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2015/08/26

便器とアートの親しい関係

1964年の東京オリンピック時代の便器がホテルに残存し、これを目玉に便器の博物館をオープンした北九州市のメーカーのニュース。霞ヶ関ビルのオリジナルトイレも並び、まるでビンテージ骨董品のような扱いです。

便器アートといえば、フランスのあのお方の、あの名作です。オリジナルは証拠隠滅で捨てられ、何でもアート検閲への抗議が目的の出品でした。まんまと引っかかったアンデパンダン展主催者が、便器作品をひそかに始末したというのが通説で。

送った本人は便器を造形美と考えたのではなく、主催者を困らせるために美術から遠い物品を使っただけの話です。俳句の募集で、封筒にカミソリの刃を入れたような感じ。現代人が美の表現と受け取るのは、これはこれで保守的な美観で、はっきり言って勘違い。何ごとも具象的に受け取って、額面どおり解釈する悪いクセです。

ところで、二つの東京オリンピックの時間差に、日本では便器のパラダイムシフトが起きました。1964年東京の頃、テレビでアトムや鉄人を放映した頃。ほぼ全ての家庭の便器は和式でした。たまに洋式を見つけると、「変なの」「どうやるの」「よくわからん」「嫌い」「絶対使いたくない」。

当時は洋式に向けられた敬遠の言葉を、今の子どもは和式に向けます。国民の気持ちと常識が、後日ひっくり返った実例です。しかもネットにこの話題はなく、皆さん過去をケロリと忘れています。

一方美術で好みと常識がひっくり返るのは、世代交代によってです。同一人物が心を入れ換えた便器とは厳密には違う展開ですが、時間がたって世の中が完全に正反対に変わってしまう点は同じです。
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