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2016/11/10

トランプ新大統領の意外なアメリカTPPのゆくえ

日本からドイツへ絵画を送ると、関税(輸入売上税)が評価額の19パーセントかかります。これは、ギャラリーやフェスティバルで売れた時の消費税(売上税)19パーセントとは別の税です。

逆にドイツから日本へ絵画を送ると、ネットには関税はゼロと明記してあります。これは実は誤記で、5パーセント程度の関税(輸入消費税)がかかります。これらの関税は、国内生産者の暮らしを守るためにかけるウェイト、ないしハンデの役割です。

太平洋の周辺国が予定したTPPでは、輸出入とも関税撤廃します。当然ながら、日本は押さえられていた工業製品が躍進し、ハンデで救われてきた農作物は衰退します。だから経済団体はTPP賛成派で、野党がなぜと言うまでもなく、企業献金を受ける与党は忠誠心で採決を急ぐわけです。

一方アメリカでは、ハンデで救われてきた工業製品は衰退し、押さえられていた農作物は躍進します。アメリカの工業分野は日本に負けそうでTPPに警戒し、トランプ大統領候補は雇用喪失の危機を訴えたわけです。

関税撤廃は、一国内で強い分野はさらに強く、弱い分野はさらに弱くと格差が拡大します。逆に関税が高いほど社会主義的になり、国内の庶民にお金を回す理屈です。EU国同士は関税撤廃しているので、幸不幸を見届ける実験中です。

TPPはアメリカが仕掛けた日本つぶしだと、日本で陰謀がささやかれてきました。ところがトランプ候補もクリントン候補も、国内がつぶされるとして反対表明したものだから、何が何だか見失った日本国民。自由貿易は国と国の戦いではなく、各国内の職種闘争がその実体だと感じます。
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