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2015/06/23

由来を知って変わるアート

もう9年も前、フィギュアスケートの荒川選手が金メダルのトリノ五輪。その思い出曲は、イタリアのテノール歌手ルチアーノ・パヴァロッティが開会式でも歌った『トゥーランドット』でした(ただし事前録音)。優勝をきっかけに、クラシック曲が日本でまた売れ出しました。しかも歌モノが。

パヴァロッティをはじめ、イタリアの有名歌手がよく録音する別の曲があります。もりもりと勇ましいその歌は、日本のテレビでもしばしば耳にしたものです。『レイダース』みたいなあれ、しかし曲名を聞くとちょっと引いてしまいます。『フニクリ・フニクラ』。

何だか気恥ずかしくなる曲名。フニフニしたマシュマロかコンニャクみたいで、行け行けどんどんの曲調と合いません。年輩の中にも、あの曲に何か引っかかりを感じている日本人は多いようです。盛り上がる曲なのに、題名がお笑い系みたいに盛り下がって、ちょっと。

クラシックリスナーに知られたあの曲は、オペラや民謡ではなく、イタリアの登山鉄道を宣伝した世界初のコマーシャルソングでした。フニクリ・フニクラとは、ケーブルカーを意味するイタリア語フニコラーレのニックネームで、軟弱どころかメカニカルそのもの。興奮を誘う曲想は、ぐんぐん登って火山の威容が開けていく、そのイメージ音楽でした。

商品名や芸名を他国で変える戦略はよくあり、この曲もNHKが日本に紹介した時は和訳した『登山電車』だったとか。美術でもあるかも知れません。距離を置いてきた作品が親しくなる、ちょっとおもしろい裏話だとか。そして日本の美術も、海外でささいな引っかかりを生じさせることがあろうかと。
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