fc2ブログ
2021/04/24

国際社会はお金の意味を学び直した|日本の百貨店は強制閉店か

「コロナから脱して経済が伸びる一番は日本だろう」という国際社会の当初の読みは、「日本は感染の収束に失敗した」(NY TIMES)に変わりました。日本が期待された根拠は新型コロナ感染数の異例の少なさでした。しかしワクチン摂取が遅れているのでしぼみました。

ところが論点はワクチンではなく、日本のデフレ不況です。根底には貨幣観の誤謬があります。世界はお金の正体の理解者と、無理解者にきっちり分かれています。芸術を理解するしないで、世界に分断がある実態と似ています。

日本の経済信仰は複数あります。「お金は誰も発行できない真理教」「政府が発行すれば破綻する真理教」「破綻を延ばせば子孫がツケを払う真理教」「発行できてもハイパーインフレになる真理教」「問題は皆無でもモラルが崩れる真理教」という具合。「日本はビンボーが一番」という謎の主張も非常に根強い。

世界はどうか。日本と違い社会リーダーに完全な理解者がいる反面、各国民のほとんどが日本人と同じ誤解を持ちます。名称があり、銀本位性、金本位制と呼ぶ、過去に人類が立ち寄った貨幣政策を世界は引きずっています。教育が行き届いた日本は誤解が激しく、しかし他国にも誤解は残ります。

日本でゴールデンウィークに百貨店の強制閉店が予定され、一店に毎日20万円補償する計画です。でも百貨店は日収1億円だから悪い冗談です。1億円補償できないのは、お金の機能を勘違いして惜しむからです。コロナに負ける理由は、ユニセフから「女性と児童の貧困国」と定義されてきた理由と同一の真理教です。

コロナ前からお金の機能を知る者はイギリス金融とスイス銀行や、米民主党の一部議員が目立ちました。さらに世界は思考停止せず、IMF、ECB、FRBもコロナ中に経済を学び直して方針を一転させました。各国はお金を出し続けなさいと。現代の信用貨幣を理解するこの団結の輪に、しかし日本はいないのです。
スポンサーサイト



関連記事
2021/04/21

仮想通貨ビットコインはなぜ通貨にできない?|美術品の価値と似た面

仮想通貨、暗号資産のビットコインが、大きく下がってニュースになっています。ビットコイン以外の仮想通貨も、暴落と言われて落ちたようです。世界中でコロナ給付金は平等に配られていて、高所得層が金融商品に投機してきた流れです。投機はナンピン買いが可能な資産家が勝つ道理です。

ビットコインについて参加者と相談したことがありました。こちらの関心は、投機商材としての美術品とのアナロジーとともに、ドルやユーロや円に替わって国家の通貨になる可能性がない、財政技術の本質論でした。

今回の下落の伏線として、トルコで仮想通貨を規制したり、インドなどいくつかの国で所持を違法にする方向だという情報があります。日本も当然、円に替えて暗号資産のデジタルコインを通貨にすることは不可能です。

デジタル仮想通貨は責任者の不在が利点と言われますが、通貨は国ごとに必要なので政府が著作発行権を持ちます。各国政府が仮想コイン類に反対するのは、国民の生命財産を保護する既得権です。財務省の資料では、政府は国民に年240兆円渡しています。国民はこれを知らず、0円のつもりです。

政府が発行と徴税で通貨量を増減して、インフレ率や失業率のコントロールと産業振興を行います。福祉だけでなく大規模災害や疫病蔓延でも、ばらまく権利がないビットコインだと、企業は全滅して従業員は皆が路上生活です。

たとえばアメリカがドルをやめてビットコインに変えたら、FRBの財政出動が消えて貧乏国に落ち、原子力空母も全て廃船です。仮想通貨がアナーキーと言われるのは、世界中を猿人の時代に戻す願望を意味するからです。
関連記事
2021/04/14

まんぼうとゴールデンウィークの経済7番底|2020東京五輪優先

2021年4月12日から、東京、京都、沖縄で「まん延防止等重点措置」が始まりました。このまんぼう政策への批判はネットに多くても、正論はほとんどありません。正論は、粗利補償と引き換えに国民を家に3週間引きこもらせ、コロナをいったん鎮火させる方法。ウイルスの性質を利用します。

これができないのは、政府のせいというよりも、国民の貨幣観の誤解が原因です。国民はお金を定量と信じ、パイを分け合う感覚で考えます。本当は自国通貨の円と呼ぶパイは、2倍にも半分にも政府がボタンで変更できます。でも知らない。聞いてもピンとこない。

お金がどう生まれ、どう消えるかを電子コントロールする時代なのに、年貢米のつもりで不足に泣く喜劇です。コロナ対策費がない前提で社会的弱者の死を容認したり、弱者が淘汰されれば納税が軽くなる期待を抱いています。税金とは余りすぎた貨幣を、市場から間引いて捨てるゴミなのに。

もし国民がみんなで勘違いすれば何が起きるかが、今の現実です。この件に詳しい先達たちの予言どおり、ゴールデンウィークの自粛は2020と2021が同じ繰り返しになる足踏み状態です。100日後の五輪を難しいものにしたロスです。

店主たちは危機を訴えますが、貨幣観はあくまで間違っていて、批判論が的を射ることもなく。お金は大切な資源だと国民が思い込んでいる間は、引き換えに国民の命を捨てていく方向でしか、政府も手が打てない理屈なのです。

逆に、世界は正論で動いています。お金をじゃんじゃん発行して、国民救出に乗り出しました。IMFも財政出動を主張し、欧州中央銀行ECBも、米連邦準備銀行FRBも同じ考え。2兆ドルを決めたトランプ計画を、バイデン大統領は実行開始。日本だけはインパール作戦を続けるという。
関連記事
2021/04/07

檄を飛ばす美術作品とは|難しい日本語よりはまだ簡単な美術

「檄を飛ばす」という言葉、この意味に合うのはブログです。檄(げき)とは人を集めたり説明する文書を指し、主張コメントや論説記事が檄に相当するでしょう。新聞社説ふうのブログを書くことが「檄を飛ばす」だといえます。

この語は解釈間違いが広まっています。檄の漢字が激に似ているせいで混同され、「叱咤激励」の意味での誤用が多いそうです。社長が朝礼などで社員を半分叱りつつ励ますような、鼓舞する演説が「檄を飛ばす」だと国民は覚えていて、調査すると8割近くが間違っているとか。

漢字の姿が似ているせいで誤用される言葉はけっこうあります。もう定着して正誤が逆転している一例は独擅場(どくせんじょう)です。漢字も読みも異なる独壇場(どくだんば)が通用してしまっています。

考えてみれば美術作品は、その機能自体が檄を飛ばす存在です。何かを訴え同意を求める意味どおり、アート作品は訴えて賛同者を集めるコミュニケーションツールだともいえます。相手を探しながら世間が認知しうる範囲を調べる、リサーチの面もあるわけです。歴史的に、500年早かった絵画もあります。

同意を求めるとはいっても、わかってもらえるように作ることは少なく、むしろ同意が得られにくく作ってある方が多いでしょう。創造性は斬新さとともに意外性でもあるから、本来はなじみの悪いのが取り柄で、反発を受けるケースがあって普通です。範囲の自由度が高い。

現代アート絵画塾で重要な価値観は、正しい意味で檄を飛ばす以上に、誤用どおりハッパをかけてガツンと衝撃を生む方向です。日本国内で作られるものは、とかくまろやかに整えられ平坦で見どころが減りがちなので、自ずととがったものを意図することが多くなります。
関連記事