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2014/11/01

アートのカバーバージョン

ある缶コーヒーのテレビコマーシャルを見て、日本のバンドのファンたちが、「曲がパクられている」と世界へ訴えた小さなニュースがありました。「日本の歌を勝手に外国人が歌っている」とも。

外国人とはスティービー・ワンダーで、彼が90年代に作曲し、その著作権を後年に借りたのが日本のバンド。バンドのファンが本家を耳にして海外に盗まれたと思ったという、歌謡ファンに起きやすいパターンでした。

自分本意な若者の思考が批判されていますが、実際にスティービー・ワンダーには「これもそうだったのか」という隠れ名曲が豊富です。二枚組ベスト盤ぐらいでは、ベストが大量にあふれてしまう才人。ボックスセットでないと網羅できないほど。

たとえば79年頃にマイケル・ジャクソン用に合作した「I can't help it」は、すぐに大野えりが破格の熱唱でカバーしています。漫画アニメ『ルパン三世』と関係ある人。その記録はネットになく、世界的珍品の名演としてまだ隠れています。

ニュースで深刻な思いになるのは、今のミュージシャンが昔のヒット作を目玉にしがちな、一種の行き詰まりです。今のオリジナルはさっぱりだと叩かれて屈したのか、近年のJポップは英米オールディーズのカバーが増えぎみです。「君の瞳に恋してる」などスタンダードナンバーも、日本歌手の作と思っている少年少女が多い例でしょう。

しかし、「君の瞳~」が美術で繰り返されても、苦情も反論も音楽ほどは出てきません。原作のプライオリティーが美術では希薄というか、別に何でもかまわないほど遠い存在というか。カバーバージョンという視点でアートを見る人が少なすぎるのは、あまりに納得できることではありますが。
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