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2017/01/19

メランコリー全開が時代になじんだ頃

最近ラジオ番組で、ひょんな場面で名前が出たのが、ソプラノ歌手のアンナ・モッフォ。70年代前半に来日していたはずで、当時の雑誌『FMファン』に見開き特集がありました。タイミングとしては、メゾソプラノのマリア・カラスの来日前だったような気も。

突然名前が出てきたのは、NHK-FM放送番組『夜の停車駅』の話題でした。蒸気機関車の汽笛で始まり、文学の朗読を加えた音楽番組のテーマ曲、ラフマニノフの『ヴォカリーズ』の声が実はアンナ・モッフォだったという。

あのバージョンが理想的だと、今も日本で定評だと知りました。ロシアの作曲家ラフマニノフは二次大戦中の1943年没で、アメリカのアンナ・モッフォと同時に生きた期間は11年ほど。

ラフマニノフの晩年に小学生だった知らない女の子が、没21年後に稀有な名演を録音し日本で隠れ名盤になっているという。途切れのないメロディーがモッフォの歌唱に合い、作者が予想した以上の完成度かも知れません。

ところで今の日本では、『夜の停車駅』のような番組は出にくいかも知れません。ある頃から暗いもの、悲劇的なものが嫌われるよう変化したからです。そういえばテレビアニメソングも60年代にはメランコリックな曲が多かったのに、後になるとかげりを排除する変化が起きています。

いわゆる「ネクラ」排斥運動?は、日本発の表現物を強く制限しています。21世紀の今も、明るく陽気な影差さない作風が規範となっています。現代アートも一見何でもありにみえても、暗くないものを歓迎する禁制の痕跡は感じさせます。
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