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2021/01/29

コロナ特別定額給付金を生活保護で代用できる?|誤解されたお金

日本のトップの悲惨な発言は外信となりました。「国民に再度10万円を出すのか」を拒否し、「政府には最終的には生活保護という仕組みも、そうしたセーフティーネットを作っていくのが大事」と言ったそう。おもしろいのは周囲の反応です。

この発言への批判が「そこまで国民を落とす言い方はひどい」にとどまる点です。そこかよ。お金への勘違いを誰も指摘しない点がすごい。日本が衰退する原動力は、口を滑らせる方も、それを叩く方も、そろって考え違いしている点です。

国会議員も国民であり、総じてお金について完全に誤解しています。お金を石油やレアメタルのような天然資源に見立て、「出費に使えば減って消える、だから使わず温存すべし」「命よりはお金が大切」という特殊な思想なのです。何が特殊か。

今から48年前にお金の意味が現代化しました。高度な表現だと「借用証書」に戻しました。本来のお金の意味です。平易な言い方だと「各国の商品券」です。足りないなら足りるまで刷り足す方式に、国際的に変えていました。「国はお金を大事にします」は無意味な時代錯誤です。自主発行するチケットに変えたから。

日本人だけがフェイクの世界に住み、結果は女性の多すぎる自殺です。各国が景気調節で自国通貨を自在に増減する方式にしたのに、限りある資源のつもりで、残量を保護しようと使用拒否に必死です。このアホらしさは、美術家なら理解しやすいはず。お金は、いわば自作品のデジタル版画だから。出しても何も減らない。

必要な人がいれば、著作者が出し続ければ解決です。著作者は誰か。デジタル版画なら画家、お金は中央政府。底をつく枯渇や、発行した罪を子孫が受けるなどあり得ない。しかしみんなの勘違いは今も続きます。国庫の残りをコロナごときで消耗させず守り抜こうと、国民一堂が命がけという、むごい笑い話です。
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2021/01/23

ドイツでベーシックインカムの実験開始は3月|新時代へ行けるか

2021年3月からドイツでベーシックインカムの実験を行うそうです。様々な業種の500人を募集して毎月約15万円を支給し、暮らしがどうなったかの調査リポートを作成します。そして近未来に施行する計画らしい。

ただ、この実験は少し手抜かりがあります。金額を2通り用意して千人で実験すれば、もっと念入りになるでしょう。もし日本で行うなら、こちらは8万円を基準と考えています。ドイツは今の物価と生活レベルから、15万円なのでしょう。

ところでお金は時代によって意味が変化しています。原初的なお金は、貸し借りの記録でした。それが中世の西洋では、宝物の置き換えへと曲解され、近代に思想の派閥が分かれて現代を混乱させています。芸術が何なのか、派閥が分断されたままの現象と似ています。

宝物の置き換えを「実物貨幣論」「商品貨幣論」「金本位制」と呼びます。お金の本体自体が、金銀サンゴの代替だとみる思想で、最大の特徴は総量一定で貴重品であり、いわば天から降りたとする信仰の対象です。だから人命より大切。

それに対して貸し借りの記録を「信用貨幣論」と呼び、現代はこれです。ところが古い教育を受けた学者の惰性に引かれ、金本位制から脱却できずにいる国際問題があります。欧州中央銀行総裁のビギナーっぽい発言は驚きでした。巨匠が芸術って何でしょうかと、原点を彼岸の目標扱いする感じ。

日本のコロナ特別定額給付金で、貧困層だけに配って支出を小さくとどめたい民意が、特定職業への激しい差別言動へなだれ込んだのは、記憶も新しい。中世のお金の感覚で、自国通貨が減って底をつくのを恐れるという、悪い冗談のような国民の反応でした。実際の給付は円を新発行し、増分が経済成長になります。
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2021/01/16

全米ライフル協会が解散しNY脱出?|TPP改めFTAで銃規制は変わるか

全米ライフル協会は銃器と兵器の製造業が中心の組織で、アメリカ最大のロビー団体です。銃規制を公言した議員を落選させる激しいキャンペーンでも知られ、議員たちは銃規制を強める政策を口にできません。

その全米ライフル協会がNYを出てテキサス州へ移る話があり、団体を解散して再結成する計画だという。汚職問題が関係するそう。そこでこちらも、日米がTPPで合意すると日本の銃規制が変わるかもと踏んでいました(その後FTAに交替)。

TPPはアメリカ合衆国憲法の下位にあり、日本国憲法の上位として定義されます。基本的人権の尊重をかかげる日本国憲法とて、アメリカ企業がTPP裁判に告訴すると、判決は日本国憲法に優先するので、一企業が相手国を壊せる仕組みです。

自由貿易で最初に壊される日本の制度は、軽自動車規格と国民皆保険制度とされます。日本政府が国民を保護すると、アメリカの車や高額保険の権利を損ねるから、福祉のないアメリカに合わせるよう、アメリカの裁判所が命令を出す仕組みです。カナダ国は全ての裁判に敗れていました。

それを銃にあてはめると、日本でもコルトやスミス・アンド・ウェッソンの薬装式連発短銃を庶民が買えるよう、法律の変更を迫ることができる理屈です。日本では競技用の単発短銃(ラピッドファイアーピストル)を国内に50人だけが持て、自宅ではなく警察署に短銃を保管する規則です。

輸出販売チャンスを失わせる障壁として、銃器メーカーがアメリカのTPP裁判所に訴えると、日本は銃社会に強制改革される理屈です。今後さらに貨幣発行を断ち、貧困化を進めテロの機運を強めれば、日本人の武装したい民意は高まるはずです。福祉制度は今以上に嫌われ、弱者の撲滅を国民は支持する恐れがあります。
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2021/01/14

米大統領のアカウント永久凍結でドイツ首相が意見|SNSの検閲時代

アメリカのトランプ大統領は、暴動を扇動する発言はしていないようで、しかしTwitter社はアカウントを永久凍結しました。声を表に出させない措置。それに対してドイツのメルケル首相が、「発言をさせない封じ込めはまずい」とSNS側へ問題を投げかけました。犬猿の仲にもかかわらず。

美術の論壇でも、アートの内輪に耳の痛い話を論者に発言させないよう打ち切り、議論を消すなどはよくみられました。今も。それはオピニオンですが、制作の作風に関して行うのが、公募コンテスト展の隠れ機能になっていることもわかります。

世界の展示会の潮流は提出物は全て展示し、展示内容がまずければ市民が反応するから、議論すればよしの感覚です。が、国内美術は既存の価値が脅かされる転換を恐れ(公序良俗に反しないのに)、既得権に配慮してきた疑惑があります。

ところでメルケル首相はリベラルの長期政権で、EUの理念を進めた分だけ、ドイツの国力を脆弱にしたと数字に出ています。極端すぎた移民難民のスルーより、むしろ緊縮財政を強める理念に、東側的な生い立ちがにじむと言われてきました。

緊縮財政は、日本経済を壊す主義と同一です。資本主義経済の需要と供給のうち、需要の核心である自国通貨の発行量(公債発行残高)を減らす財政手法です。物が売れない社会へと変化させることで、経済縮小で貧困化させて秩序を変える新自由主義のビジネスモデルです。

なぜそうするかは、人の価値を下げることで人件費を下落させ、企業の業績が伸びずして収益が上がるトリック計算です。ノーベル経済学賞の面々が唱えています。21世紀の先進国のメインテーマは、政府主導の人権侵害で、実は過去の再来です。この話をSNSに書くと検閲で凍結されるから、ブログに書いています。

→ ドナルド・トランプが登場する映画シ-ン(YouTube)
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2021/01/08

成人式の振袖がまた受難の緊急事態宣言|日本画とモダンアート

振袖の展示や試着会は海外のジャパン・フェスティバルでも行われ、和服の最高峰になっています。今年も成人式が近づきましたが、二度目のコロナ緊急事態宣言で一部地域は中止みたいです。レンタル振袖が消えた事件など、二十歳女性の受難が続きます。

振袖の最大の特徴は袖の布が下に伸びたデザインで、タテ1.1メートルもある大振袖が成人式で多いそうです。一昔前は中振袖が定番でしたが。その大面積に広げられた図柄は日本画の形式をとり、長年コストをかけて洗練されています。

振袖を美術としてみると、日本画の伝統的な意匠が見て取れます。まずはアシンメトリーなレイアウトで、左右対称や並列を意図して崩してあり、水平や垂直が生じないよう斜めに流れるイメージが多くみられます。規則的なかっちりしたリズムはなくしてあります。

空間の埋め方はモダンアートの表現主義と近似し、花は写実ではなく抽象化されています。幾何学的な造形はほとんどなく、有機的な形態へ持って行くアンチデザイン指向です。さりとて生々しさや毒々しさへは行かず、前衛の手前でとどめていますが。

色も赤系や桃系、青系など以外に、意外な組み合わせカラーで、珍しさを狙ったものもあります。それらをトータルすると、画一化ではなく多様化された世界です。ワンセットを抜き出せば、そこに込められた物語性は豊富でしょう。

しかし物語は一着の振袖の中で埋もれたり、集団の中でも埋もれやすいでしょう。埋没はモダンアートでもよく起き、慣れない目に全てが同じに映ったり、細部は目に入らないとか、記憶に残らないことがよくあります。振袖の図案は、日本画への入門みたいになっています。
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2021/01/01

学生が持続化給付金をだまし取る原因|円の発行は簡単すぎるのに

謹賀新年。大みそかからのネットニュースに、持続化給付金をだまし取った学生が自首して、返金し始めたリポートがありました。主役の詐欺でなくリーダーが別にいて、「お金が手に入るうまい話」に友人から誘われたのです。

書類をつくり提出に訪れた場所は、役所の持続化給付金窓口でした。犯罪に駆り出されたと気づいても引き返せず、だまし取った百万円の半額をリーダーに上納し、犯罪が成立しています。愚かな学生への批判が集まっています。

おかしいと思った方も多いでしょう。学生への給付金が立ち消えになった点です。新型コロナ騒動の当初、学費が払えず除籍(中退を名乗れない)になる学生が激増するからと、政府が通貨発行してお金を出す案があったのです。アメリカやドイツにいる日本国籍の人への給付金案もありました。

日本人は国の財政を完全に勘違いしています。学生に回すお金は国民が払った税金だと妄想し、税金ドロボーには渡すまいと声をあげ、給付は立ち消えました。当の学生たちも嘘を書いた社会科の教科書で学んでいて、お金の意味や機能を誤解釈しています。お金の全量が一定で、使い切れば底をつく勘違いです。

「各国にひとつある打ち出の小づちを振って、学生の地位保全に金を使え」と声をあげたのは、一部の中高年でした。特別定額給付金や持続化給付金や家賃補助は、政府短期証券で円を発行し、後日一般銀行が買う公債へ差し替えて金利を変動させない、世界標準方式の通貨発行です。政府の借入金ではなく、自己資金です。

自己責任や自助精神と呼ぶモラルハザードの中で、犯罪のハードルは途上国相応に下がっています。バブル時代以前にはあった学生の未来を祝う空気は、経済低落とともに冷えています。戦後の混乱で盗人が激増した頃と似て、若い前科者が無駄にふくれあがる令和恐慌のやばい一面です。
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