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2014/09/06

ベルリンに美術の壁はあるのか

「友だちが絵をかいてプロを志望しています」という話をするとしましょう。「どっちの?」という疑問がすぐに出てくるはずです。どっちなのか最初に断らないと、イメージしにくい。

「どっち」とは、現代美術かアンチ現代美術かです。洋画か日本画かの話ではなくて。多くが抽象表現と具象表現に関わる話にもつながります。現代とアンチ現代は、作家も論者も客も展示会も団体も分かれ、水と油です。二つは別の業界のようなもの。この詳細は言うまでもないでしょう。

では遠いドイツでは、そこはどうなのか。

ところが、ドイツで美術展といえば現代美術を指します。モダンどころか全部がコンテンポラリー。抽象含みで何でもありの、好き勝手な現代造形全般の話に自動的になるのです。中央も地方も同様で。抽象や今風スタイルが門前払いになることもなく、逆に具象がロートルに沈むこともなく。

現代美術なんてさっぱりわからんと言って、健全な常識人をアピールする行動は、ドイツでは特にないという。「わけのわからない作品は見たくないから置くな」のヘイトスピーチが、実行に移されるのも珍しい。

日本に抽象美術を入手して自慢する衆参議員は、たぶんいないでしょう。議員が所有する絵画は、全て具象系のはずです。この片寄りはドイツ連邦議会議員も同じか、傾向はあるのでしょうか。

美術が先鋭にセクト化していないドイツでは、あらゆる作風を同等に扱うことが簡単です。会場でもめたりも、まだありません。しかし寛容が裏目に、ぬるい環境になりかねないぜいたくな心配も、あるにはあります。何を置いたら美術的なもめごとを起こせるか、ヨーロッパが届かない美意識はどれか、他国なりの限界にこちらも注視します。
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