fc2ブログ
2018/08/28

日本と欧米でアートフェアが全然違う?|タレントで集客する事大主義

かつて著書でアートフェアを説明した時、日本のアートフェアも一応チェックしました。あれから時間がたったので、最近の様子も調べました。参加した人のブログの中には、「日本版アートフェアはもう全然だめ」「やめちまえ」の声がいくつもあります。むろん、やめずに改良を続けるべきでしょう。

ドイツでは全品が現代アートなのに対して、日本では古美術商や骨董市が加わります。日本国民が新美術への関心が低いから、古美術で補う必要があるという隠せない事情が、いきなり雰囲気をレトロにしています。音楽祭でいえば、常に昭和歌謡の支えを頼る感じか。

しかも公募コンテスト感覚までついて回ります。そのひとつが、目玉の有名アーティストに関心が集中する現象です。有名どころが来場するから見たい、大物に触れて感動したい、感動の輪を広げてきずなをつくり、みんなとつながりたい・・・

若い画家や彫刻家や造形作家に対しては「無名はみんなゴミだろ」の声が集まったりして。日本の現代アートが、人々の目にどう映っているかの象徴といえそうな。そもそも有名人が出品しない理由は、買う空気が乏しい懸念と、若い無名と並べば内容負けする懸念なのです。

日本の美術は特殊化しており、「現代アートは嫌いだけど、たまに見るのもよいから見学します」と、鼻をつまんで食べる感じ。そんな日本に対し、ドイツ国内のアートフェアは美術の一般化が下地であり、市民が楽しみ期待しているのです。この起点の差は果てしなく大きい。

ドイツ市民は買い物目的で来て、自分にとっての傑作を探します。美術界の評価を頼らず、片隅の埋もれた絵も掘り出して見ていく。だから出品者も内容づくりに力を入れます。彫刻に火をつけて話題をさらうなど、出し抜こうと焦る必要もないのがドイツ。
スポンサーサイト



関連記事
2018/08/25

サマータイム制にあこがれる年配者|人材の優劣評価にまで話が広がり

ロシアはサマータイムを2011年に廃止しましたが、EU国は今も続けています。サマータイムがなぜヨーロッパに多いかは緯度が高いからで、高緯度ほど夏の昼間が長いから、早朝から夜暗くなるまで働けば、労働時間がうまく収まるという農業国の知恵でした。

ドイツの首都ベルリン市も、日本の北海道の札幌市よりもっと北の稚内市より、さらに高緯度です。だから家庭にクーラーがいらず。自国ではあまり使わないドイツ車のクーラーは、オール日本製だったりしました。

イギリスも日本の真横あたりにあると思えて、ずいぶん北寄りです。日本の東北や北海道は南欧のスペインの緯度にあり、東京はヨーロッパではなくアフリカ大陸と重なります。低緯度の日本にサマータイムのメリットは原理上なく、せいぜい欧米並みを目指すあこがれ程度か。

近年の欧米では、夏時間は人体に有害で事故やショック死が増えると医者が指摘しています。特に夜型人間にダメージがあると推測できます。そういえば最近の研究では、人の体質は朝型と夜型に生まれつき分かれているそうです。

しかし体質への配慮は日本になく、朝が弱い夜型人間は非難されました。朝起きられないのはだらしがなくて勤勉でないとか、夜ふかしは深夜番組やゲーム依存症だとか、悪い評価がついたものです。ぐうたらをバンカラにみせにくい女児には、しんどい時代が長かったかも。

サマータイム導入の電子システム変更で収益悪化するから、財界は抵抗しています。しかし実質賃金が下がるので、少し前は賛成でした。今も望んでいるのは一人の元議員のみで、周囲はその恩に忖度しつつも本気では検討せず、時間切れでポシャらせる芝居にみえます。
関連記事
2018/08/20

迷惑メールの誤認識で大事な連絡が消える|スパム認定は間違いだらけ

大事な受信メールがスパムメールや迷惑メールのボックスに隔離されていて、存在にも気づかなかった体験は誰でもあるでしょう。そのメール設定はすぐに見直した方がよいでしょう。

まず迷惑メールかどうかは、自動判別での的中は不可能です。スパム側に対抗して強化すると、誤認逮捕や冤罪が増える理屈です。ある単語が含まれたりマークが並ぶと迷惑認定するなど、メールソフトのプログラム設計にすぐに限界が来ます。当たり外れの確率が存在します。

だから逆に、スパム内容なのに安全メールボックスに届いている体験もよくあります。迷惑メールの自動判別はあくまでもビギナー向けで、ベテランは瞬時に目視判別できてしまうから、自動を普通は切ります。

また自動判別をオンにする時も、別フォルダーに隔離しないのがコツです。危険物はマーキングすれば十分で、見る前に排除して見えなくするのは、ビジネスユースでは取り返しがつかず忌避されるもの。

最近出回る迷惑メールは有名企業のなりすましが多く、リンクか添付に仕掛けがあります。一方、表示しただけでマルウェアに感染するHTMLメールなどは、メールサーバー側で事前除去していることも多いのです。スパムメールは、かつてほど大量には来なくなっています。

迷惑メール判別機能は一種の人工知能ですが、百発百中で当たるように作れそうな気はしても完成は遠いようです。初心者が目で見分けるよりも、外れの多い判別能力にとどまっています。 メールとPCのトラブル解決
関連記事
2018/08/17

リーディング・ミュージアム構想の対案を考える|美術市場が狭すぎる

日本のアーティストが海外で活躍している話題は、わかりやすい国力指標です。ただ、海外で伸びている美術家も、日本の市場に戻るとそう多くは売れません。美術に、ホームの洗礼があります。アウェーの洗礼ではなくて。

5月に政府が提案した『先進美術館(リーディング・ミュージアム)構想』が、タイムリーな話題になりました。小さすぎる日本の美術市場を問題視して、マーケット拡大のために美術館を大きく変える計画案でした。

その構想に大反対したのは美術館側です。が、美術館に国民が味方するかは不確定です。前年に「文化学芸員を一掃すべき」という発言が、地方創生担当大臣からありました。観光マインドの語はあったものの、学芸員の何が悪いかは勘違いだったような。

特に公立美術館には文化遺物を保全する大役があり、前線で美術市場をリードする役目ではないでしょう。ならば市場拡大は誰がやるかの問題です。ここでは美術館の出番も用意し、政府と違う別案を考えました。

この件はクラウド・ファンディングで触れたように、若い美術家が欧米へ移り住まずに日本にいるなら、常につきまとうホーム問題です。

ドイツ展示企画の陰に常にあった課題は、日本国内市場の相変わらずの狭さです。国内に買い気がない。日本に経済基盤を置けないアーティスト全般の深刻さが、作品を売る場がある欧米とは対照的なのです。
→ アートの本格解説4(スマホ版)
関連記事
2018/08/13

パソコンのメモリーが壊れることはあるかの記憶|高周波数波形と相性

数カ月前に組み直した新PCが、突然起動しなくなりました。マザーボードに通電しながらBIOSは起動しないから、電源ユニットは原因から外れ、BIOS不良かメモリー不良に決まります。CPU不良は考える必要がなく。

そこで2枚のメモリーを外し、エチルアルコールで金メッキを清掃しました。しかし起動せず。次に、マザーボードのピンを差し替えてCMOSクリアすると、正常起動しました。しかし翌日まただめ。そこでメモリーを1個外すと、正常起動しました。ほらまたねという感じ。メモリーが犯人です。

ここからがおもしろいのです。メモリーソケットは1~4まであります。メモリーが1枚ならソケット1か2に差し、2枚なら1と2ともに差し、4枚なら4ソケットに差すタイプのマザーボードです。そしてメモリーは2枚持っていて、1枚だけを使う差し方は4通りあります。

4通りとも試した結果、メモリーAはソケット1と2のどちらに差しても起動し、メモリーBはソケット1と2のどちらでも起動しません。つまり登場する6部品のうち、メモリーBが故障していると特定できました。

しかし大手BTOノートパソコンでの経験則では、あり得ない登用にも可能性はあるのです。そこで、メモリーAをソケット1に、メモリーBをソケット2に差しました。これは単に、二日前に起動しなくなった配置に戻しただけ。

結果は正常起動しました。ほらまたねという感じ。論理も何もなく理屈で解決せず。何か人材登用のヒントになりそうな不合理のおもしろさで、道徳の教材にありそうな。なぜこうなるかは、高周波のノコギリ波形がアバウトに崩れた程度がマージンを越える偶発現象です。デジタルなのにアナログ的な随時不調が起きます。
関連記事
2018/08/06

東京医科大学の受験点数操作のイカサマ|隠された深刻な性差も多様に

私立東京医科大の受験で、女子と男子浪人の試験点数を減らして不合格にしていたニュースが、世界に発信されました。当初は女性差別だとして、マスコミでも騒ぎになりました。差別に抗議するデモも起きて。

大学病院と系列大手医院で、女性医師だと当直に穴があきやすい問題が指摘されました。だから男子学生を増やしたという。これは弁解のやり損ねで、当直のローテーションを工夫せよとか、長時間労働をなくせ、育児負担を女性に押しつけるなと、受けのよい批判へ世論が向かいました。

問題は科目です。女子の合格が増えすぎると、切断した腕をつないだり、心臓の穴をふさいだり、肺や頭部を切開する外科医が減りすぎるのです。代わりに皮膚科、眼科、麻酔科、産科、小児科が増える現実があるという。ローテーションや育児休暇どころでない、人命救出の悩みでした。

だから、男女の定員枠を決める手が正解でした。すると女子は競争倍率が上がり、最低偏差値が上がり、受験生は減ります。女子からの受験料収入は落ちる。そこをイカサマして、受験料を奪う詐欺事件だったのです。

ただし金欲しさにみえても、差別議論の回避で始めたイカサマだったのかも知れません。たとえばビルの便所掃除は、女子便所もあるから女性しか採りません。異性のトイレへ入るのは、女性のみ許される。しかし男女差別する管理会社にみられたくないから、男性も応募させて奇問試験や面接で落とす策略がありました。これの大学版かも。

患者をメスやノコギリで切り込む難しい手術は、女子医学生の進路希望が少ない。この性差を、医学部が国民に打ち明けられない理由が焦点です。国民は医学部に対し、「どうか定員枠を設けてください」と命ごいする必要があります。その陳情場面なら、生々しいルネッサンス絵画にありそうだと想像してしまいました。
関連記事
2018/08/01

写真のハイキーとローキーの意味が前と違っている|ネットはウソの山

アート・マネージメント・システムの中で、写真のハイキーとローキーの話題がまた出たので、ネットの説明を紹介しようと探して驚きました。かつてのプロ写真家たちが行った説明とは、全く違うネット説明だらけです。

かつてのハイキー写真の定義はこう。「階調の明暗がそろった上で、明色が主体の写真」。ローキーは、「階調の明暗がそろった上で、暗色が主体の写真」。ハイキーは明るい写真に、ローキーは暗い写真に見えます。

重要なのは、ハイキーもローキーも明色から暗色まであること。前者の例は「白いカーテンの前で黒いバッグを持つ人」です。後者は「夕暮れの空を切り裂く雷の閃光」。それぞれ写真が浮かびますが、明るいハイキーには暗いシャドーがあり、暗いローキーには明るいハイライトがあるのがミソ。

ところがネット説明はほぼ全てが、ハイキーとは露出オーバーで、ローキーとは露出アンダーです。カメラ設定やソフト調整で、明るく飛ばしぎみにいじればハイキー、暗くいじればローキーだとの説明に今はなっています。絞りをあけたり、シャッター速度を遅くして、適正露出から外れたまぶしい感じに写せば、それがハイキーなのだと。

これはかつて、間違いやすい典型と警告された解釈そのものです。往年の誤解が今は大手をふるってびっくり。そもそも露光量の加減なら、「明るい」「暗い」や、「露出オーバーぎみ」「アンダーぎみ」の言葉があります。その話とは違う別の作画技法を説明するために、「ハイキー」なる別語をあえて用意していたわけです。

この解釈違いは、一人がネットに「あの芸人は殺人者」と書くと、何万人が引用して広がり続ける現象かも知れません。そして、かつてのハイキーに相当する語が今はないからボキャ貧が生じ、話が単純化されて大ざっぱ。写真芸術を語るプロも、不況で絶滅したせいかと思えてきました。
関連記事