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2021/02/26

もし国民が税金を払わないと何が起きる|動画サイトの嘘フェイク説明

ネットニュースに時々出てくる記事に、「情報の嘘を見破るネットリテラシーを身につけよう」があります。SNSで広がったデマ「地震で熊本市街にトラが逃げた」「犯人の家族はこの会社で働いている」の事件への、学識者の警告でしょう。

記事を書いた人に甘い見込みがあります。正しい情報を判断する目安に「大多数の人は間違わないだろうけど」という誤りがあるのです。国民全員が一人残らず間違う想定が抜けている欠点です。これでは付和雷同にすぎません。美術でも日常的にみられる現象です。

動画サイトに「もし国民が税金を納めないと、世の中はこんなことになる」という啓もう動画がありました。「犯罪が起きても予算のない警察は動かない」「消防車や救急車も出動されない」「大地震が起きても自衛隊も動かない」「国会は開かれなくなる」「官公庁や地方自治体は金欠で解散する」。

こうした指摘が延々と続く説明ビデオです。同様の動画は他にもいくつも並んでいました。今はもう消されているのでしょうが、どれも完全に間違った説明でした。日本を壊すためのフェイク動画といえるものです。

動画の作者はお金の由来、誰がお金を発行するかを調べずに、フェイク動画をけんめいに制作していたわけです。各国政府は通貨発行権を持つから、お金が底をつくという発想自体がマヌケです。「世に打ち出の小づちなどない」が情報リテラシーの欠如です。どの国もひとつ以上持ちます。では、お金の発行はどうやるか。

財務大臣の決裁で財務省が国庫短期証券を発行し、日本銀行が日銀当座預金の政府預金にマネタリーベースを増やします。それが国や自治体をまかなう財源の正体です。次に金利調整するため、国債を発行して主に一般銀行に買わせて、一般銀行の日銀当座預金を減らします。最後に市中の余剰金を税金として回収し廃棄します。
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2021/02/19

橋本聖子元スケート選手が東京五輪委員会会長に|海外は女性を待望

「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長」をやらされる橋本聖子元スピードスケート選手の現役時代に、西日本新聞編集長が異様に厳しい社説を書いていました。スケート全種目に毎回出て入賞はあれどメダルがなく、夏五輪の自転車種目に出ても敗退したことへの批判でした。

「オリンピック女もだめか」の空気の中、1992年フランスのアルベールビル五輪1500メートルでメダル獲得。「ああやっぱり、何を言われても続ければ先が開ける」と日本中が納得しました。スピードスケートで日本女子初。社説は喝か。

後に橋本参議院議員となった彼女に必要なのはお金でした。情報収集して研究する装置、調査機関を議員各人が持たないと活動が実を結ぶわけもなく。どぶ板選挙やみかん箱選挙は無意味な美談で、連日図書館に通う節約生活だと能率が悪い。

先進国の議員個人は公設秘書だけでなく、シンクタンクを持つお金を国が支給するものです。国費なら通貨発行権で直接出せるから事実上無料で、国民の出費や寄付は不要です。日本国民はそこを理解できず、議員報酬を下げれば国の出費が浮いて国庫が助かると勘違いしています。

国民が国の通貨発行権を知らないのです。そこに老害側の都合が加わります。個人資産や集金力で序列を決め、能力主義にさせない。駆け出し議員に資金を世話した先輩が、持ち駒にする因襲です。「出藍の誉れ」を阻止する日本らしいシステム。これは伸びる企業が嫌うやり方でしょう。

「議員の経費は国民の税金だ」の妄想が、国会議員を知識不足と体験不足にとどめる主因です。役立たない議員を報道しては、それなら報酬を下げろという間違った世論が繰り返されます。お金を宝物としてあがめる貨幣観が災いして人が育たず、結果の能力不足をあげつらう報道はエンタメ化しています。
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2021/02/13

チック・コリア死去・東京ジャズ祭の看板スター|大物の訃報続き

ジャズ界のスーパースター、チック・コリア氏が、コロナと無関係の珍しい疾患で死去していた訃報がありました。マイルス・デイヴィスの『ビッチズ・ブルー』に登用される前の初期の盤で、すでに作曲とピアノ演奏の才が開花していました。

報道で出た代表曲は『スペイン』『ラ・フィエスタ』『500マイルズ・ハイ』などで、もちろん『リターン・トゥー・フォーエバー』が最も有名でしょう。しかしオリジナル作曲が多い中、ロドリーゴの『アランフェス協奏曲』の翻案『スペイン』が筆頭ではちょっとという感じ。

すぐに思い出せるのは、後にフローラ・プリムが歌った『ウィンドウズ』や、長尺サンバ『フレンズ』、間奏ふう『インディアン・タウン』、日本がテーマの『シルヴァー・テンプル』(銀閣寺)などです。曇り空から一気に日が差すような劇的な展開を次々と生み出す、天才的コンポーザーでした。

彼のやり方はジャズの伝統どおりで、新人との共演から新しい世界がきっと現れる期待どおりの成果を出してきました。伴奏と曲提供の裏方に回り、アルバムの価値を上げたケースも多くありました。ジョン・マクラフリンのソロ再出発とか。

得意技は即興でも耳を引くメロディーと、コードの不協和音を細かく変えながら、フロントを引き立てるミラクルなプッシュが目立ちました。大胆かつ芸が細かい。共演ミュージシャンが大成しやすい機会をつくり出す、そういうサポートがかなりうまい人でした。

従来と違うことをやることで、人類の資産は合計が必ず増えていくのだと、明快な原理を実践していました。そんな様子を美術畑からみると、古い体質にさえぎられない動的な分野の良さをつくづく感じることもあります。
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2021/02/11

日本の老害の構造に世界が関心を持ってきた|女性は会議が長い?

元総理大臣の「女性がたくさん入った理事会は時間がかかる」発言は欧米でも報道され、味方する関係者が多い奇妙さも続報となっています。発言の背後に「委員会が男性だけの会議なら話は早い」という共感でもあるのかも知れません。

経験則では、会議はトップの意向や鶴の一声で決まり、セレモニーに終わりがちです。それに対して女性がある割合加わると、疑問を言い出したり反対の見解で会議が紛糾するなどが起きました。女性がお客さんで終わらないと新風が吹いて上向く傾向。

起きる停滞を迷惑と受け取るのは、会議が結論ありきで形骸化している場合も考えられ、概して独裁的な会議で起きる現象です。日本は上意下達の社会なので、裸の王様がイエスマンを引き連れる運営が比較的多くみられ、既定路線が長年固定していることがよくあります。

テレビの討論番組でさえ、特定のプロパガンダに向かっています。都合の悪い声を編集で消したり、生番組なら突然CMを重ねたり、司会者がすかさず話題を変えて封じ込めるのも日常的です。言わせて叩くのではなく、言わせないようにするのが日本式だと、世界が勘づいたのかも。

元総理しか人材がおらず代わりがいない理由は、部下の活躍を上が阻止するから。まともな企業はその破滅を嫌い、だから下位の者も早く現場に出して訓練し、世代交代に備えます。20世紀末に流行したISO9001もその方向でしたが、当該組織はそれとは違うらしい。

組織が衰弱する原因は全て同じで、権力と能力の逆転です。それで権力者は部下に大役を与えず、能力を腐らせ新陳代謝を食い止めて、自らの延命を図るわけです。一般に言われる老害の構造は、美術でもかつて散々に言われました。
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2021/02/05

ゲームストップ株で空売りファンドと個人投資家が団体戦|世界の不正

1月30日に起きたアメリカのゲームストップ社株の売買事件が、日本でも報道されました。ロビンフッドという証券会社のスマホアプリで個人が徒党を組み、下がりきっていた株価を爆上げして、機関投資家に大損させた事件です。

ところがゲームストップ社株を下げたのは、ファンドと呼ぶ投機会社の空売り作戦でした。空売りとは現物を持たない者が借りて高く売り、投げ売りする群集心理で下がった後に、買い戻して貸し主に返して差額を儲ける際どい売買手段です。

この事件についてアメリカ民主党と共和党とも、議員が業界の不公正を是正するよう意見しました。株の不公正とは何か。株取引所と証券会社による金融資産の売買は、個人が参加しても損するようルールを歪めてある問題です。

日本でも耳に入るのは、株価操作の禁止です。ところが厳禁は個人投資家だけで、機関投資家の一種大口ファンドは操作し放題です。個人が犯せば摘発され、機関は逆に行うよう推奨されているのです。個人を釣り、資金を呼び込むグルという構造だから、故意に値動きをつけます。一理ある。

アメリカで先に問題になったのが、ファンドの売買プログラムサーバーを証券取引所内などに置く優遇です。超高速回線に加え物理的距離も近づけ、何万分の一秒速く後出しジャンケンで勝ち、個人投資家に常に損をさせ続けるハイテク技術です。一理もない。ちなみにファンドのAIは一秒に最大10万回売買できるとか。

それで若者たちがSNSでしめし合わせ、愛着のあるゲームストップ株を買いで対抗し、500ドル以上だったのが2.5ドルに落とされていたのを、480ドル以上に上げ、空売りファンドに報復したのでした。イカサマにイカサマで対抗して。アメリカでも弱者のみ罰して幕引きにするかが注目されます。
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