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2018/10/24

免震構造ダンパー不正検査事件の原因を言い出せない日本

1990年頃に、免震構造の建築設計に関わりました。物件は免震構造業者の自社ビルで、当時は珍しい画期的な実験建物として、補助金などもついて特別な建築許可が出ました。95年の阪神淡路地震より前です。

今や免震マンションも続々と増えています。免震ビルは敷地と建物の間にエキスパンション(伸縮)ジョイントを設け、地震で地面が強く揺れても、地下の水平ダンパーがショックアブソーバーとなり、建物は弱く揺れる仕掛けです。ビルが崩れたり、中の家具が倒れたりを防ぎます。

そのダンパー製造メーカーの検査不正が大ニュースです。ダンパーを使用中の建物があまりに広範で、車のエアバッグに似たジャパンスキャンダルになっています。こうした品質低下の不正がなぜ続くのかよりも、口にしにくい国情が深刻です。

日本国内で続く不祥事は、要するにデフレ不況が原因です。キーワードは「節約」「節減」「削減」「倹約」「縮小」「緊縮」「コストカット」。出費をとことん切り詰める思想が、検査を減らし、捨てる分を減らし、改善の手間も減らすという、平成の日本病です。いわゆる手抜き競争。検査は冗長性であり、本来は余裕であり無駄の一種です。美術品の存在と似ているかも。

カツカレー店が捨てたトンカツを、廃棄物処理業者から買い取った別業者が、格安トンカツ弁当に転用した事件と同じ動機です。そこそこ使える安い製品を消費者へという、グローバル経済下でのデフレ社会に順応した「賢い」倹約法です。しかしデフレ不況との関係を指摘するのはタブー。なぜか。

日本の歴史で最大の好景気が今だと、政府が定義した後だから。デフレ不況を指摘すると、反政府の姿勢で浮いてしまう。だから不祥事の原因に向き合えず、日本人の特性になすりつけるほかなく。実際には、国をあげた節約励行で全国の全分野で品質低下しており、不正の域でばれた分のみがニュースになります。
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