きたことです。ファッション衣料が3980円から1980円に下がっても、客が得しなかったのはなぜか。

同一商品ではなく、粗悪品と交替したから。布地の伸縮性が乏しく、洗濯すると固くなり、糸が切れやすく、穴があくのが早い商品と交替。70年代の古着といっしょに洗濯しても、先に破れる。値段半分、寿命四分の一。

品質低下が新幹線やエアバッグやテレビ番組にも及ぶとは、番組スタッフも想像できませんでした。美術館も経費節減で、収蔵品が傷みだしたという。出費が小さいほど国が富むのだと、国民は正反対に理解しているから不況が続きます。無駄づかいで裕福になるとは、確かに芸術的な破天荒ロジックだから、わかるだけでも壁は高い。
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