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2017/05/21

ジクレー版画を制作する展覧会に歩を進めた理由

ジクレーとは原画を撮影し、インク式プリンターで刷った作品です。プリンターはプレス機と同じだから版画です。この方法が昔あれば、喜んだ画家のひとりはムンクかも。彼は後に『叫び』を自分で木版画に彫り直し、複製して売りました。

「ジクレー制作は未経験だし、普通に原画を展示したい」という希望も聞きます。前は普通に原画を展示していましたが、現地で通用しにくい場面を体験しました。原画の値段が通用しなかったのです。原因は内外価格差です。

たとえば音楽CD。一昔前に国内盤は一枚3000円でしたが、それを香港に輸出すると現地価格1800円でした。裏を知った日本のリスナーは香港からの逆輸入盤を買い始め、国産CD販売元が一定期間逆輸入禁止にしたいきさつがありましたね。あの頃のアメリカでは、旧譜のCD盤が1000円程度。

日本のみ高額なのは美術も同様で、日本の画家は外国では高すぎて値下げを余儀なくされます。現に何度も売れた画家は、ぐっと低い価格で出していました。安くなるからもったいなくてA級作を送れず、B級作を送る結果になったりします。最高作が大作や売却済みだと、原画を送れないし。

しかも、美術展の目的にも内外差があります。日本は見物が目的で、ヨーロッパは買い物が目的。現地には世界のアートが集まり、国際市場化しています。売買総量も日本よりはるかに多く、美術がありふれているから価格破壊しています。日本で美術が高いのは、買う人が少ないから。市場が細いから。

ドイツでのジクレー化の読みは当たり、売れる作品数は増えました。売れない理由は値段かも知れないという迷いは消え、作風の嗜好や完成度などに課題を絞り込めています。原画展の場は別ステージで用意しています。
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