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2021/09/29

ドローンの宅配便研究は錬金術みたい|ゴールを決めない経済競争

ドローンという語が出始めた時、ラジコン式の無人ヘリコプターだと知った次に、遠大な計画が出回りました。無人の空中宅配便です。商品の倉庫から購入客の家へと、荷物を空から運べば非常に高速化するという夢です。

しかし少し考えただけで、困難すぎるとわかります。まず出荷側で、誰がドローン本体に荷物を乗せるかです。荷物の形状は無限に多様なのに、ドローンにしばりつける苦労です。運搬中の風雨や落雷や、故障は無視しましょう。

到着した家ですぐ受け取れない時はどうなるのか。引き返すのかなどを考えると、すごい難題です。今現在は、この複雑に分岐する障害をプロのトラックドライバーが解決しています。訓練と知恵と機転で創造的に。人工知能を超えた人間です。

ということは宅配便の空中運搬は、鉛から金を作る錬金術のごとく仮の目標だとわかります。未知の成果を求める、ゴールのないクリエイト競争です。だから研究は国費を使うのが妥当でしょう。民間には適しません。

研究成果が出た後で、民間資金で製品化がスタートする順序です。日本でこうした官民の使い分けが不能です。国際競争から脱落した理由は、新自由主義経済の悪弊です。新自由主義は政府を排除し民営化バンザイだから、年月がかかる基礎研究に手を出す者がいません。それで獲得する特許も減ります。

今日2021年9月29日に自民党総裁に選ばれた岸田議員は、何と新自由主義経済からの転換を公言しています。政府が経済低落させ、貧困化させた「失われた30年」のストップ宣言です。ところが彼は国の財源は税金だと誤解し、Too little to lateに終わってしまう予感も。
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2021/09/18

絵はがきに向かない作品も一応あるけれど|ドイツと日本の需要

絵はがきに向かない絵もあります。まず正方形の絵は、絵はがきの長めの長方形とタテヨコ比が合いません。正方形の四隅が重要な絵だと、トリミングは無理です。短辺に合わせて余白をとったりしても、魅力ある商品になりません。

また絵はがきは郵便で送って、しかも絵が見えた状態なので、率直なインパクトが求められる面があります。受け取った人が、「あれ、おもしろいぞ」となる一瞬やひとときにワクワク感が期待されるから、やはりパッと見のセンスみたいなものはあります。

とはいっても刺激的である必要もなく、味わい路線でもよいのですが、絵はがきとして存在感を出す「うま味」はあって欲しい看板的な商品です。一枚が高いものではないので、何分か友だちと時間をつぶせる話題性が欲しいところ。

ドイツでは郵便用ではない、紙カード類の需要がかなり大きく、我々の発注時にも印刷会社で注文が行列のこともあり、どうも好景気産業みたいです。日本の印刷所ではこの10年で高画質プリントが選べないとか、超値上げしていましたが、ドイツでは今も手頃価格です。

ただもちろん、現代のオフセット印刷の専門的な処理や、印刷出版で避けられない印刷トラブルに対して、ドイツ側に解決できる備えが必要ですから、ちょっとしたハードルはあるにはあります。色を合わせるコンパイラーの知識などは必須です。

この絵はがきを日本で活用できると考えています。既存企画の日本送付オプションでは、皆様うまく使われたでしょうか。国内に絵はがき展もあり、エントリーされた方もいらっしゃいました。何度見てもいいなあ、というものを作ります。
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2021/09/08

初の女性総理大臣が実現か|プライマリーバランスの黒字化目標を凍結

アート系のブログに議員の名前を書くのも変ですが、自民党総裁選挙の立候補者の高市早苗議員が、本命だとの声が高まっています。彼女の公約は、新自由主義経済とグローバリズムの曲がり角を暗示させ、何と「プライマリーバランス黒字化目標の凍結」だそう。過去に公言した候補者はいません。

プライマリーバランスとは基礎的財政収支を指し、国家財政の出納帳で、公債関連の入と出を抜いた、会計の入と出を等しくする意味です。たとえるなら「親にこづかいをもらった子は、その年に同額以上を親に返しなさい」の意味です。

プライマリーバランスを黒字化すると国民は飢え死にするから、目指す国は日本だけです。なぜ目指すかは歴史的経緯があり、経済ブログと著書ブログで詳しく説明しています。第二次世界大戦の日米戦争と関係があります。

民族撲滅を意味するPB黒字化を停止すると、何が起きるか。貧困化を返上して経済が右肩上がりに向かい、経済大国への復帰を果たします。緊縮財政を継続する男性議員の中で、高市候補だけがアメリカに似た積極財政をかかげ、富裕化への転換を意思表示しました。

現行の貧困ビジネス筋は、貧困からの脱却に大反対するはずで、本当に彼女が総理大臣になれば、スキャンダルで追い落とす力がはたらきます。だから日本経済衰退の停止は、空気の読めない破天荒のみ可能だと言われました。芸術に似ている。

そしてやはりバイデン大統領を真似たのか、株のキャピタルゲインへの増税もかかげました。これはデフレの今は不適切で、日本の富裕層はアメリカにくらべて貧困です。富裕層をいじる前に、中間層以下の底上げこそが急務だから、消費税ゼロか廃止が先です。増税公約は訳ありのダミーかも知れません。
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2021/09/04

アート作品のハードとソフトのロジック|ベルヌ条約と通貨発行権

パソコンの故障を状況説明する時に、「ハード」の語にご注意を。ハードディスクに関する話なら、略したい時はディスクと呼ぶべきです。ハードと呼ぶと、ハード的な物理故障とソフト的な論理故障に混線し、解決の第一歩が始まりません。

ハードとソフトの対立概念は、丸ごと抽象思考です。人間が故障した場合だと、器質的障害がハード的な物理破壊に相当し、機能性障害がソフト的な動作不良です。ハードとソフトを分離した思考は、先進文明の先端の必須事項です。

この問題に画家も彫刻家も、すぐに直面します。著作権です。キャンバス画を所有した人は、作品のハードだけを所有します。ソフトは所有できません。ベルヌ条約で詳細が決められた国際ルールで、日本は19世紀にすでに加入しています。

キャンバス画を買ったお客は、その絵を美術館に貸して、その展示室を有料にしてレンタル料を受けることは合法です。しかし絵を写真に撮り、複製画や絵はがきにして売ると違法です。実現するには、作者と交渉するか没70年を待たないとだめ。

芸術作品の著作権は、国のお金の通貨発行権と似ています。通貨発行権とは、自国通貨というユニークな単位を、各国政府が自由に増減できる権利です。アメリカがわかりやすく、コロナで産業が低迷すれば、大統領がドルの追加発行を連邦準備銀行に指示します。

ドルは公共投資と個人へのばらまき配布で、市場へ投入します。人々は様々な商品を買い、家具や車や住宅も買い、企業の解雇や倒産や外資への身売りを食い止め、国の棄損を減らせます。コロナ飢饉の餓死を防ぎます。日本が同じことをやらないのは、ばらまくお金が国民の自腹だと勘違いしているからです。
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