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2020/09/27

建前と本音は日本人の欠点にあらず|ドローンと先進美術館構想

内外の比較文化論によくみる日本人の欠点が、「建前と本音を使い分ける」です。悪いことのように言われてきましたが、考えてみると社会性やら世渡りに苦心するヒトの宿命として、人類全てに必須のやりくりといえます。

日本に限らないし欠点でもないから、再考が必要でしょう。むしろ逆に、日本人はダブルスタンダードを除去して公正を演じようとして、損することが多いのかも知れません。最近の日本政府の発表は、中国製のドローンを公的機関が使わない方針というもの。是正です。

世界をひとつにするグローバリズムを、日本は本音の部分で信奉しました。しかし諸外国は国益のための建前でした。それが表れたのが、新自由主義経済の保護主義撲滅スローガンです。日本は補助金をやめれば公正だと信じ込んで、国内の農産品を没落させました。農家を悪者扱いし続けました。

欧米国は農業への手厚い補助金が露骨で、建前のはずの民営化に本音で乗った日本を尻目に、公務員も多いのです。大阪市は経費削減で職員を減らしすぎて、コロナ給付金が日本で最も遅く4カ月以上もかかったとか。本当は、公務員がそれなりに多い方が安定した強国です。

ドローンに戻れば、この手の無線IT機材の半導体には、情報監視するバックドアを備えつけるのは常識です。バックドアのプログラムは厳重に暗号化され、メーカーの技術者だけが遠方からコントロールできます。用心して法規制が及ぶ国産製品が無難だとして、日本政府もドローンを選ぶ方針にしました。

人・物・金の国境越えの自由化は、資産の争奪戦だと気づく時が来ました。アートの争奪戦が、懸案の先進美術館構想(リーディング・ミュージアム)です。日本の美術館が好景気で買ったピカソやミロやミレーを、平成デフレ不況の経費ダウンに乗じて、金余りの中東国などに放出させる、仲介ファンドの新ビジネスです。
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2020/09/23

オリオン座とさそり座が交替した夜|コロナから半年で冬へ向かう

夏が終わり冬へと向かう、そのしるしは天空にはっきり。深夜1時の東の空に、早くも横倒しのオリオン座が完全に昇っています。新型コロナが始まった頃、そこにあったのはさそり座でした。ともに季節の星座で、さそり座は蚊取り線香の香り、オリオン座はひんやりして無臭。

深夜の天頂に今火星が輝き、南西には木星と土星が並んでいます。より明るい惑星に目を奪われますが、恒星を図形化した星座は、公転で毎日少しずつ動いて、自転で毎分少しずつ動いて、ともに東から南を通って西へと消えます。

これに緯度が加わります。東京は北緯36度、ベルリン市は52.5度。差は16.5度。まずベルリン市では北極星がより高くなります。周囲を取り巻く大くま座(北斗七星)やカシオペア座や、近くにたどれるアンドロメダ銀河は、下がった位置も高めで常に丸見えです。

一方で南天の下部が東京より削られます。公転面を延長した黄道上にあるさそり座と、近い緯度のオリオン座とも、ずいぶん低い位置で家々に隠れやすいでしょう。日本では明快に輝く全天一の恒星シリウスは、ベルリン市では地平線ぎりぎりにあるでしょう。

これらの恒星は全て我が銀河系のメンバーであり、しかしアンドロメダ銀河だけは隣の団体の全体像です。肉眼で見えても距離は地球から250万光年で、600光年にあるオリオン座ベテルギウスの4千倍の遠方で、人が行くことは不可能です。

地球の生物以外の宇宙人がいて、地元で絵画展覧会を開いている期待は、NASAのあいまいな発表のせいで高まっています。そして将来、アンドロメダ銀河は銀河系と衝突します。だんだん大きく見えてきて、衝突寸前の光景はすさまじいかといえば、実際はスカスカの真っ暗なはずで、これも何かの教訓になりそうな。
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2020/09/18

老舗三味線メーカーが工場を閉じる報道|コロナと平成デフレ不況

さっきのラジオニュースで、日本最大の三味線メーカーの老舗が創業130年の歴史を閉じるそうです。コロナ禍で売り上げが見込めず、会社を解散して全員失業という運びらしい。また始まりました。全てをコロナのせいにした報道が。

三味線が売れないのは、1992年からです。バブル景気がダウンし始めると、ハードランディングさせて御破算とした1997年に始まる平成デフレ不況が直接原因です。デフレ下の緊縮財政と消費税増税による、貧困化促進政策の当然の帰結です。

楽器に限らず、本やCDやスポーツ用品もまるきり売れなくなったのが、1997年の後半でした。似た雰囲気を繰り返した、2014年夏以降がピンと来るでしょう。消費税増税で急に物が売れなくなり、人々が急にケチになりブラック社会へと戻った、あの頃が似ています。

今から何年か前にスポーツを通して地元の三味線メーカー社員と知り合い、ドイツで三味線を売る計画を立てました。エージェントがドイツ側で決まらずじまいでしたが、他楽器とのハンデ克服のマーケティング案を色々出したものでした。

不況でも売れる商品と、売れない商品があります。売れるのは生うどん。売れないのは鉄道模型。ユニクロの服は生うどんタイプで、大塚家具は鉄道模型タイプで、だから明暗を分けました。不況でも売り方しだいなんてわけはなく、商品の切実度しだいです。水筒や商品券や軽自動車は、不況でこそ大売れします。

美術も鉄道模型タイプで、好景気に変えないと始まりません。同じ報道で携帯料金を下げる話も伝えられましたが、間違った政策です。現行の携帯料金が安く感じるほどまで、積極財政と消費税廃止で景気を上げるのが正解です。ドイツもイギリスも減税して国民の純手取りを増やしたのに、日本の縮み思考の悪いクセです。
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2020/09/14

インスタグラム始めました|インスタ映えの時代は終わりか?

最近インスタグラムを始めました。2017年の流行語「インスタ映え」は下火で、使われ方がもう違います。奇妙な現象に気づきました。思ったより早く「フォロー」「いいね」がついたのです。他人はといえば、投稿直後の数分で「いいね」が数百個もついています。読者が待ちかまえているみたいに。

アメリカの理髪店が素早いフォロー。しかしフォローを返すと、減り始めました。フォロー返しせずに放置しても、やがてフォロワーから消えることも。もしかしてと思い、消えたフォローに対して試しにこちらも外すと、相手は再びフォローしてきます。これは人間のしわざなのか?。

答は推理したとおり。「自動フォローいいねアプリ」なるソフトがユーザーに人気だそうです。相手のフォロー返しを誘った後に、自分が相手を切る機能がウリで。フォローが少なくフォロワーが多いほど、愛するより愛される立場で優秀に見える演出という。アプリメーカーは、ユーザーは美容院が多いと宣伝しています。

なので受けた「いいね」も、ロボットが押して人間は見ていないわけです。露出度の上昇が目的だろうから、フォロワーが多いアカウントをなるべく狙い「いいね」するアルゴリズムなはず。自分の投稿が作動の起点になるので、同じ画像を何度も投稿する手抜きの説明もつきます。もはや映えない。

ある漫画を思い出しました。大学の授業風景。一人の学生が机にテープレコーダーを置いて、教室を抜け出しました。他の席にも日に日にレコーダーが増えて、最後は教師の机にもテープレコーダーが置かれるお話です。無人の教室で一台の機械がしゃべり、たくさんの機械が聞いて録るオチのギャグ。

前に芸能人が「SNSでいいねを押し合っても何の意味があるの」と言いましたが、インスタグラムではもう人が押していません。ただ、いいねが少ないアカウントは自動アプリを使わず、人が操作している可能性が高いでしょう。自動アプリは26種類はあり有料がほとんどで、有名団体の需要があるそうで。
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2020/09/10

大阪都構想とイギリスのブレグジット|ショックドクトリンの住民投票

大阪都構想はイギリスのブレグジットと近い時期に住民投票が行われ、結果は逆に出ています。二つはよい結果が出たといえます。なぜかといえば、両方とも新自由主義経済とグローバリズムをやめて、地元住民を従来の正攻法で裕福にする方向で投票結果が出たから。

イギリスは二度投票はしませんでしたが、大阪は一回きりの宣言を破って振り出しに戻しています。やり直し投票は11月1日です。コロナ禍が火事場で取り込み中なのを狙うわけです。どさくさのバタバタの中で大きい決めごとを通す手法が、言葉が定着してきたショック・ドクトリンです。

ショック・ドクトリンとは、日常の落ち着いた時なら反対される案件で、大災害や大事件の直後に賛成を取りつける常とう手段です。新自由主義の政商のテクニックとされ、判断停止してそれどころでない心理状態を悪用します。若者を熱狂させて住民投票する、ナチスの手法として歴史本によく出てきます。

前回の大阪都構想の住民投票では、大阪都を総務省が名乗らせない可能性と、正体が大阪市の政令指定都市返上と解体だとは、やはり伏せられました。政令指定都市から落城すれば、府があてにする市の税収は投資減で減るのだから、素人プランに多くが首をかしげたものです。

イギリスが反対多数でEUに残ることが、大阪市が賛成多数で都構想へ進むことと、なぜ同じなのか不思議でしょう。その二つこそが、新自由主義経済とグローバリズムという、デフレで経済縮小を強める貧困化促進だからです。

日本人全般が都構想もブレグジットも、核心を語れない理由も明らかです。日本がコロナ以前にデフレ不況が23年目に入っていた理由と同一だからです。何か芸術に言及する時みたいに、根っこの前提が終始ずれた構造になっています。

→ 大阪都構想の対案を簡単に
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2020/09/04

嘘つき政治が幅を利かせる日本の悩み|清廉だけを求めて人材難に

コロナで日本も政治の季節ですが、よくあるのが嘘をつく議員が当たり前になったとの指摘です。次期総理大臣の候補者を批判する動画でも、過去に国会質問や記者会見で虚偽回答していた場面を分析して、議員たちの人格問題をあげています。

嘘つき集団に好き放題される、国民の不幸を訴える内容です。しかし、少し考えたいこともあります。人は普通、得する方を選ぶものです。今の日本では正直に失敗を認めるよりも、みえすいた嘘で否認した方が得する審査になっていないかと。

議員も普通に判断ミスし、考え違いや思慮の浅さや失言もあろうはず。それをひとつ見つけては「辞任する気はないか」と記者やキャスターが問うのです。事実を明らかにする熱意より、辞任へ追い込んだ実績を記者の能力とみなす慣習です。

ブラック企業がこの風潮です。部下のミスを見つけしだい激しくなじる職場は、ミスを減らして効率を上げる方向とは逆です。むしろ全般にミスが変に増えて、言い逃れと責任転嫁が常習化し、目に見えて業績悪化しています。

失敗を国民に言えば最後、皆に激しく追い込まれ排除されるのなら、議員側も最初から虚偽説明と責任転嫁へ注力する仕事となり、巧みで強引な嘘つきが生き残っていく必然性です。いつの間にか能力主義とも、成果主義ともかけ離れています。

この風潮は、美術作品の至らなさを見つけては落選させて、会場入りさせない日本の公募コンテスト展とも似ているかも知れません。作者のできることが限られてしまったり、しまいに成功例を拝借した盗作が横行します。
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