FC2ブログ
2018/09/16

ドイツのおんぼろ展示場は美術が一般化している証し

ドイツの美術展は、会場がオンボロでも成り立ちます。作品の周囲が乱れてごちゃごちゃしていても平気。場所の体裁が悪くても展覧会場に即仕立ててしまい、皆も慣れていて違和感がありません。美術が一般化している前提があるから、どこでも展覧会場にできる手っ取り早さがあります。

対して日本で美術展を開く場所は、きちんと整っている上で清潔感や格調も期待され、クリーンで透明な場所を用意しなければならないという、手っ取り遅さがついて回ります。だから会場の美化にコストもかかります。

この差の理由として、日本では美術作品のどこに注目すべきかが、個人の中に備わっていない前提が考えられます。見る目が作品に集中できない不慣れへの対処で、白い背景が必要であろうと推論できます。冠婚葬祭のような、雑念を排したおごそかな静かな場所を求める心理。

言い換えれば、作品を置く環境しだいで鑑賞があまりに影響され、曲げられ妨害されやすい実態があります。雰囲気しだいで作品の味が大きく変わるなど、頼りない鑑賞が常態化している疑いです。自分の好きなように見るには遠いという、ひとつの証明でしょう。

ドイツによく見る貸し展示イベント会場は、廃屋のリユースです。リフォームではなく、リユース。壁を塗り直さずボロボロのまま。中古車にたとえれば、外観がかなり凹んだまま板金塗装をやり直さず、赤く錆びた状態のような展示会場です。そこを背景に絵や彫刻を置きます。

ボロボロの壁の絵にはアーティスティックな趣が出て、何だかかっこいい。日本でも1980年代前半、ウオーターフロント再開発のフィッシャーマンズ・ワーフのブームで、古倉庫やロフトの美術展が話題になりました。レンガ壁やアールデコ調が日本にもあった。でも美術が一般化していないから、主役の絵を楽しむ気分は安定せず全滅したようです。
関連記事
スポンサーサイト