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2017/03/07

曜変天目茶碗のとても奇妙な展開

テレビのお宝鑑定番組で、世界的な発見となる日本の国宝級が出てきた「曜変天目茶碗」の話題です。奇妙な展開になっていますが、登場した双方に大きい疑問があります。

まず鑑定団への疑問は、あれを曜変天目茶碗だと決めた理由です。天目釉は普通に市販される本釉のひとつで、黒い茶碗になります。そして他の本釉と同様に、不純物や外因が加わると、窯変と呼ぶ色や肌触りの異変が起きます。偶然性を含む陶芸のおもしろさの一面です。

曜変天目茶碗にはくっきりした水玉模様が散在し、そのルックスを「曜変天目」と呼びます。水玉がある場合と、ない場合の二種類があったりしません。白馬は必ず白毛に決まっているのと同じこと。だから水玉模様が一個もない茶碗を、曜変天目と決めたことが不思議なのです。栗色の馬を、なぜに白馬と呼ぶのかという疑問。

そして否定派の最先端にいる研究家兼陶芸家にも、別の不思議がありました。水玉模様がなく、青赤ピンクに輝くミラクルな反射も皆無だから、曜変天目茶碗とは思えないという話で始まりました。なのに途中から、「にせ物」という言葉を加えてきました。

そもそも似ていないのだから、にせ物ではありません。曜変に見せかけた偽造とは違う。曜変天目ふうに作った贋作事件とは違います。本物かにせ物かの真贋の検証は、話がずれまくっています。調査してぬいぐるみでなく本物の馬と判明しても、栗色を白馬と呼べるお墨付きにはならないはず。話が脱線しまくり。

カニ風カマボコを、ニセのズワイガニと疑うならわかります。しかしちくわを指してニセのズワイガニかもと疑うと、焦点が割れて混乱するはず。登場人物の中に、話のわかる人はいないのか、という奇妙な展開でした。
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