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2020/06/29

ミネアポリス暴動はロサンゼルスの再来|アメリカの新自由主義と格差

アメリカ・カリフォルニア州のロサンゼルス暴動は、もう28年も前の1992年に起きた人種衝突でした。発端は粗暴なアフリカ系市民を無力化した後の、警官による過剰暴力でした。暴徒の都市破壊が韓国系商店に及び、全米が動乱のようになりました。

コロナ騒動の最中に、アフリカ系市民の首を押さえて死なせた事件はミネアポリス暴動。ジョージア州アトランタの事件もあります。近年は新自由主義経済の断末魔が人種問題にずれたみたいな。小さな政府、緊縮財政、格差拡大、自己責任など、国民を低所得化して連帯を壊す方向です。

遅れて新自由主義に傾斜した日本でわかるように、格差の拡大と固定によって社会に柔軟性がなくなります。その典型が東京大学入学の世襲的傾向です。年収950万円以上の上級国民が高い割合で合格し、低所得の家庭は通用しないらしく。

入試で小論文や面接の採用が流行し、生徒の多角的評価にはなっています。ただし裏口入学の表口化というか、お金ならあるという生徒から授業料収入を得る目的に広がってきました。これは国税への誤解で、大学補助金を無意味にカットした財政ミスが発端の新自由主義でした。

緊縮財政の補助金カットが、国民の分断と差別の助長となる当然の成り行きです。民営化の先輩アメリカでは、アフリカ系は低所得、低学歴、医療を受けられないなど、ハンデが固定しています。是正は部分的なので共食いとなり、白人ワーカーが今度は低所得化して悲惨らしく。

延々と続く警官対アフリカ系の事件は警察の体質ではなく、経済格差の問題です。人種が多様化した上での格差拡大は無茶で、貧困問題を残して差別だけなくすのは不可能でしょう。アメリカが解決する近道は、昭和の日本を真似た3億総中流か、あるいは皆保険制度とベーシックインカムで極貧を消すか。
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2020/06/23

キラコン2020TOKYO画材ショー入選作品[参加者ニュース]

キラコン 2020TOKYO画材ショー入選作品
・作家名 : ぴぃす堂 Miho
・作品名 : 宝石カエル
会期:6/22(月)-7/5(日) 11:00-18:30 ※最終日16:00まで
会場:文房堂Gallery Cafe
http://www.bumpodo.co.jp/cafe
東京都千代田区神田神保町1-21-1
文房堂神田本店3F
→詳細
「新型コロナウイルスの影響により何度か延期しましたが、主催者様のおかげで展示の機会を与えていただきました」。
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2020/06/17

『別れの朝』高橋真梨子が再現した前野曜子|ジャニス・ジョプリン日本版

コンガ奏者がリーダーのペドロ&カプリシャスは、今六代目のヴォーカリストだそうで『別れの朝』『ジョニィへの伝言』『五番街のマリーへ』の70年代三大ヒットが知られます。後の二曲は高橋まり(現真梨子)が歌ったので、一曲目もそうかと思われがちですが別人です。

『別れの朝』はドイツ語版が知られたウド・ユルゲンス作曲の世界的ヒット曲で、カスタネットが特徴的。歌詞は「あなたに伝えたいことがある、でも言葉がみつからない、ピアノなら伝えられる」というラブソング。日本版カバーは、なかにし礼が歌詞を全く変えました。

「別れの朝、二人は、冷めた紅茶、飲み干し」「ちぎれるほど、手を振る、あなたの目を、見ていた」と、ピアノと関係ない失恋ソングでした。ピンク・フロイドの『吹けよ風、呼べよ嵐』の5日前のリリースで、当時オリコン一位で放送は耳タコなほど。歌は前野曜子。

『別れの朝』は前野没8年後に、独立していた高橋真梨子がやっと歌い、二人の歌がよく比較されます。歌を歌う高橋真梨子に対して、思いを歌う前野曜子が迫真的で自然体で、後の本人にさえ再現できなかった傑作に仕上がっています。今も前野ファンの熱心なフォーラムがあります。

高橋の歌を、前野の歌と信じる人が多いバージョンが動画サイトにあります。バックの演奏が一致するので、1971年にマルチトラック録音したカラオケに、高橋が前野をエミュレートして歌った企画盤でしょう。二つは非常によく似て、前野は声がより素でヴィブラートが浅い技巧の少なさで判別できます。

前野曜子は昭和最後の1988年まで生きて、3年後に訃報が出た孤独な生涯でした。ペドロ&カプリシャスの契約中に脱退し、出世から外れた奔放行動も遠因かも知れません。ジャニス・ジョプリンに近い最後で、しかも『ムーヴ・オーバー』の名演がありました。売り方を計画するプロデューサーが必要だったのでしょう。
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2020/06/12

新型コロナパニックで人の本性をみたという記事|消費税増税の影響下

今日のネット記事で驚いたのは、新型コロナの特別定額給付金10万円が、全国で38パーセントが給付済みという進行の遅さです(直後のラジオ報道では35.9パー)。一カ月の生活費としても微妙な低額だから、元気づけと精神変調やパニックをおさえる機能なのに、イマイチ果たせず。

別の記事は、コロナ自粛で身近な人の性善と性悪をみせつけられた話題です。誰が神で、誰が悪魔なのかが露骨にわかったという。それがコロナ前の人柄やイメージと一致せず、他人の隠されていた内面を知るや、喜びと幻滅に動転したという意見が多数集まっています。

そしてやはり目立つのが、「日本人はこんなに性格が悪かったのか」という新発見と、落胆した深さです。ギスギスしてがめつく、自己中で排他的で、意地悪で差別的で、人間不信に陥ったような意見が多い。これを機に、絶交、離婚、転職に動いている報告も寄せられています。

しかし少しだけ、日本人擁護を加えたい気にもなります。バブル時代には日本人の人柄はもっとよかったのです。今のこの傾向はマイナーでした。1995年の阪神淡路地震の当事者は、そうギスギスしていませんでした。自己責任なんていう、他人をとっちめたり切り捨てる流行もなかったのです。

するとインターネットの普及が国民の性格を悪くしたと早合点しやすいのですが、日本を決定的に暗くしたのが1997年の消費税増税でした。国税はそもそも財源ではないし、消費税は格差拡大の副作用を除けば、主目的は消費をやめさせ、経済縮小させてデフレ化する政策です。生活レベルを下げて、貨幣価値を守る原理です。

法人税減税の穴埋めと、輸出企業への還付金が動機の消費税を「高齢化時代の福祉の財源」と偽ったせいで、国民は高齢者や障がい者や子育てママを敵視し始めて、23年前に日本人の分断は約束されたのです。分断ぶりは2000年頃の2ちゃんねるにも記録され、今もアーカイブされています。
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2020/06/09

月と木星と土星が集合した夜|惑星グランドクロスと日本財政破綻論

2020年6月8日から9日にかけた夜、梅雨入り前の日本で天体ショーがありました。月のすぐそばの11時の位置に木星、10時の位置に土星が並ぶ惑星配列です。もしも木星が月の向こうに隠されてしまえば、月による木星食ということになりますが、そこまでぴったりは重ならず。

このように太陽系の惑星が同じ方角に集まると、地球で不吉なことが起きるというデマが大流行した時がありました。20世紀後半の中盤頃に、ベストセラーとなったフィクション『ノストラダムスの大予言』を元に、惑星直列と惑星グランドクロスが世界の終わりのしるしだとされました。

大型の惑星が集まると、一方向に引力が集中して地球の物理に作用を及ぼす筋書きでした。また人間の脳に異常を起こさせて狂わせるという恐怖説でした。この本が偽書扱いされた理由は、数字の大小や程度問題を考えない言葉勝負のオカルト流儀もありました。エンタメ本でした。

地球に多大な作用を及ぼし、人間の脳に影響を与えるのは太陽であり、その巨大さにくらべて、惑星の影響は小さすぎて話がアンバランスです。これは宇宙の規模を誤解している人への引っかけでした。惑星の配列を示す立体模型も一因です。

方角が近いだけであり、地球から月までの平均距離を1メートルとすれば、木星は2000メートル、土星は3700メートル離れています。月は別格としても、木星の明るさが際立つのと、土星が意外に暗いのは、反射率以上に距離が関係します。ところで今、このように数字を出さないデマが経済学でも広まっています。

コロナ給付金を増税で巻き上げないと、ハイパーインフレで日本は終わるという、経済グランドクロス説です。経済ブログへ検索アクセスがあり、不安だけのノストラダムスとは違い、財政破綻論は倒産企業の見殺しなどの実害があります。人心が変調をきたすのは、万有引力よりもデマの本が原因とわかります。
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2020/06/04

ドイツは消費税減税すると発表|日本に可能な0にはできないEUルール

ドイツは7月から12月まで、消費税減税します。長年の19を16パーセント(EUルールは15以上)に、食品などの軽減税率は7を5パーに下げます。当活動はドイツの景気に左右されるので、近年GDPの伸び率鈍化が気になっていました。

日本は23年もGDPが伸びずに止まり、ワースト2位のドイツに引き離されていました。その引き離され方が鈍っていたのです。絵が売れる単価が下がってきて、現地の人・物・金が不景気に巻き込まれている問題です。

消費税はむろん財源でなく、景気の調節弁です。本来は緊急インフレ抑制とデフレ抑制、つまり貨幣価値安定の手動式スタビライザーです。その道理でドイツ政界の意向に従い、メルケル首相は付加価値税の減税を発表しました。当然ユーロを追加発行し、ダブルで好景気化します。

EUは新自由主義経済とグローバリズムで設計され、景気後退局面でデフレスパイラルから出られない宿命です。そこで昨年、ECB総裁はMMTも参考にすると公言し、その時点では現代通貨の認識改善に出遅れ、主流派経済学説だとわかるわけです。

総裁がMMTの本を書ける程度に現代の貨幣メカニズムを理解すれば、EUが景気を上げるのは難問ではなく、コロナ後の紛争も防げるはずです。コロナで新自由主義とグローバルの曲がり角が来たと、世界に共通認識があるでしょう。例によって、イギリスとアメリカが先行して次へ進む過渡期です。

国債発行で自由に景気を変えられる日本とは違い、ドイツはユーロ発行が受動的です。欧州委員会がユーロ補助金を増やすにも、理念や思想や貧困化ビジネスの利害もあります。ただし日本のように、輸出業者が還付金欲しさに増税を望む歪みは、最終ユーザーのみ払う付加価値税なので起きません。
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