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2019/08/30

facebookの世界統一通貨Libraと日本円の使用料|ある勘違い

日本の自国通貨である円を使う人は、基本料や手数料を払っていません。もし有料だと儲けるメカニズムが生じ、独占権を盾に途中で使用料がつり上がるでしょう。主催者がユーザーの足元をみる豹変が途中で起き、規律が壊れていきます。目的が変転している消費税みたいに。

その円も、外国へ送るには手間とコストが多大にかかります。子どもが留学して親が仕送りする時、身元を詳細に明かし、まとまった送金手数料と為替手数料を払います。何年か前までは、外国へ30万円届けるには31万円前後送りました。

仮想通貨なら30万円ぽっきり送れば全額届きますが、善良な送金の陰で反社会的な送金にもサービスが開かれます。テロ報酬や資金洗浄など、闇資金と闇金融の規模は大きい。今それをやるなら、銀行の特別契約とカジノ送金網あたりか。

通貨を発行する私人が急増したのは、親役の特権で巨万の富が手に入るからです。だから各国の現状は、非営利特殊法人(NPO相当)たる政府に自国通貨発行の権限を与え(EU各国は除く)、お金の使用料による庶民搾取も阻止しています。

「日本の借金は1000兆円、国民一人800万円で子孫は借金づけ」の真っ赤な嘘に、日本人は30年もだまされました。貨幣プリンターを政府だけが持つ仕組みを、国民が知らなかったからです。「借金が増えたら破産するのは家庭も同じ」は勘違い。「政府借金が増えるほど国民所得が上がる」と今ごろ知っても、貧困化した後。

自国通貨の論理で、世界統一通貨へのあこがれは消えます。お金は売買ツール以前に、国内の水や食料や物資を国民に行き渡らせる統治ツールだから。ところがこの貨幣機能は世界中で勘違いされ、まるで芸術機能とそっくりです。昔の人の巧妙な知恵を今の人が理解できず、解釈が浅くなるのも共通点か。
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2019/08/25

facebookの仮想通貨Libraは使えるか|財政出動できねえ

facebookの登録数は27億人だそうで、ユーザー向け仮想通貨Libraを発行すれば、世界最大シェアの貨幣です。そこでドル、ユーロ、ポンド、人民元、円などを廃止に追い込み、世界統一通貨のグローバル化を夢みる声も出てきました。

ただ世界で100人中およそ100人が誤解しているのが、現代貨幣の機能です。Libra側が例外的に理解しているかは不明です。貨幣は各国の中央政府が発行権を持ち、自国民を富ませて飢えさせてを、財政で自在にさじ加減でき、偶発の自然現象ではありません。景気は人為的だとの事実も誤解されやすい。

誤解した例で、積極財政を放棄して人類最長のデフレ不況で中産階層を貧困化させた日本でさえ、異次元金融緩和なる「財政出動なき国債発行」で、日銀当座預金に一般銀行の融資準備金を積み上げました。リフレ政策と称する勘違いですが、方法が間違いでも内需を上げようと動いたのは確かです。

もし世界通貨で一本化すると、これもできません。納税義務とセットの自国通貨がない国は倒れます。特定民族を滅ぼす立場に立つ業者が新たに出現します。今その立場にあるのは英米の老舗銀行による、ディープステートと陰で呼ばれる国際金融コンツェルンとされ、それも崩れるかも。

Libraが各国通貨を駆逐すれば、国民生命をコントロールする国家財政テクニックが消えます。つまり世界統一通貨は宇宙人からみて、地球人の人口調節法になる理屈です。穀物メジャーと石油メジャーが質に取られるはず。

国境を越えた統一通貨といえばユーロで、EU本部の財政出動が一応は存在しても、加盟国ギリシャは財政破綻しました。自国通貨ドラクマを捨てたヒラのプレイヤーとなり、ドイツに借りたユーロを期限までに返せなかった。日本が原理的に絶対に破綻できないのは、自国で刷った円を自ら借りる模範的な内需国だから。
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2019/08/23

愛知「表現の不自由展」で消えていた話|闇鍋に入れる材料の制限

テレビ漫画『巨人の星』に、闇鍋(やみなべ)パーティーのシーンがありました。捕手の伴宙太が高校時代に開催した宴です。伴は主人公で投手の星飛雄馬の隠し事をしゃべらせようと、暗い部屋なら打ち明けるかも知れないと、一計を案じたのでした。

箸でつかんだ物を一度は口にするルールで、履き物が入っていてギョッとなる場面もあったはず。しかしあの闇鍋、客の野球部員にガラクタを持ってくる指示に現実感がなく、非常に奇妙な場面でした。食品でない物を入れる必然がないし。

本来なら魚や肉や野菜に、穀物類というのが適切でしょう。入っている物を知らせ合わず、暗い部屋で皆がつついて、食べてサプライズが起きる楽しい宴なはず。もし食品でない物を入れてよい前提なら、いったいどうなるかということ。

草履や靴にとどまらず、石や金属類、ボタン電池やサボテンや、汚物、毒物、劇物を入れて、大変な結果になります。起きた結果の大きさを、わーすごいヤッターと喜ぶという。実はこれとよく似たことを実際にやり、ウケているのが現代アートの世界です。

『表現の不自由展』の議論で空転したのは、作品を区別する言葉でした。許せるか許せないかを分ける言い方でコケる。闇鍋にトンデモな物を入れて、皆を驚かせて騒ぎをつくる。それがスイカの実やわらび餅なのか、それとも手榴弾やダイオキシンなのか。国民は言葉をこらしても、二つの関係をうまく区切れずにいます。

わらび餅か手榴弾かは自由の大小ではありません。なのに、行き過ぎた自由はだめという線引きに話が流れ、程度の問題で落としがちです。これは、欧州展示で宗教やヒトラーでの話題づくりを禁じる我々にも切実です。この疑問について、出版以外に何度も何度も論説を書いてきました。
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2019/08/18

作りたい作品、売れる作品、創造的な作品|商売と芸術のジレンマ

アート・マネージメント・システムのオプションは一方通行のレクチャーでなく、制作ノウハウや芸術論も含んだ相談会です。こちらが教えられることも多く。時々出る話題は、作者のやりたいことと、売れることと、芸術性の三つの関係です。

「売れるためには、自分のやりたいことを曲げて、不正直な作品にならないか」という命題です。そこにもうひとつ加わるパラメーターが芸術性で、自然体の作品と売れる工夫を加えた作品は、どちらがより芸術的かという疑問です。

この命題が出る最大の原因は、ここが日本だという点です。「なんじゃそりゃ」となりそうですが、日本では公募審査コンテストが大半を占め、アートフェアがごくまれという特異性が大きいのです。欧米の美術展は全くの反対です。

欧米の美術展は、作品売買マーケットです。展覧会場は日本でなら全国物産展みたいなもので、お客の目的は見学ではなく、何かを買って帰るつもり。現地の美術家は売る前提でやりたいことができており、制作の方向性を曲げさせられる圧は欧米では小さいでしょう。

商売と芸術のジレンマという筋書きは日本的です。アートフェア文化圏では、見る目がマーケットで育成され、芸術的な方がひとまず売れる傾向です。日本で全国物産展がよく開催され、よく買いに行くお客ほど目が肥えているのと似て。その点で見物するだけだと、見る目はできないと考えられます。

「真の創造はリアルタイムには評価されない」という本質論は残ります。それでもお客の数だけ審査基準があるアートフェア方式だと、入口での失格はないわけで。民主化や一般化を済ませた欧州国に作品を出す時は、日本国内で無意識に行ってきた手加減を解除するのが近道です。
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2019/08/15

銀行の信用創造とは何か|芸術の創造と同じほど理解されない

お金の成り立ちというものが、芸術よりは数段も難解で高度だという事実を知り、人間の精神活動の不思議な深さを感じています。平成日本の経済が墜落した失敗を指して、「僕らは同じ轍を踏まない」とはっきり言ったのは中国政府でした。

そこをはっきり言わず、こっそり誓い合っているむっつりの例がアメリカ政府で、共和党と民主党とも「日本の失敗に学べ」で一致しているという。日本の失敗は、デフレ時にインフレ叩きを行った数点の政策ミスを指すらしい。消費税と政府赤字削減と緊縮財政と基礎的財政収支均衡です。凍傷なのにアイスノンを使った。

お金と国家の話題で最大のキモは、信用創造という概念です。みんなが使うお金は全て信用創造で生まれます。美術展参加者の中に銀行出身の方もいて、ネット情報では日本の銀行員の半数が、日常業務である信用創造の意味を正しく理解しているという。残り半数は誤解しているそうです。

信用創造の真の意味はこうです。銀行が会社社長に融資する時に、万年筆マネーを貸し出すのです。窓口で貨幣を新造しており、完ぺきな「打ち出のこづち」です。銀行側が持つ預金残高から回しているのではない。つまり誤解する人はそこです。他人の預金を流用していると思って、又貸し業務だと勘違いしています。

これは信用創造の英語「マネー・クリエイション」ならわかりやすく、貸しているのに「マネー・レンタル」とは呼ばない。レンタルなど行っていないから。国会に招へいされる経済評論家や、ノーベル経済学賞の人まで信用創造の真意を誤解しているのは、芸術の創造への激しい誤解に匹敵すると感じます。

日本での絵画盗作シーンで、他人の画集から選んで似せたり、外国作家の絵を撮影した模写で連続受賞していた例がありました。ネタを使い回す方がイメージがわくわけか。確かに絵画への信頼は、どこかで見た二番煎じがかえって上だし。創造は常に人類の理解の外です。
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2019/08/11

事故物件を恐れる心理と死者の敵視と冒とく|東日本大震災だけは例外

毎年お盆が近づくと決まって出てくるニュースに、幽霊の話題があります。今年の記事のひとつに、事故物件公示サイトという情報会社がありました。自殺や殺人や変死が起きた家や土地を明記して、国民に知らせるネットサイトだという。

サイトを見ると場所を日本地図で示してあり、駐車場での自殺や飛び降りと記されています。そのアパートやマンションなどを、世間に広く知らせる便利サイトだという。この話題の裏には、日本の貧困化で自殺と孤独死が増えた事情もあります。今さら好景気にする正解がとれない、政界のメンツ問題が言われるほどで。

若者に限らず中高年の自殺も急増したのは1997年頃からで、世界的に韓国と並んで目立って高い若者の自殺率がひときわ上がったのは、失われた何年と言われた平成デフレ不況です。しかし事故物件を告知する前提に、根本的な疑問もあります。

亡き人の霊が悪役である大前提です。化けて現世の人に危害を加えたり、あの世へと連れていく解釈に沿っています。不幸を避けたければ、事故物件に住むなという警告以外の何ものでもない。死者が連続殺人鬼と化して、生きている善人を攻撃すると決めてかかっています。人の霊をテロリストと認定している。

不遇な者の霊が、生きている者を保護したり、危険を教える役になる前提がありません。たとえば水路に落ちかかった子を、そこで事故死した人の霊が道路側へ押し返してもよいはず。しかし逆に、水路へ引き込もうとする極悪な犯罪者の位置づけに、霊が想定されています。

霊を敵視し冒とくする共通心理は何か。死への恐怖は当然として、日頃他人へ抱く敵意の投影や、死者を究極の障がい者とみたてた差別的感情もありそうな。ところが、あの東日本大震災の幽霊研究だけは、被害者の霊を悪役扱いしませんでした。ふるさとを思う守り神へと、初めて解釈を変えていたのです。
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2019/08/08

平成の自己責任論で傾いた日本を回復させる|一人では勝てない本質論

スポーツ大会で優勝して金メダルの選手が、開口一番に何を言うか。日本の選手に顕著なのはこれ。「皆さんのおかげです」。自分の手柄で優勝したのではないと、第一声で訴えようとするのです。実は世界的にその傾向があります。

これは謙虚というより、現実をみているからでしょう。一般に強豪選手ほど現実の把握が適切であり、自身が競技を始めた頃は下位だったものの、協力者、支持者、支援者に押し上げられたのだと。ここ一番の大勝負でさえ時の運が決することに、年月を費やすうちに気づいているわけです。

勝った裏にたくさんの他者の力があったと観衆が気づかないまま、自分だけが尊敬されても心苦しいという。わかっている範囲以上の見えないチームが自分を支え、守られここまで来られたドキュメントをルポしているかたちです。

二位に終わった選手を敗者と思わないで欲しい、たまたまの神のさい配だとして、瞬間的な実感を伝えています。この世界の真実を皆に感じて欲しいと、何でも言える立場になってこその真剣な訴えでしょう。一人だけでは勝てなかったのだと。

日本の好景気のピークは1992年で、95年には斜陽が顕在化し、97年から本格的なデフレ不況となり今も続きます。金余りニッポンが貧困ニッポンに転じると、並行して大流行した言葉があります。勝ち組負け組と自己責任。強い勝者は残り、弱い敗者は消えるべき淘汰の論理と、優生思想です。

「貧困者は単に努力が足りないだけ」「儲かる仕事につけない馬鹿は死ねばよい」がネットに広範に書かれました。真に受けた大量殺人の連鎖もスタート。平成時代の半分は内紛テロ時代で、令和時代にも継続する方向。すると他国から「もうそのへんで自滅を中止しろ」の声が出てきたのです。
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2019/08/05

ジャパン・フェスティバル・ベルリン2019絵はがき|図版ベスト3

ずいぶん遅れましたが、2019年1月の売れ行き結果です。いつもの定番に混じり、新作の日本少女とサムライシリーズが入りました。モノクロに近い絵が上位に来たのも初かも。次点につけた中には抽象的な図柄もありました。

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2019/08/03

カメラ価格上昇はインフレでなくデフレが原因|経済学はウソが大好き

消費税は買い物にかかる税なので、買い物を食い止めるのが主目的です。この議論は1988年の日本では起きませんでした。当時、税金は国の運転資金だと、誤解一色だったから。今は誤解を続ける者と、やめた者に分かれています。

誤解をやめるには、国税は財源でなく物価安定機能と知れば早い。ただ各国で貨幣を際限なくプリントしないのは、需要増でも供給できない国だとインフレ、つまり物価高騰と貨幣価値下落が起きるからで、分岐点は工業技術の高低です。不器用で増産技術が低い途上国は、インフレになりやすい。

1989年4月の消費税導入当時を振り返ります。電器や光学品や高級車が軒並み価格下落し、急に売れ出しました。オートフォーカスのフィルム式一眼レフカメラは、交換レンズが品薄で製造待ちが何カ月も続きました。たとえばNikon社の300ミリF2.8、通称サンニッパはどうなったか。

従来価格50万円が、物品税廃止と消費税新設で456000円に下がりました。店頭から消えて、注文してもなかなか入ってきません。4年後の1992年秋まで同じ値段でした。金余り現象で商品不足だった当時、物価が高騰する超インフレは、なぜ起きなかったか。今の経済学者の警告と合いません。

理由は、メーカーが難なく量産できたから。先進国日本の生産能力は高く、生産と購入が両方伸びて経済成長した。日本は金満景気でも、インフレが非常に起きにくい証明です。しかしデフレ不況と消費税でひどく高騰し、2018年にそのレンズは81万円となりました。主流派経済学の教義と正反対の現象です。

財界が恐れるインフレは迷信で、デフレで物価は無駄に上がりスタグフレーションしています。身近な証拠は、お菓子のグラム数が減ったり、チクワが短くなったりテーブルロールの直径が小さくなった実質的値上げ。22年もデフレスパイラルだから、政府が積極財政に転じる以外に手は残されていません。
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