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2016/03/03

モンスターアートが出にくい日本の背景

ネットではモンスタークレーマー分析が盛んらしく、企業人も参考にするという。日本は公定歩合を下げた1989年から、デフレ経済と格差社会へ地盤沈下し続け、荒れる消費者が増えたとするのが定説です。

たとえばカレーショップで、甘口、中辛、辛口、激辛とあり、激辛を注文して食べたら辛すぎたから全額返金せよというお客。お化け屋敷が怖すぎたから払い戻して作り直せなど、あるあるとプロの共感が広がっています。

怒りっぽい風潮の原因は、平成日本の貧困経済環境説とともに、戦後教育の失敗だと断罪されています。要するに、1945年夏まで続いた全体主義の反動で、今度は個人主義へ走り過ぎた社会の歪みだという。

ゆとり教育より古い昭和の教育で、「自分の思いが一番正しい」という当時のミーイズム、今でいう俺様ルールを、教師たちが生徒に尊重させたのは確かです。いまわしい戦前戦中からできるだけ離れる目的で。それに感化され増長した生徒に、結局教師は体罰で挑んだのも確かでした。

ところが、「自分が正義で、反対者は邪悪」式の強い信条が、美術作品で炸裂したケースはまれです。アートはモンスター化せず、常識の範囲にある作品がほとんど。俺様ルールはわいせつアートや猟奇系あたりで、造形面の自己中は探しても少ない。社会は荒れて、美術は荒れていない。

美術のワルなら平成の顔役たるコピペ制作法があるぞと胸張っても、基本は他人様ルールに則り、造形の凶暴と狂気での物議とは意味が違うでしょう。何でもありの平成の美術が甘口から中辛に多く分布するのは、作る側が恐縮したカレーショップの立場とみるのが妥当。
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