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2018/09/08

日本で美術作品が売れない原因の分析は間違っている

美術大国のアメリカや中国よりも、日本での美術の市場規模は小さく、100分の1のオーダーだと言われます。以下のイギリス、フランス、ドイツよりもずっと小さい取り引き金額です。古美術を別にした現代美術で差が目立ちます。

日本で絵や彫刻があまり売れず、美術市場が小さい理由は、前からネット掲示板などにありました。「美術界は国民に美術の資産価値を伝えていない」「だから国民は美術を買う意義を見出せない」「価値がわからないから信用できず買わない」という分析です。

この分析の何が間違いかは、日本人には難しい話です。なぜなら日本では、美術の価値は上から下へ教え込む慣習だからです。この慣習が売れない原因だと、国民が気づくのは困難です。

ドイツの市民は作品個々の資産価値を知った上で、資金運用しようと絵や彫刻を買うのではありません。彼ら彼女らは作品を見て楽しみ、時に驚き、知人と話題にして、いやされたり奮起するなど、自分の変化が目的です。「価値は僕が見て決めるだけさ」が集まって、大きい市場ができています。

日本で美術が売れないのは、価値を自分で決める人が少ないからです。苦手だから教えてくれる者を待つわけで。それに美術界が応じる間は、永久的に国民が自分の目を持てない。作品を見て楽しみ、時に驚き、知人と話題にできる日が、日本には来ない道理になっています。

上が下に伝える値打ち情報で市場を回す日本方式だと、新人の新作を買う空気はなくなる理屈です。他国では思想を込めたエンタメで美術を考えているのに、日本では値上がり益が最大関心事です。東証一部上場の株式みたいに、美術を蓄財や投機商材とみる通念が、偉い人たちにも広がっている事情があります。
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