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2015/12/14

フランス印象派と日本の浮世絵

日本の浮世絵がフランス印象派に影響を与えた話は、誇大広告かも知れません。印象派は基本的に点描画で、プリズム分光で発見された日光の正体にヒントを得ています。光は電磁波であり、周波数で色が決まる科学を応用した実験絵画で、レーザー光の前の時代。

後世のカラー印刷やカラーテレビの原理です。ルノワールもドガもタッチはガサガサと粗く、対する穏和なスーラの影響を受けたのがゴッホ。ゴッホは浮世絵を大量に持っていたから、浮世絵からの影響も言われます。

しかしそれは音楽でいえば、ジミ・ヘンドリックスがマーシャルとストラトキャスターでアメリカ国歌を演奏したようなものでしょう。ゴッホは得意の油彩で、おいらんをギンギンにディストーションして演じただけです。

浮世絵は基本的に、面相筆の筆跡が主役です。そのスピードのある線をゴッホは引かずに、ベタベタと点描タッチで浮世絵をカバーしただけ。「アメリカ国歌に影響されたロック」「国歌が生んだジミヘン」と言わないのと同様。どだい、浮世絵と印象派は水と油でしょう。

浮世絵は、今もヨーロッパで理解の外のようです。異国情緒のモティーフが目当てだから、具象に限定なわけで。塗り分けが基本の西欧絵画に対し、日本絵画では仮想の区分線を引きます。線が物体に化けたのが光琳でした。根にあるのは書道。面を塗らない線画は参加者にも散見され、理解していないヨーロッパに正しく真髄を伝えたいと考えています。
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